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Wednesday, August 31, 2022

スウェーデンで人気の怪盗団映画シリーズで、初のコメディを手掛けたトーマス・アルフレッドソン監督インタビュー - スクリーンオンライン

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『ぼくのエリ 200歳の少女』でセンセーションを巻き起こし、豪華キャスト結集の『裏切りのサーカス』ではヴェネツィア国際映画祭はじめ、海外の映画賞から圧倒的な称賛を浴びた名匠トーマス・アルフレッドソン。待望の最新作は、とぼけた愉快な窃盗集団の大胆不敵な一大プロジェクトを痛快に描いた、初挑戦のコメディ作品となった。原案は80年代よりスウェーデンで子供から大人までを魅了してきた伝説の人気コメディ映画シリーズ“イェンソン一味”。日本で例えるならばルパン三世のように、スウェーデンの子どもたちが夢中になって視聴し、それを見ながら育った国民的人気を博す怪盗団シリーズである。
実はスウェーデン出身の監督もまた子供時代から“イェンソン一味”を観て育った大ファン。監督の代名詞ともいえる映像美と緩急のある演出で、シックで洒落た、大人も堪能できるクライムコメディに仕上げている。

画像: トーマス・アルフレッドソン監督

トーマス・アルフレッドソン監督

――本作の監督のオファーを受けた際、即断で引き受けたとお聞きしましたが、その際はどのようなお気持ちでしたか?

「家族に向けた素晴らしい機会だと思いました。自分が子供の頃、親や家族と映画館に行った事を今もすごく覚えています。誰かと一緒に何かを観に行って分かち合う体験、特に笑いやエンタメを分かち合う体験はとてもユニークだと思うんです。最近は少し変わってきて、家で映画を観ることが増えて一緒に映画館に行くという“儀式”というか、そういう機会は少なくなってきたかなと思うけれど、一緒に何かを体験する事は人間の原始的なものなので、本作だったらそれが実現できると思いました」

――スマートさとポンコツな部分を兼ね備えた、とてもチャーミングな登場人物でしたが、キャラクター作りはどのようにされていますか?

「完璧なキャラクター造形だと、観客は好ましく思わないんじゃないかと思うんです。短所があるから、そのキャラクターを気に入ってくれる。本作でも、キャンディー好きのハリィというキャラクターが、七か月もかけて計画した作戦の途中でキャンディーに夢中になって食べてしまうシーンがあるのですが、それってとても人間的なリアクションだと思います。同じような事ではなくても、観客は自分もそうだなと投影して観ることができると思うんです。自分のドジな事をキャラクターが代わりに映像の中でやってくれる、ある意味それがコメディですよね。だから、『Mr.ビーン』がここまで人気があるんだと思います。僕たちがしてしまいそうなドジな事やバカな事をビーンが代わりにやってくれる。やっぱり笑うという事に関しては、自分自身の短所を笑うよりも、他人を笑う方が楽でもありますからね。だからキャラクターを作る時は、短所があること、パーフェクトでは無いことは非常に重要な要素だし、そうであることで観客がキャラクターの中に自分を見ることができると考えています。また、観客が自分を映画の中で認識できるかということも、映画にとってとても重要な要素なんです。
さらに、この映画のキャラクターたちは、知的というわけではないけれど、それぞれにスキルを持っています。本作のキャラクターはアーミーナイフのパーツみたいなものだと思うし、皆がお互いを必要としています。それって、個人主義を大事にする今の時代にとって、すごく重要な、あるいは素敵なメッセージなんじゃないかなと思います。計画を成立させるために、全員の力を合わせないといけないんだ、と」

画像: ――スマートさとポンコツな部分を兼ね備えた、とてもチャーミングな登場人物でしたが、キャラクター作りはどのようにされていますか?

――映画製作をする際に、他作品など何か参考にしているものがあれば教えてください。

「映画が大好きなので観に行ったりはしますが、自分の映画を製作している時は、他の作品に影響されないように何も観ないようにしています。創作のインスピレーションは、例えば絵画とか、アートから得ることが多いです」

――本作や過去の作品も含めて、全くジャンルの違う作品ですが、何か共通点はございますか?

「映画を作る際、ジャンルについてはあまり考えない方が良いと思っています。例えば『ぼくのエリ 200歳の少女』を作った時、周りからはヴァンパイアものだね、ホラーだねと言われたけれど、あの作品は僕にとってはラブストーリーで、大人にならんとしている少年の恋愛映画として作ったんです。公開後にホラー映画のオファーが沢山来たんですが、僕は‟ホラーは知らないし、特に興味も無いし…”と思いました。だからジャンルをよく知らないことが、逆に何か違うものをもたらしたという意味で、良い巡り合わせだったのかなと思っています」

画像: ――本作や過去の作品も含めて、全くジャンルの違う作品ですが、何か共通点はございますか?

――過去に撮られた経験で本作に活かせた部分を教えてください。

「僕の映画作りで何か特徴的な部分があるとしたら、それは僕自身がそれを掘り下げるべきではないと思っています。自分自身が映画作家として、そういうところに興味を持つべきでないと思っているんです。映画作りでこれは自分っぽいなと意識をすることは、映画にとって良くないと思うので。大事にしていることは直感や、童心に戻って子供の目で見て、その感覚で映画を作ること。あとは、観客とうまく通じ合えるような、そういう作品をつくること。知性で考えて作るよりは、本能を大事に作っています。自分が何か脚本などを読んだ時も、自分のリアクションに耳を傾けることを大事にしています。何かを読んだ時に笑ったり泣いたり、身体が反応することは大抵良いことだったりするので、そういうことを大事にしています」

――最後に日本の皆さんへメッセージをお願いいたします。

「豊かな文化を生み出してきた日本で『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』が公開される事をとても嬉しく思っています。日本は何度か訪れたこともあるとても好きな場所です。僕らがこの作品を観て笑うのと同じくらい、日本の方々にも笑ったり、何か共感して貰えたら嬉しいです。皆さんがどんなリアクションをするのか、今からとても楽しみにしています!」

ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル

9月2日より kino cinéma横浜みなとみらい他にて全国順次公開

監督:トーマス・アルフレッドソン

脚本:トーマス・アルフレッドソン、ヘンリック・ドーシン、リカード・ウルヴスハマール

出演:ヘンリック・ドーシン、ヘダ・スターンステット、アンダース・ヨハンソン、ダーヴィド・スンディン

配給:キノフィルムズ

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画像: スウェーデンで人気の怪盗団映画シリーズで、初のコメディを手掛けたトーマス・アルフレッドソン監督インタビュー

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「死にたい」が口癖だった僕から、9月1日の君たちへ:時事ドットコム - 時事通信ニュース

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 現在大学2年生の西川幹之佑さんは、注意欠陥・多動性障害、アスペルガー症候群傾向、学習障害のため、小学生の頃からトラブルを起こし続けていた。周囲になじめず、テストで点が取れないと、教室を飛び出す毎日。人に迷惑を掛けてばかりだ…と自分を肯定できず、小学3年生の頃から「死」の衝動にとらわれるようになった。

 そんな西川さんの人生を変える出来事があったのは、中学2年生の夏休みの終わりのことだった。きっかけは、通っていた麹町中学校の工藤勇一校長(当時)から届いた一斉メールだった。それ以後、「死にたい」と口にしなくなった西川さんの心に何が起きたのか。つらいときの解決方法は「死」ではないと、いま強く訴える西川さんの著書『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由―麹町中学校で工藤勇一先生から学んだこと』から抜粋してお届けする。

心の奥底でたまり続ける発達障害の自分を否定する気持ち

 僕は小学3年生の頃から、何かあるたびに、死にたいと言うようになりました。

 一番の原因は、「発達障がいである自分は、何をするにも大変で、生きること自体しんどくてしかたなかった」からです。学校でも嫌なことがあると、かっとなって自分の首を絞めたり、階段から飛び降りようとしたり、自室でもパソコンで自殺の方法について調べたりするということをしていました。

 この言葉は両親を苦しめました。僕の「死にたい」という気持ちを変えるために、いろいろなところに相談して、多分お金もいっぱい使ったと思います。でも、「死にたい」という気持ちは僕の心の奥底で、沼の中に沈むドロのようにたまり続けました。学校も僕の対応に困っていました。

 いつだったか、両親からは、僕が発達障がいで大変であるとはいえ、簡単に死を選ぶことは許されない、苦しくても人は生きていかなくてはいけない、僕のことは大切な宝物なのだから自分の判断で簡単に死を選ばないでほしい、と泣きながら話をされたこともあります。

 でも、両親の気持ちを理解すればするほど、それと反比例するように、僕は自分をますます否定するようになります。なぜなら、2人は幸せになるために結婚したのに、僕のような不良品が生まれてしまい不幸にさせてしまった。申し訳ないとしか思えなかったからです。

 一方で、死にたいと言いながらも、どこか「死」ということに対して踏み切れない自分がいました。そんな自分を、もう一人の自分が見ていて、本当は死ぬということではない別の方法で自分は救われたいとも思っているのではないか。こんなふうに感じていました。

 死にたい死にたいと思いながらも、頭の片隅に、祖父母の顔、両親の顔、妹の顔、大好きな人たちの顔がよぎると、死にたくないと感じる自分もいました。そうなると僕はどうしたらいいのか分からず、泣くしかありませんでした。

 死にたい、死にたくないという気持ちが揺れ動く中で過ごしていた中学2年生、2016年の夏休みの終盤に差しかかったある日のことです。夕食を食べながら家族で見ていたニュースで、9月1日は一年でもっとも子どもの自殺が多い日であるという事実を知ります。

「死にたい」とばかり言っていた僕を目覚めさせた工藤先生のメール

 そのニュースを見ながら、両親は「無理に学校に行くことはないんだよ。幹之佑の命の方が、世間体より大事なんだからね」と声を掛けてくれました。

 その夜、ベッドに入ってからも僕は子どもの自殺のニュースが頭から離れず、普段より余計に寝付けませんでした。

 死にたい死にたいと口癖のように言っていたにもかかわらず、あのニュースを見てからの僕は、気持ちがモヤモヤして仕方ありませんでした。

 死ぬことしか選択できなかった子どもたちの絶望やむなしさを思いました。そして、死んだやつに「何で死ぬんだよ! 死んだらダメだろう?」と言いたい気持ちでいっぱいになり、何で助けられなかったんだと胸が苦しくて苦しくてたまらなくなりました。死にたいと言う自分の姿が自殺した子たちと重なり、それを見ている別の自分がまた、そう感じていたのです。

 それから2日もたたないうちだったと思います。麹町中から保護者のメールアドレスに生徒向けの一斉メールが届きます。メールをプリントアウトしたものを母は僕に渡してくれました。

 メールには、次のようなことが書いてありました。あちこち探したものの、残念ながら、現物は手元には残っていなかったので、断片的な僕の記憶を頼りにした大体の内容です。この点はご了承ください。

 “やあ、みんな。校長の工藤です。みんなは夏休みをどんなふうに過ごしているかな? 宿題が終わった人も、終わってない人もいると思うけれど、9月1日の始業式は何も心配することはありません。元気な子も元気でない子も、とにかく顔を見せに学校においで。僕もほかの先生も、君たちが顔を見せに麹町中に来てくれることを待っています。

 もし何か心配や困ったことがあったら、いつでも校長室に来てください。君たち一人ひとりを麹町中は待っています”

メールのプリントアウトを握りしめて一人ボロボロ泣いた

 母はこのメールを開いて最初に読んだとき泣いたそうです。子どもたち一人ひとりの顔を浮かべながら校長先生が書いたメッセージを初めて読んだからだと言いました。そして、自分の子ども時代にこんな素晴らしい先生に出会えていたら、私の人生ももう少し変わっただろうな。幹之佑がうらやましい、と言いました。

 僕もこんなことは初めての経験です。

 そして、こんなにもまっすぐに、自分の気持ちを生徒のみんなにぶつけてくれる工藤先生をはじめとした麹町中の先生方に対して、僕は今まで何てことをしていたんだろうと恥ずかしくなりました。

 麹町中で、僕は死にたいと何度も言っていました。かっとなって階段や窓から飛び降りようとして、そのたびに、先生たちに止められては叱られました。

 工藤先生も副校長の宮森先生も、クラス主任の柿崎先生も、担任の深代先生も、保健室の新橋先生も、真剣に僕に向き合ってくれていたのに、僕は自分だけが大変で苦しんでいると思っていて、周りの人の気持ちなんて考えたこともありませんでした。

 死にたい僕よりも苦しそうな表情で、いつも泣きそうな顔をして必死で話をしてくれる柿崎先生を思い出したら、僕はなんて自分勝手なことばかりしていたんだろうと思いました。

 本当に申し訳ないことをしていたんだ。死にたいと言っている僕を見ているもう一人の自分がこのことに気付いた瞬間、僕は自分の部屋でメールのプリントアウトを握りしめながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と一人で言いながらボロボロ涙を流していました。

工藤先生からメールを読んで考え、実行したこと

 僕は工藤先生からメールをもらって、どうしたらもう死にたいと言わないようになれるかを考えました。そして翌日、僕は母に考えがあるので手伝ってほしいと言いました。

 僕が考えたのは、「死にたい」というのは、自分の存在をこの世の中から消したいのではなく、「死にたいくらい、つらい」という気持ちを伝えたいということなので、僕の真意を周囲の人に受け止めてもらえないかというものです。

 だから僕は今後「死にたいくらい、つらい」と言い換えようと思っているものの、何かのときに感情的になり過ぎて、つい「死にたい」と言ってしまうかもしれない。その場合は、「死にたいくらいつらいということ」だと理解してもらい、後は自分でどうすれば気持ちを落ち着けられるか考えるので、手助けしてもらいたいと思ったのです。

 その日から、家でも、学校でも、自分自身に対しても、「死にたい」と思った瞬間、僕は「死にたいくらい、つらい」と言い換えるようにしました。両親から説明を聞いた麹町中の先生方も言い換えられるよう、寄り添ってくれました。

 相性の合わない先生のこと、ちょっかいばかり出してくる嫌なやつのこと、忘れ物ばかりしてしまうこと、提出物の期限が守れないこと、テストの点が予想より悪かったこと、何となくイライラする…。

 何かトラブルがあったときに「死にたい」という一言だけで済ませていた僕。それが「死にたいくらい、つらい」と言い換えているうちに、少しずつ次に続く言葉が出るようになっていきました。

 以前のようにただ感情を爆発させるのではなく、「死にたいくらい、つらいので、落ち着くまで保健室に行ってよいですか」のように、今すぐに自分がどうしたいかが言えるようになってきたのです。

 言葉の言い換えだけで、そんなに違うの?と思うかもしれませんが、僕は変わることができました。もし何か落ち込むことがあったら、「死にたい」ではなく、「死にたいくらい、つらい」と心の中で言い換えて、自分の感情の動きを感じてみてください。重く、どす黒いかたまりのような気持ちが、いつもよりもほぐれていくように感じられるはずです。

 工藤先生のメールをきっかけに、かなり時間はかかりましたが、僕は少しずつ「死にたい」と言わなくなり、自殺めいた行動を衝動的にしたいとも思わなくなりました。

 その土台になったのは、ぶつかりながらも何だかんだ言いながら理解してくれた両親がいたことや病院の先生、助けを求めた僕を見守ってくれた麹町中の先生がいたことです。

かつての僕のように「死にたい」と思っている子供たちへ

 もし今「死にたい」と思っている人がいたら、命を守るために、今すぐにでも誰かの助けを求めて、環境を変えてください。

 つらいときの解決方法は「死ぬ」ことではなく、周りに相談することです。まず、自分の身体と心を守ることを考えて、安全な場所を確保してください。

 親や学校の先生が信じられないなら、電話相談、交番の警察官や駅の係員の人、誰でもよいです。一人でも多くの人に伝えてください。必ず、真剣に受け止めてくれる人がいます。我慢したり無理をしたりせずに、勇気を出して「助けて」と言ってください。

 いつも死にたいと言っていた僕の心からのお願いです。

   ※  ※  ※

 筆者の西川さんは、このような工藤勇一氏の言葉をきっかけにして、自らの生き方を劇的に変えていく。当事者の視点で、その過程を克明に描いたのが『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由―麹町中学校で工藤勇一先生から学んだこと』(時事通信社)。

 【著者プロフィル】西川幹之佑 2002年新潟県三条市生まれ。注意欠陥・多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群(ASD)傾向、学習障害(LD)などの特性がある。東京都千代田区立麹町中学校、英国・帝京ロンドン学園卒。現在、帝京大学法学部政治学科2年生。

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相葉、中田秀夫との初タッグに 「とても見応えのある作品」と自信!【完成報告イベントレポート】 | ニュース | 映画『“それ”がいる森』公式サイト|9.30[Fri.]未知の恐怖へ - movies.shochiku.co.jp

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いよいよ、9⽉30⽇より公開となる本作。これから始まる、怒涛の「“それ”がいる森」旋風のキックオフとして、完成報告イベントを⾏いました!

巨大LEDビジョンに映し出された“それ”がいる森の前に不気味な霧が立ち込めるなか、本作の主演を務めた相葉雅紀をはじめ、松本穂香、上原剣心、眞島秀和、そして中田秀夫監督が登場。

まず、不可解な怪奇現象が多発する森で、未知の恐怖に遭遇する・田中淳一(たなか・じゅんいち)を演じた相葉は「あの中田監督の作品に参加できてとても光栄です。登場の演出が怖くてびっくりしています!(笑)」と、淳一の息子の一也の担任教師を務め、怪奇現象に巻き込まれていくことになる本作のヒロイン・北見絵里(きたみ・えり)を演じた松本は「ホラー好きとして中田監督の作品に出ることができてとても光栄です」と、ジャパニーズ・ホラー界の名匠・中田監督作品への喜びを語った。

淳一の息子で、偶然、得体の知れない“それ”と遭遇してしまう・赤井一也(あかい・かずや)を演じた上原剣心は「初映画だったんですけど、中田監督の熱血な映画に出られてとても光栄です」と、初々しさの残る表情で挨拶すると、父親役を演じた相葉からは優しい笑みがこぼれた。

町で次々とおこる、謎の不審死や行方不明事件を追う警部・綾波武史(あやなみ・たけし)を演じた眞島は「久しぶりの中田組でとても楽しかったです!」と、本作のメガホンを取った中田秀夫監督は「自分としては新しいチャレンジを沢山した作品なので、これから観ていただく方に存分に楽しんで貰いたいです」とそれぞれ挨拶した。

完成した映画を観た感想を聞かれると、相葉は「いわゆるJホラーとは違うんですけど、でもしっかりドキドキハラハラして、それでいて家族との絆だったりも見ることができて、すごく見応えのある作品でした」と、久しぶりとなる主演映画に自信を覗かせる。また、「“それ”と遭遇するときのリアクションは監督から普通の演技ともまた違った色々な演出を受けて、それはとても新鮮でしたね」と撮影を振り返った。

松本は「自分が出た映画に言うのはあれなんですけど、すごく面白かったです!びっくりドキドキして、でもニヤニヤしちゃうようなワクワク感もあって、幅広い方に楽しんでもらえる映画になっているんじゃないかなと思います」と話す。

眞島は「台本を読んでいるので展開はわかっていたのに、映像で観ると思わず声が出てしまうような場面が沢山ありました!」と感想を述べると、これには相葉も「わかる!わかる!なんでだろうね!笑」と強く共感していた。

相葉は上原との親子共演について「完成した作品を観たら、あれ?だんだん顔似てきたんじゃないかな?と思いました(笑)あとは、剣心君が撮影中に誕生日を迎えたので“なにをあげようかな~”と考えてるのが、お父さんってこんな感じなんだなって思いましたね」と話すと、上原は「本当に優しくしていただいて、理想のお父さんという感じがしました!」と、実の親子さながらの関係だったようだ。

眞島は共演経験のある相葉と松本について聞かれると、「僕は現場で“懐かしいね”って話しかけたかったんですけど、そう易々とおふたりとも話しかけられるような雰囲気でもなくて」と話し、相葉は「え!僕たちそんな話しかけられないオーラ出てました!?(笑)」と驚いていたが、相葉が眞島と対峙する本作での重要なシーンだったからだと理由を語った。

上原は初めてとなった撮影現場について聞かれると、「最初は不安で一杯だったんですけど、相葉さんも監督もとてもフォローしてくれて、最後には“気軽”に演技が出来ました」と答え、その大物ぶり(?)に会場を沸かせた。

また本作はジャパニーズホラー界の名匠・中田秀夫のチャレンジともいえる作品だが、相葉について「相葉さんは現場でもすごい自然体で肩の力が抜けた状態で現場を盛り上げてくれましたね」と語り、現場では助けられていたようだ。

一方、松本については「松本さんは撮影が終わったあとにホラーがお好きっていうことを知ったんですけど、やっぱりホラーが好きだからこそ“それ”を見たときの驚いた表情とかが細かく説明しなくてもすごく上手で、現場で思わず“うまっ!”と言ってしまいましたね」と演技の面で助けられたことを明かした。

本作は新時代のホラーエンターテインメント作品であることにかけ、今まで経験した中で一番恐かった経験を聞かれると、

相葉は「嵐の最初の頃だったんですけど、心霊現場に検証に行くっていう仕事が結構あって、指示にしたがって色々なことをやらされたんですけど、一回怖すぎて気絶したことがあります(笑)」と、松本は「仕事終わりにマネージャーさんと分かれたあとすぐに“なんか付けられてたかもしれないから気をつけて”って連絡が来て、パッと振り返ったら人影がさっと電柱に隠れるのが見えて・・・」と、まさに背筋も凍るようなエピソードを披露。

上原が「この作品を撮っていたときに、ホテルの角部屋に泊まったことがあって、その時に何もないはずの壁の向こうから音が聞こえてすごく恐かったです」と話すと、相葉からは「そんなことあったの!?現場では全然言ってなかったよね!」と共演者も驚きのエピソードを披露した。

眞島は「お坊さんの役をしていたときに、ホテルでお経の練習をしていたんですけど、少し外出して戻ってくると部屋のトイレの水が流れていて、なんかの誤作動かと思って、何事もなく次の日になったんですけど、今度は荷物が勝手に落ちたりして。これはなんか勘違いされてるぞと思って、“僕はお坊さんじゃないですよ”と唱えながら普通に寝ました(笑)」と役者ならではの恐怖体験を披露。

中田監督は「リング2の撮影を海辺で撮影をしていたときの話なんですけど、録音の人から急に呼ばれて音声を確かめたら、なにもないはずの海面から耳元で囁くような声で“りかこ”というのが聞こえて」と話すと、相葉からは「めちゃくちゃ怖いじゃないですか!」と言われた中田監督は「でも僕は“りっ”という音と“かっこーん”という音がたまたま重なっただけだと思ってます」と、まさかのオチで会場の笑いを誘った。

最後に、中田監督が「僕はこの作品を名付けてアクティブホラーと呼んでます。“それ”も、対峙するみんなの動きも、今までのホラーとはかなりテイストが違うので、そこを存分に楽しんでもらいたいです」と、相葉が「見たいけど怖くて行けないかもと思っている人も、誰かと観てもらえれば絶対大丈夫なので!観てほしいです!」と本作を強くアピールし、大盛況のままイベントは幕を閉じた。

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早慶クラシコ特集 第2回 キーパー対談 平田周×ヒル袈依廉 - wasedasports.com

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 今季、Aチームのキーパー長を務める平田周(スポ4=東京・国学院久我山)とビックセーブで何度もチームを救ってきたヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)。ア式の守護神として君臨する2人のGK論について迫る。

※この取材は8月24日に行われたものです。

「信頼感をもっともっと上げていかないといけない」(ヒル)

今季はチームを救うセーブを多く見せるヒル

――今シーズンここまでを振り返ってください

ヒル 前期は9試合出さしてもらって、チーム全体としてはなかなか勝てないというか上手くいかない時間帯がほとんどで、その時間帯の中でもキーパーとしては逆に活躍するという場面が多くて、セットプレーだったりカウンター攻撃を受けたりした中でいかに守るというところでの課題というのが浮き彫りになったシーズン前半だったのかなと思っていて、そこで試行錯誤していく中でちょっとずつ課題を修正していったりして後期に今向かっているところなんで、Aチームのキーパー全体でコミュニケーションをとったりしていくことが求められることかなと思います。  

平田 僕はまだ前期試合に出ていないんですけど、袈依廉とかのプレーを見ていて、ゴールキーパーとしてはかなり積み上がっているなというのは感じていて、それは僕とか他のキーパー含めてAチームのゴールキーパーは難しい試合とかも多いからこそ個々の能力が成長してきているなと感じるんで、結果は出ていないんですけど一人の選手としてかなり良い経験をしているなというのを袈依廉を見ていても思うし、自分自身も他のゲームとかに絡んでいて思うので、パフォーマンスに着目するなら悪くはないんじゃないかなと前期振り返って思います。  

――ア式蹴球部としては前期結果がなかなか出ませんでしたが、考えられる要因は

ヒル 全員言うと思うんですけど、得点力不足が一番の課題かなと思っていて、ゴールキーパーはそこに直結するようなポジションじゃないですけど、一番近いディフェンスラインにコミュニケーションをとっていくことが、小さいですけど少しは得点に絡む要因かなと思います。  

平田 難しいですけど、今の得点力不足とかサッカー的なところに着目するとどのチームでも無数にあって、その中で自分たちが特段勝てていないというのはゲームによって波があったりとか、後期の1節みたいに良いゲームをすることもあれば、入りから終わりまで何もできないっていうゲームもあって、自分たちで初めからエネルギーを作り出すことができてなくて、そういうゲームをつくったりしてるなというのはすごく思っていて、相手どうこうではなくて自分たちがどんどんネガティブになっているというかネガティブな自分に対して、それを盛り上げるモチベーションやパワーみたいなのがなかなか出せていないなというのがすごいあって、やっぱり自分たちは下位だからこそ状況的に相手に押し込まれることも多いし、相手に先制点を取られる状況というのが多いんですけど、順位を見ればそういった状況に陥りやすいことがわかりやすいし自分たちが下から追い上げなきゃいけないチームなので、そういった状況を分かってこそ苦しい状況でも一旦冷静になってやらなきゃけないと思うので、そこで空回りしている選手が多いかなと思います。  

――試合や練習の時に最後方から見ていたチームの姿はどう映っていましたか

ヒル 一番後ろから見ている身として攻撃面とか守備面とかのかみ合わせが上手くいかないなというのは練習中少し感じたりしていて、ゲバだったりはもちろん小さいミニゲームも含め近い選手とあまり連携が上手くいかないなというのが度々あって、そこでの起きる前のコミュニケーションとかそれが起きてしまった後のコミュニケーションがものすごく大事だと思うので、少しずつそれを積み重ねていって週末のゲームとかにつなげられたらなとは思います。  

平田 自分は全体的な雰囲気とかが一番後ろから見ていたら分かるので、それを見て盛り上げたくて声を出したりとか何かアクションするけど、なかなか良い影響が出ないというか実際に全体が良い雰囲気になったり、盛り上がる雰囲気に持っていけたかというと後ろから見て感じるけどそこになかなか持っていけない葛藤とか難しさがあって、後ろから全体の雰囲気を感じながらも上手くアプローチできないところにすごい葛藤は感じますね。今もそういうときがあるので、感じながらやっているという感じです。  

――前期の中盤から守備面では安定してきたのかなと思いますが

ヒル 明治戦から僕を含め試合に帰ってきたのは中盤の時期で、4年生がチームを支えるポジション、4バック全員に4年生がいたので頼れる部分もすごく大きかったですし、僕としてもすごくやりやすくて自分より先に体を張ってくれている4年生を見て、自分もやらなきゃなと思った部分もありますし、後ろの選手たちがチームを支える部分を担っていると思うのでそういったところに4年生がいると自分としても助かった部分はありました。  

平田 精神的な支柱というか要素が大きかったなと思って、4バックに入った4年生それぞれの個性もありながら、冷静さであったりとか強く言える人もいる部分ですごいバランスも保ったし、プレーでやるのはもちろんなんですけどゲームを通しての安心感や安定感みたいなものは生み出されていったなと感じました。  

――今抱えている課題や逆に実践できているなと感じるところはありますか

ヒル やはり僕はチームへの関わり方という部分が去年を含めての課題であって、後ろからエネルギーを出せるような選手にならないとなと思っていて、後ろが安定してくると安心して前線の選手もプレーしやすいかなと思っていて、コミュニケーションのところを含め信頼感というのはもっともっと上げていかないとなと思っています。  

平田 僕は自分の役割としてセットプレーの分析とかをやっているんですけど、かなりそれが試合を左右すると思ってやっていて、実際に内容を詰め切れていなくて最後セットプレーから失点して負けてしまったゲームとかも実際にあって、そういった意味で責任感を持ってやっているし仮にゲームに出れなくてもチームに影響を与えられる立場として、もっと相手に有効な戦術だったり方法というのを探りながらやっているので、チーム全体の課題を個人が解決できる良い場所だなと感じながら今やっています。  

――セットプレーの分析というのは守備面ですか

平田 基本的にどっちもやっていて、相手の攻撃と守備どちらも見ているので自分たちの守備のやり方も考えますし、相手の守備のやり方も考えればどこがチャンスであるとかどこに隙が生まれやすいかというのもおのずと分かってくるので、そういった意味での攻撃の仕方の提案とかも同時にやらせてもらっています。  

――ア式は今季セットプレーからの得点が少ないような印象がありますが何か要因はありますか

平田 そもそもセットプレーをもらえる回数が少ないかなとも思って、何かしら方法を提案しても試行する回数が少なかったりとか何回もやっていく中で相手が感じる脅威とかもあるので、セットプレーはもちろん大事ですけど、まず自分たちが攻めるであったりとか攻められるゲームをつくっていくことの方が大事だと思っていて、セットプレーは本当に局面的なのでそれが良くも悪くもあって、局面的に崩せることもあるんですけど結局はゲーム全体での一局面でしかないので、90分という長い間で見るとそこだけにフォーカスするのは僕だけで良いのかなと思っているので、課題に関しては一試合一試合見ながら改善していくという感じです。  

――ヒル選手も平田選手からセットプレーの際のアドバイスをもらったりしましたか

ヒル そうですね。チーム全体のこともなんですけど、結構自分とかキーパーに向けてのアドバイスも多くて相手がどう攻めてくるものに対して自分がどうやってディフェンスと連携しながらどのスペースを埋めながらとか、そういったところをお互いに意見を出しながらやったりというのはあります。  

――土曜日に後期初戦がありましたが、前期を踏まえてチームとして変わっていると感じているところはありますか

ヒル 中断期間とかはフィールド(プレイヤー)は走りという部分で追い込んでいて、運動量の部分は良くなっていると思っていて、後は前半は攻め込まれる部分があったんですけど、後半で建て直すというところで自分たちがボールを持つ時間も多くて、そういった部分で体力を温存できる時間はあったのでそこを自信にしながら次いつ試合があるのか分からない状況ですけど、常に準備しながら向かうところかなと思います。  

平田 後期一試合しかやっていないですけど、外的要因というか今下位という状況もあると思うんですけど、覚悟が決まってきたというか4年生だけじゃなくて、3年生も2年生も1年生もゲームの入りとか最後の最後疲れているときにやりきるところとかは、今袈依廉が言ってくれた中断期間のトレーニングもそうですけど、そこの腹のくくり方が一つ変わってきて、後期1節目は引き分けでしたけどこのゲームを自分たちが続けていってもっともっと良くなっていけば順位が上がっていくという希望を持てるというか強い気持ちを持てるゲームができたと思うので、そういった気持ちのこもったゲームを1節だけじゃなくて後期全試合でやっていきたいなと思っています。前期はそういったゲームがなくて、最後の何試合かも絶対に落とせないと分かっていたし、順位も下だったんですけど、外から見ていても中の選手もなんで自分がやりきれてないのか分かってないような感じで、みんながモヤモヤしているような感じだったので、そこは覚悟決めてやっと戦い始められたかなと思います。  

「特別な関係を今のア式のゴールキーパー陣はつくれている」(平田)

最後方からチームを支える平田

――他己紹介をお願いします

ヒル 知ってる範囲で話すと、Aチームのキーパー長をやってる平田周なんですけど、早稲田全体をまとめる力はものすごいあると思っていて、1番誰にでも意見をぶつけられる最強な人間だなと思っています。

平田 袈依廉は結構物静かなんですよ。この感じで。シャイっていうか。でもかなり、僕はキーパーなんでキーパー同士仲良くやっていますけど結構色々な先輩からかわいがられている感じで。でも結構、意外と練習とかだと図太いなと感じてて、ちょっとしたミスとか、ネガティブになりそうなときも意外とスンとしているというか。雨の日のゴールキックはすごい気にしちゃうんですけど、それ以外は図太いなと思っていて。あんまり気にしていないように見せてるのかもしれないですけど、まあでもそれができるのがすごいことだと思うので。意外と気にしてないのかなって端からみてて思ったりとか、そういう意味で図太いなと思うことがありますね。

――2人のお互いの紹介を聞いてみていかがでしたか

ヒル 物静かっていうのは、すごく自分のマイナスな部分なので、すごく感じている部分はありますね。そういったプレーのミスとか気にするのは気にするんですけど、たしかにあまりみせようとしないのはあると思います。

――最強の人間ということでしたが

平田 そうですね(笑)。最強かどうかはわからないですけど、別に結構誰にでも言えるっていうのは、そうかもしれないですね。嫌われてもいいやと思って。

――自分が嫌われ者の役を買ってでも結構言うのですか

平田 そうですね。結構そうやって、頑張ってきた人たちを見てきて、年上の人とかで。なので、それがかっこいいとまでは思わないですけど。チームのためになるというか、言わないでそのままにしちゃうよりかは言った方がいいなと思ってるんで、そこはあまり誰かとかは気にせずに言っちゃうというのはありますね。結構言い方とかは問題あると思うんですけど(笑)。

――言い方に問題があるのですか

ヒル そうですね(笑)。多少問題ありますね。   

――お二人のプライベートでの関係は

平田 プライベートは意外とというか、全然遊んだことがなくて。(ヒルは)寮生なんですよ。なので、寮の選手とかと仲が良くて。部室とかで一緒の選手とかだと、そこで飯行ったりとかしちゃうんで。そういった意味では袈依廉は意外と行ってないなっていう。

ヒル 寮生は自炊がメインなんですよね。コメ炊いて、適当におかず買ってみたいな。寮外生ほど外食は行かないので。行きたい気持ちはめっちゃあるんですけど。

平田 実は今週、GK温泉合宿っていうのがあって、キーパーみんなで温泉いこうかなと思っていて、そこでマジで初遊びですね。

――2人の仲の良い選手を教えてください

ヒル 寮生の同期とかがほとんどなんですけど、よく出掛けるのは光田脩斗(スポ2=名古屋グランパスU18)ですね。同部屋ではないんですけど、たまに部屋にいますね。結構、俺らの部屋がたまり場になっていて、来るんですけど、買い物とかは、光田は何も用事がないのに、ついてくることがありますね。

平田 僕はヒル袈依廉(笑)。

ヒル 絶対嘘(笑)。片思いでしょ。

平田 そうだな。でも、みんなと仲良くて。特段仲良い人がなかなか思いつかないですね。結構、同期もキーパーも仲良いんで、誰と仲良いのかなあ。でも、後輩というくくりで言うと、キーパーの2年生が1番仲良いんじゃないですかね。ヒルとか、竹中豪(人2=FC町田ゼルビアユース)とか、北村公平(文講2=神奈川・桐光学園)とか。3人が後輩というくくりのなかでは1番仲良いし、1番喋ってると思いますね。Aチームでのそのメンツの練習が多いので。一緒に練習する機会も多いし、3人とも隙が多いので、いつも僕がイジり倒してます。

――お互い、プレーや練習での取り組みをみて刺激を受けることはありますか

平田 やっぱ、袈依廉はデカイので、感じますよね。良い刺激ももらえますし、その一方でそれは袈依廉の良さだし、俯瞰して自分の良さもみえるっていうか。そういった意味でも、刺激だけじゃなくて、自分にもいろいろな気づきとかを与えてくれるなって思って。全然、袈依廉はまだまだだなとは思っているんですけど、本当にうまくなる余白があるなと思っていて。余白がどんどん埋まっていって、よりパーフェクトな選手になっていくのは見ていきたいなとはすごく思いますね。

ヒル めぐは結構、練習メニューを考えてくれる人なので、練習中の楽しくトレーニングするというところではすごく見習う部分があります。プレー面でも、チームへの関わり方というのが自分の課題なんですけど、そういうところは(平田選手が)1番だと思っているので、そこをゲーム中とかにみて盗みながら、やっている部分はあります。外からも声かけてくれるので、集中しやすい環境だなとは思います。

――ア式ゴールキーパー陣の関係性は

平田 僕は、チームで1番仲良いと思いますよ。ポジションでくくるとしたら、ゴールキーパーは1番仲良いと思いますよ。俺はその自信あるけど袈依廉はどう。

ヒル もちろんそうですよ(笑)。でもどこでくくるのかなって。(フィールドプレーヤーとは)別に練習するので、自然と仲が良くなるのはありますね。お互い指摘し合う1番いい環境だと思うので、そこも含めて。

平田 学年が入り交じって仲良いのとか、ふざけあったりとか、練習で高めあったりとかっていうのはゴールキーパー特有なのではないかと思っていて、盛り上がりとか、楽しさというのはすごいあるなっていうのは強く感じていて。高校とかだと、3年生の方がうまいっていう構図ができあがりやすいんですけど、大学になると、どの選手にもチャンスがあって、どの選手もうまくてっていうのがある中で、お互いを高め合えるっていうのがあるので、そういった特別な関係を今のア式のゴールキーパー陣はちゃんとつくれているのかなと感じていますね。

――時代を追うごとにキーパーに求められる役割は増えていますが、今のキーパーに1番求められていると考えることは

ヒル フィールドプレーヤーがキーパーのことをあまり気にしなくてもいいキーパーが1番いいのかなと思います。信頼関係が大事になると思うんですけど、気にしちゃうと自分のプレーに集中できなくなってしまって、マイナスなことを与えてしまうと思うのでむしろ後ろは大丈夫と思わせるくらいのキーパーが求められているのかなと思います。

平田 僕は結構考えてきたんですけど、結局は求められていることといったら、シュートを止めることしかないなと思っていて。技術的な話になると、ちょっと前からシュートの止め方に関しては色々な技術がでてきたりとか、新しい技とかが生み出されているんですけど、それも結局シュートを止めるためであって、シュートを止めるという本質は変わっていないなと思っていて。もちろん、ディフェンスの裏のケアであったりとか守備範囲が広いこととか、ビルドアップがうまいとか、キックがうまいとかもあると思うんですけど、それらは付随的なもので個性としてあったらいいと思うんですけど、キーパーの本質としては、シュートを止めることで、時代がずっと流れてもやり方は色々な技術がでてきて、増えてきているけど、そこの本質は変わっていないなとは僕は思ってます。

――自分の中での理想のキーパー像は

ヒル シュートを止める、ゴール前を支配するっていうのが、やはりそれが1番理想的で、目指すキーパー像ですけど、その上でやっぱり足元だったり、配球の部分とか攻撃の起点となる部分に特化したキーパーというのがシュートストップを兼ね備えた上でのそういった強みがあるとみられ方も変わってくると思いますし、自分のアピールポイントにもなりますし、見てくれる人の自分の見てほしいポイントのひとつとなると思うので。ストロングな部分というのをたくさんもっているキーパーがいいのかなと思います。

平田 僕は、シュートを止めることが本質にあって、キーパーの役割だと思っています。自分の理想としているキーパー像としては、さっき袈依廉の紹介でも言ったミスとかしても何も気にしていない感じに通じるのですが、小さなミスをしても、キーパーとしてゴールを守るということにコミットしていれば小さいミスも気にならないし、ゴールを決められなければいいので、常に自信にみなぎっていて、いい雰囲気が漂っているキーパーというのが理想です。そういう雰囲気は敵にも伝わりますし、もちろん味方にも伝わるし、そういった雰囲気を常にもてるキーパーはすごいなって思います。袈依廉の言った安心感とか信頼感とかもそうですけど、外から見ているだけでも、あのキーパーいいなって感じたりするんですよ。そういう雰囲気をもっている時って、自分の中でもいいメンタル状態をつくれていると思いますし、常にいいメンタル状況でいられて、外にもオーラがあふれでるキーパーというのはいいキーパーだなと思います。

「何が何でも勝つという気持ちは常に持っている」(平田)

質問に答えるヒルと平田

――今早慶戦に向けたチームの雰囲気はどのように感じていますか

ヒル 間違いなくこの前の東京国際大戦を終えてからその前からもすごく良い雰囲気というのは続いていますし、その(早慶戦の)前に1試合入るかどうかはわからないですけど、この雰囲気を継続し上げていって、完成された雰囲気に近づくためにどう過ごしていくかが重要だと思うので、さっき言った自分の理想像にもどのように近づけさせるかというのも自分の向き合うべき課題だと思うので、残り2週間くらいあるんですけど、もっともっと高めあって頑張っていきたいと思います。  

平田 もう一個ギアは上がるんだろうなと思っていて、まだゲームが決まっていないというのもありますし、もっと差し迫ってきたり早慶戦に向けて動いてくれている人が露出し始めるともっとギアが上がってくると思うので、そういった意味ではまだまだ予兆というか前段階だと思っていて、でも早慶戦に関しては自分が試合に絡む立場ならどの立場であれ絶対に勝たなければと思っているし、去年負けて僕ももちろん当事者なんですけど、なんで負けたのって選手たちに思っちゃう部分はあったし、本当に負けちゃいけないと思っているので何が何でも勝つという気持ちは常に持っています。  

――ご自身のなかでの早慶戦はどのような舞台ですか

ヒル 僕は去年ずっと3番手でやらせてもらっていた中、ギリギリまで(出れるか)分からないという状況で外れて、直前でチームから外れたというすごい悔しい思いもしましたし、逆に外から早慶戦を見るという経験というのは最初から出るというよりも外の空気感を味わうという良いことだったなと、外で得た経験というのをピッチ内でどう生かすかが重要だと思うので悔しさとか去年出れなかった分を今年生かしたいなと思います。  

平田  絶対に勝たなきゃいけない試合だともちろん思っているんですけど、一方で自分の最大のパフォーマンスを出すと考えた時に、常にどのゲームもトレーニングマッチだろうが公式戦だろうが僕はあまりメンタル状況が変わらないようにしているというかそこまですごい気合が入ったりというのはなくて、それはずっと自分がやってきた中で今もそうなんですけど、試合に出る出ないとかという感じじゃなくてシンプルに自分のパフォーマンスに集中したりとかプレーを楽しんだりとかということの方が、自分の気持ちとかプレーに対して良い方向に向かうというのがあるので、絶対に勝ちたいという気持ちがある一方で、自分が試合に出るとなったらそこはナチュラルな自分で、いつも通りちょっとふざけて仲間に喝を入れて臨むんだろうなという感じではあります。 

――早慶戦に向けてのキーマンは誰ですか

ヒル 僕は間違いなく安斎颯馬(社2=青森山田)だと思っていて、理由は去年からも注目されていましたし自分の誇るべき同期なので、プレー面で言うとスピードというか馬力を大舞台でもっと生かしてほしいなと思います。  

平田 僕は山下(雄大、スポ4=柏レイソルU18)に注目したいです。もし試合に絡めればそうなった時にあいつがどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。どんな思いで戦ってくれるのかなというのを楽しみにしています。  

――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします

ヒル 僕は去年出れなかった分、大舞台で活躍したいなとは思っていて、その中でもいつも通りのプレーをできたらなと思います。結果で言うと無失点なのはもちろん今年は勝って後期リーグに良い流れをもっていきたいと思っています。  

平田 100-0ですね。ボコボコにして、泣き面かかして、ヒーヒー言わせて慶応のやつら帰らせます。(試合に)出る出ないももちろんあるんですけど、僕は出ようが平常心で出るので、別に誰が出ようと無失点で勝てれば良いんじゃないかなと思います。  

――ありがとうございました!

(取材・編集 髙田凜太郎、長野雪華 写真 前田篤宏、水島梨花、宮島真白、大幡拓登)

早慶戦に向けての意気込みを書いていただきました!

◆ ヒル袈依廉(ひる・かいれん)(※写真右)

2002(平14)年7月9日生まれ。194センチ。鹿児島城西高校出身。スポーツ科学部2年。20歳になったので様々なお酒を堪能しているというヒル選手。飲みやすくて酔いやすいので、ウーロンハイが好きだそうです!

◆ 平田周(ひらた・めぐる)

1999(平11)年7月14日生まれ。181センチ。東京・国学院久我山高校出身。スポーツ科学部4年。料理が好きだという平田選手。最近、モニークという低温調理器を買ったので、日々研究に勤しんでいるそうです!

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相葉雅紀、「嵐」の活動初期に怖すぎて気絶!? 「たぶん呪われてました」と恐怖体験を明かす - 映画.com

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2022年8月31日 19:35

相葉雅紀、足が速すぎて中田秀夫監督からダメ出しも
相葉雅紀、足が速すぎて中田秀夫監督からダメ出しも

相葉雅紀が主演し、ジャパニーズホラーの名匠・中田秀夫が監督を務める「“それ”がいる森」の完成報告イベントが、8月31日に都内で開催された。相葉のほか、松本穂香上原剣心(ジャニーズJr.)、眞島秀和、中田監督が登壇。スモークが立ちこめるステージに登場した相葉は、「演出にびっくりしました」と早々に怖がっていた。

画像2

本作は、不可解な怪奇現象が多発するという実在の森を舞台に、実際に“それ”を見たという数々の目撃情報をベースに描くホラーエンタテインメント。、田舎で農家を営む田中淳一(相葉)らが、得体の知れない“それ”に遭遇する未知の恐怖を描く。この日は物語にちなみ、登壇陣が「これまでで1番怖かったこと」を発表。相葉は、「嵐」としての活動初期に体験した、あるエピソードを明かす。

相葉「『嵐』の最初の頃、あまりお仕事がなく、心霊現場に検証に行く仕事ばかりやっていたことがあって。その時期は、本当に怖かったですね。たぶん呪われてましたね(笑)。本当にその現場でひとりぼっちにされるんですよ。トランシーバーから飛んでくる要求にこたえていたんですが、怖すぎて意識が飛びました。メンバーは『倒れた、倒れた』くらいの感じでしたよ。そういう時期もありましたね、意外と下積み長いんで(笑)」

恐怖体験を語った相葉雅紀
恐怖体験を語った相葉雅紀

本作で、「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」以来8年ぶりとなる映画主演、ホラー映画初出演を果たした相葉。中田監督は、「相葉さんは、いざ演技に入ると、アスリートのようにふっとゾーンに入るような感じで、頼もしかったです。実際にアスリートのように、小学校の校庭を駆け抜けてもらったんですが、200メートルを10秒くらいで駆け抜けていたような気がします(笑)」と振り返る。相葉が「あのとき監督から、『もう少しゆっくり走ってもらえる?』って言われましたもんね」と返すと、中田監督は「一瞬にして、いなくなりました(笑)」と、笑みを浮かべていた。

相葉を「理想のお父さん」と慕う上原剣心(ジャニーズJr.)
相葉を「理想のお父さん」と慕う上原剣心(ジャニーズJr.)

相葉と上原は、劇中で親子を演じた。相葉は「完成した作品を見たら、ちょっとふたりが似てきたなという感じがしました。監督はどうですか?」と質問すると、中田監督は「剣心くんはオーディションで選ばせて頂いたんですが、彼が一番熱くお芝居をしてくれて、(相葉さんの)面影があることも大切だよなと思ったんです」と明かす。撮影期間に、上原は誕生日を迎えたそうで、相葉は「『誕生日か、何買ってあげようかな』と考えていて、『お父さんってこんな気持ちなのかな』と思いましたね」としみじみ。上原は「プライベートでも撮影中でも優しくして頂いて、理想のお父さんという感じがしました」と感謝を伝える。「プレゼントは何だったんですか?」とMCに問われ、緊張気味の上原は「リュックの絵が入っているリュック? あっ違う、寅の絵が入っているリュックを頂きました」と訂正し、相葉を大いに笑わせていた。

ホラー好きの松本穂香
ホラー好きの松本穂香
眞島秀和、完成作を見て恐怖…
眞島秀和、完成作を見て恐怖…

ホラー好きの松本は、撮影を振り返り、「本読みをやらせて頂いたときに、監督がワクワクしながら、いろんなことを説明して下さっている姿を見て、『本当に楽しんで撮られている方なんだな』と思って、私もこたえられるように、やらせて頂きました」とニッコリ。久々の中田組となった眞島は、「もちろん台本を読んでいるわけで、どういう展開になるか分かっているんですが……完成した作品を見たら、思わず声が出ちゃった(笑)」と暴露すると、相葉も「どうしてでしょうね。分かっているのに、『おぉ……』って怖くなること、ありますよね」と大きくうなずいていた。

“それ”がいる森」は、9月30日に全国公開。

(映画.com速報)

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「やりたいことが見つかったらそれが天職」 メルカリ山田氏が語る、夢中になれる対象を探す意義 - ログミー

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ディー・エヌ・エー南場氏とメルカリ山田氏が登壇

井上祐巳梨氏(以下、井上):モデレートさせていただきます、一般社団法人STEAM JAPAN代表理事の井上祐巳梨です。よろしくお願いいたします。お待ちかねの大変豪華なゲストにお越しいただいています。株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長の南場さんです。よろしくお願いします。

南場智子氏(以下、南場):よろしくお願いします。

井上:続きまして山田進太郎D&I財団代表理事、そして株式会社メルカリ代表取締役CEOの山田さんです。よろしくお願いします。

山田進太郎氏(以下、山田):よろしくお願いします。

井上:もう見てるだけでみなさんドキドキするような……。

南場:しない、しない(笑)。

山田:しない(笑)。

井上:日本を代表する起業家のお二方の対談ということで、事前質問も非常にたくさんいただいております。みなさん、本当にありがとうございます。お話し中もこちらに出ていますハッシュタグ、#StemGirlsFesta で、ぜひとも感想だったり質問をバンバンいただけたらなと思います。

南場氏の好奇心や行動力の源泉

井上:それではご質問をして、お二方にご回答いただく流れにさせていただきます。まず、最初の質問です。今回のトークセッションは「好きなことをやろう! やりたいことに突き進むチカラとは」というタイトルです。

その中で、「自分がやりたいことに対して、親の反対があります。お二人は周囲の反対などはありましたか? 反対の乗り越え方も教えてください」という質問が来ています。よかったらお二人、いくらでも、ご回答をお願いします。

山田:どうぞ、どうぞ。先に。

南場:実はこの質問にすごく答えたかった。親の問題がめっちゃあったんだよね。もう父がやりたいことを何もやらせてくれないと言っても過言ではない状態で。封建的というか、女・子どもは男の所有物という、私の時代でもなかなかいないようなタイプの父だったんですよね。

だから例えばピアノを習いたいというと、そんな派手なものはだめで、人の前でチャラチャラさせてはいけない……。

山田:(笑)。

南場:習い事をするなら、習字とそろばんだとか。それから、学校の宿題とか勉強もしなくていいとか。とにかく部活もこういうのをやりたいと言っても、ぜんぜんだめとか。進学ももちろん父親が決める。

だから乗り越え方って言うけど、そういう意味では、家の中では父があまりに怖くて、偉大で。かつすべての経済的なものを握っていて、乗り越えられないのでずっと我慢していた。

「自転車を買ってください」も「危ないからだめ」ですよね。だから結局母親のほうにずっと八つ当たりして生きてきたんだけど、今、私ががんばる・がんばっているエネルギーは、自分のやりたいことができることの喜びで爆発している感じです。

山田:(笑)。なるほど。

南場:そう。ぜんぜん今の中高生の参考にならないんだけど、ドラマチックに変わったのは、結婚した時だった。うちの父の頭の中では、「結婚したら、娘は旦那さんの所有物になった」んですよ。

ところがうちの旦那はぜんぜんリベラルで普通の人だから、「お前の好きなようにやれ」と言ってくれた。起業の時も周り全員が反対したけど、うちの旦那にだけは「個人保証さえしなければ、何をやってもいいよ」と言われました。

それで起業はできたんです。今になってからピアノをやったり、仕事をすごいがむしゃらにがんばってきたのも、あの時できなかったことを、やりたいことをやらせてもらえることのありがたさがわかっているから。

それもあってやってきたかなと思う。だから乗り越え方ではないんだけど、「乗り越えられなくて、すごい我慢していることがあるかもしれないけど、それもエネルギーになるから」ということは伝えたいかな。

上京後も続いた父親の強い影響力

山田:本とかで南場さんの経歴を読ませていただいたら、やっぱり大学で東京に出てきたのも、けっこう大きかった。

南場:そう、「新潟大学に行け」と言われていました。高校の先生も家に来て、「智子さんを東京の大学に行かせてください」と言ってくれたけれど、それもすごい大変でした。結局、大学と学部は指定で、東京の僻地にある、大学の女子寮があるところだけ許可が出たんです。

山田:なるほど。

南場:そこまでもう本当に母もがんばったし、父もそこまでギリギリ妥協はしてくれたけど。それでも、自分の進学も、大学に行かせてもらえるかどうかも、思いどおりにならない。高校も父が決めているからさ。新潟高校を受けさせてもらえるのかどうかもわからず、最後までもじもじしていた。

山田:大学に入ったらわりと自由にやっていましたか? 

南場:いや、大学も女子寮に入って、門限が11時20分だったかな。それを越えると、どこかでうちの父が見張っているんじゃないかと思ってしまって。

山田:(笑)。

南場:父の使いの者が来て見張っているとか、寮のほうから報告がいって父からシメられるんじゃないかとか、そればっかり怖がっていました。でも私がアメリカに留学する時は、父の経済的なもの(援助)がまったく必要がなくて。大学と文科省の、その時は文科省じゃないな。文部省だ。

山田:文部科学省の前身みたいな。

南場:親が一銭も出せなくていい、奨学金で留学にいけたんですが、その時も、父はものすごく怒りました。

山田:へぇ~。

南場:それで東京に飛んできて、先生をほとんどシメそうになっていました。

山田:なるほど。

南場:親の反対でも、たぶんそんな人いないでしょ。そんな親いないから。

山田:確かに。これよりはマシだっていう。

南場:そう! マシだということをエネルギーにしてがんばってください! 

山田:そうですね。

やりたいことを「実現する」より難しいこと

井上:しょっぱなからすごいエピソードがきました(笑)。山田さんはこのあたりはどうですか。

山田:いや、うちはね~。ぜんぜん親の反対はなかったんですよね。うちは、父親が弁護士で、母親が税理士という、わりとリベラルというか、好きに生きたいみたいな感じの家庭だったので。僕が起業する時も、むしろ「税務と法務はやってあげる」みたいな感じだったので。

南場:はぁ~。そうなんだ。

山田:好きなことをやるといいよ、みたいな感じでしたね。だから財団のキャッチコピーも「好きなことをやろう」にしているんです。僕は本当に、それはすごくラッキーだったと思っています。みんなもそうなってほしいなという思いもこめての財団でもあります。

井上:まさに真反対のエピソードが出てきてちょっと驚きましたが、次の質問に移らせていただきたいと思います。「やりたい! と思うことを実現させること」。これに必要だと思うスキルやマインドを、ぜひ教えてくださいということです。南場さん、山田さん、いかがでしょうか。

南場:どうですか? 

山田:どちらかと言うと、これはまず「やりたい」と思うまでに至るほうが大変だと思うんです。それを見つけたら、なんとしても実現させようと、とにかくあらゆることを、失敗しながらああでもないこうでもないとやっていく。こっちじゃなかった、じゃあこっちかなみたいなことをやっていくと思うんです。

そういう意味では、何かをやりたい気持ちが強ければ、できると僕は思っていて。その前の、やりたいことを見つけるほうが難しいのかなという感覚はあります。どうですか。

南場:そうだよね。何がやりたいかわからない時は、けっこうあると思うんですよね。

山田:そうですね。

人間は、やりたい気持ちが強ければできるようにできている

南場:それもぜんぜん焦らなくていいと思うんです。いろんなことを経験していくうちに、何かやりたいと思うことが沸き起こってくるので。

それが沸き起こってきたらもうスキルとかマインドというよりも、何て言うんだろう。できると思うんだよね。人間は、やりたい気持ちが強ければできるようにできているんじゃないかな。1人でできないことはあっても、いろんな人に助けてもらったりして。

山田:南場さんは、いろいろ抑圧された中で、「これがやりたい」が先にあってそれに向かっていったのか、それとも、まずそこ(抑圧された環境)から抜け出して、「これだったんだ」という何かを見つけたのか。どっち……。

南場:若い時は、例えば中高生だったら絶対習わせてもらえないピアノをすごくやりたいと思っていました。父がすごくピアノを弾く人だったので、家にピアノがあったんだよね。だから隠れて弾いてた。

山田:そうなんですね(笑)。

南場:それから、ピアノが上手な友だちの演奏をずっと見て観察して、自分も真似してみたりしていた。だからそういう意味だと、やりたいと思うことというか、その程度のすごくちっちゃいレベルのこともいっぱいあるじゃん。

山田:そうですね。

南場:それだったらできるかなと思う。

やりたいことが見つかったらそれが天職

山田:起業に対してはどこで……? 

南場:起業はある時やりたいと思ったら熱病にかかってしまって。スキルだヘチマだって関係なくて、地面から足が10センチぐらい浮いてしまったような、とにかく熱病という感じだった。だからやることなすこと、みんなその頂上に向かってやる感じでしたよね。頂上はその時々で変わっていいんだけど。それだけ熱中できるものがあるのはすごく幸せですよね。

山田:そうですね。僕は、20代半ばぐらいまでけっこうふらふらして、アメリカまで行きました。楽天でオークションの立ち上げを一緒にやったりして、その後、一応起業したんですけど、その時は例えば不動産とか飲食とか、インターネットではないビジネスもやってみたいなとか、アメリカに住んでみたいとか思うことがけっこうありました。

20代を費やして、やりたいこと探ししたんですが、アメリカに住むわけでもなかったし、飲食でもなかったし、不動産でもなかった。でも、いろいろやっているうちに、やっぱりインターネットサービスを作ることが、本当に好きなんだなと思ったんです。

それで28歳くらいで日本に帰ってきました。やりたいことが見つかったらそれが天職だし、一生やっていこうと思ったので。今は、続けられてすごく幸せだなぁと思っています。

南場:例えば財団を立ち上げるとか、特にインターネットビジネスではないことについてもやりたい気持ちが沸き起こってきて、行動に移すじゃないですか。だから、1つの何かにとどまっているわけではないよね。

山田:そうですね。ただまぁ、財団も奨学金とかそういう形にはなっていて、Webサービスとは言えないんですけど、「サービスを作る」ことが共通しているかなぁと思っていて。

さっきもちょっとお話ししたんですけど、インターネットでフォームだけで投稿できるようにしていたりとか。プロセスも、裏側でデータベースを使ってやっていたりとか。そういうところはインターネットっぽくやっているつもりで、そこはすごくおもしろいなと。

南場:インターネットビジネスやサービスを立ち上げるのが好きなのもあるし、仲間と一緒に何かをがんばるのが好きということでもありますよね。

山田:はい、それもあります。

南場:いろんなたぐいがあるかなと思います。

山田:そうです。

井上:ありがとうございます。

<続きは近日公開>

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「バス」と呼ぶのは日本と英語圏だけ!! 欧州では「ブス」が主流だって知ってた? - ベストカーWeb

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 多くの人を乗せて走る箱型の大きなクルマをどう呼ぶかと聞かれれば、ほとんどの人がバスと答えるはずだ。バスはバスであって、それ以外の表現を考える必要が150%ないほど、今では当たり前の言葉……。

 今日もバスはバスの名で親しまれ、そう呼び続けられるのだ。ではこのバスという言葉、どこから来たのだろうか?

文・写真:中山修一

【画像ギャラリー】“ブス”じゃないとイヤ!? 世界と日本のバス呼び方事情(6枚)

諸説あります!バスの起源

 出尽くされた話ではあるが、バスはラテン語のオムニブス(omnibus=万人のための、というような意味)が語源で、1820年代にフランス西部の街・ナントで営業していた乗合馬車をそう呼んだのが始まりと言われている。

 馬車が通る道の近くにあった、「OMNES Omnibus」と書かれた(経営者の名前を文字ったダジャレらしい)店の看板を見た人たちが、そのうち馬車までOmnibusと言い出した「できちゃった」説と、最初から乗合馬車をOmnibusの愛称で広めようと、運営者側から言い出した「作られた」説があり、どちらが本当なのかは分かっていない。

この画像のような形のクルマを見て、それを示す言葉として真っ先に連想するのは「バス」だろう。

欧州はブスがお好き? 世界の「バス」

 フランスを皮切りに世界中へと広まったOmnibusであるが、今日の各国語では「バス」をどう表現するのだろうか。各国の原語に忠実な発音を、日本語の文字で正確に表すのは不可能であるのを断っておかなければいけないが、だいたい似た雰囲気の発音になる文字に置き換えてカタカナイズさせてみると、以下のようになる。

フランス語:オートビュス
ドイツ語:アウトブス、ブス
イタリア語:アウトブス
スペイン語:アウトブス
チェコ語:アウトブス
ロシア語:アフトーブス

中国語:バーシー、ゴンゴンチーチャー
韓国語:ポス
タイ語:ロット・メー
ベトナム語:セ・ブィ
英語:トランジットバス、バス

 実は「バス」は主に英語圏の言い方で、欧州全体で見ると「ブス」と発音する国のほうが多いのだ。日本語の意味で考えてしまうと大変な違和感を禁じ得ないものの、ところ変わればブスはブスなので、ここでは日本語でのニュアンスを抑えつつ見ていきたい。

 どこの国も、ブスは乗合馬車などのことも指すため、自動車を意味するAutoに相当する言葉とつなぎ合わせて表現される。とはいえ最近は馬車のほうが少ないのもあり、ブスだけで通じる国や地域も多い。

 一方のアジア圏の各国では、中国語のバーシーや韓国語のポスのように、外来語であるバスの当て字が“帰化”したケースもあるが、その国の言葉に則った言い回しに変化しているのが興味深い。

 ゴンゴンチーチャーを漢字で書くと公共汽車、ロット・メーは郵便車が語源、セ・ブィはフランス語起源のオートビュスがベトナム語に最適化されたもの、となっている。

 ちなみに、上記のバスに相当する言葉はどれも市内向け路線バスのことを指し、観光バスや長距離バスは表現がまた異なる(英語ではコーチ、インターシティバスなど)。

 日本語でもバス=路線バスのイメージが強く、長距離バスは「高速バス」のような別の呼び方をすることが多いので、ある程度の区別を付けるのは各国共通と言えそうだ。

ドイツ語ではバスのことをアウトブス(Autobus)と言う。短縮させた「ブス」でも通じる。

日本は昔からバスだった?

 日本語では「バス」があまりにも広く使われるため、最初からバスだったのかと言えば実はそうでもなく、鉄道時刻表など刊行物の上では、今日のいわゆるバスは当初「乗合自動車」と表現されていた。乗合自動車にはタクシーも含まれるため、判別しやすいように定期乗合自動車と記す年代もあったようだ。

 全国版の鉄道時刻表では、路線バスの時刻が掲載され始める1920年代〜少なくとも1940年代後半まで、乗合自動車の総称で統一され、1950年代から「バス」の記述が一気に増えてくる。

 バスという言葉自体が一般に浸透し始めたのは昭和初期と思われる。紙媒体では1926年を境に「バス」の記述が頻繁に見られるようになり、1930(昭和5)年発行の『大東京寫眞帖』にある、東京の路線バスを紹介するページでは、既にバスという言葉が自然に使われているのが窺える。

 また、関東大震災直後に急ぎで作られた東京のバス車両の外見が、旧世代の馬車に似ていたことが転じて「円太郎(御者のラッパを吹いて登場するスタイルで有名だった落語家の名前)」の愛称がつき、その後もしばらくの間は、バス=円太郎という認識も一部地域であったらしい。

 日本語でのバスは言わずもがな英語のBusから来ているが、日本国内で誰がいつ使い始めたのか定かではなく、自然に広まっていったと思われる。

 戦前の日本は、英語のほかドイツ語が今よりずっと一般的であったようだが、Busの場合は英語発音が採用されている。当時、諸外国の公共交通機関をお手本にしようと、アメリカや英国を視察先に選ぶ機会が多かったようで、それに準じて「バス」の発音に落ち着いたのかも知れない。

 それ以前に、さすがにドイツ語読みのブスではフツーに都合が悪すぎたとも考えられるが…。

【画像ギャラリー】“ブス”じゃないとイヤ!? 世界と日本のバス呼び方事情(6枚)

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パッケージサラダ、「利用したい」が過去最多 野菜不足の意識高まる 「サラダ白書」発表 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社) - 食品新聞社

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「生活者の6割以上が野菜不足を感じており、過半数がパッケージサラダを利用したい」と考えていることが、サラダクラブが8月23日に発表した「サラダ白書2022」で分かった。

「サラダ白書」はサラダの食文化の把握を目的に実施した年次調査を取りまとめたもの。2010年から毎年、野菜の日(8月31日)に合わせ発表している。22年版は「野菜・料理に対する意識」や「サステナビリティに関する意識」などについて、全国の20~69歳の男女2千60人にWEBによるアンケートを実施した。

調査によると、日常の食生活で「野菜不足を感じている」と答えた人は63.5%で、前年より約5ポイント増加。特に30~50代女性の7割以上が野菜不足を意識していた。理由について聞いたところ、「意識してとっているが十分ではない」がトップ(26.4%)で、「野菜の価格が高いから」(25.7%)、「一度にたくさんの量を食べられないから」(17.6%)、「日持ちしないから」(16.2%)が続いた。

野菜不足の解消に利用したい商品について聞いた質問では、「パッケージサラダ」が「野菜ジュース」や「出来合いのサラダ」などを抑えトップに。パッケージサラダの利用状況に関する問いでは「1年以内に利用した人」は前年並みの56.5%にとどまったものの、「利用したい人」が53.3%で、調査開始以降最も高かった。「利用したい人」は10年比で5ポイント以上増加。女性の非利用意向率がやや高く、男女ともに若年層で利用意向率が高い傾向が見られた。また有職者男女の利用意向率が高い一方、専業主婦では低かった。

4割が大容量品を購入

パッケージサラダ喫食者に購入したサラダの種類を聞いたところ、約4割が大容量パックを購入した経験があり、若年層では約半数に及ぶことが分かった。食べ方についての質問では、大容量パックを「2回に分けて食べる人」が4割以上いたのに対して、「1回で食べきる人」は3割程度と、複数回使いが主流だった。パッケージサラダの消費期限は「3日」「5日」のどちらを選ぶかという質問では、「5日」が42%、「3日」が24%で、より日持ちする商品を好む傾向がうかがえた。

一方、自身で料理をする際にどのような時に罪悪感があるかという質問には「期限内に食べられないとき」が53.6%、「栄養バランスに偏りがあるとき」が44.6%。「カット野菜を使うとき」に罪悪感があるという回答は17.2%で、「レトルトやインスタント食品」「出来合いの総菜やサラダ」「冷凍食品」より低い結果だった。

「野菜・料理に対する意識」「サステナビリティに関する意識」アンケート(サラダ白書)

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Tuesday, August 30, 2022

人事が思っている以上に、就活生は「会社のクチコミ」を見ている Z世代の就活事情と、採用活動で気をつけるべきポイント - ログミー

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Z世代の就職活動を考えるための「2つのポイント」

寺口浩大氏(以下、寺口):特に就職活動においての意識の変化のデータと、それを受けた企業や採用担当の方々が「こういうところを見落としたら危ないよ」「こういうふうに改善したらうまくいきますよ」という事例を持ってきたので、そこをできるだけ手短にお伝えできればなと思っております。

Z世代の就職活動を考える2つのポイントとして、「キャリア観の変化」と「情報収集、及び発信」の大きな変化。この2つを最低限押さえていけば大丈夫かなと思っております。

「転職前提時代」というところなんですが、これはもう如実に、最近ではむしろ当たり前になっています。この2〜3年ずっとデータをとっているんですが、転職も視野に入れながら就職活動をしている人が6割を超えているということで、それが当たり前になりつつあります。

1〜2年前にデータをとった時は4割くらいだったんですが、数年で1.5倍に増えている。また、一般的に世の中でも言われているので、「じゃあ自分も」という感じで、どんどん100パーセントに近づいていく流れになっているなと感じます。

あとは、別に転職がしたいわけじゃなくて、何かがあった時。例えば企業の倒産はもちろん、自分の生活やライフイベント、ご家族やご自身のライフイベントがあって、働き方を変えようという時の話ですね。

「自分のいる会社でそういう働き方ができないのであれば、転職もできるようにしておきたい」「フリーランスになれるようにしておきたい」「いつか会社に戻るかもしれないけど、出入り自由でありたい」というところが、ほぼ当たり前の意識になっている。

新卒者が「企業選びで最も重視すること」第1位は?

寺口:今日来てくださっている方々は、Z世代ど真ん中もいれば、ミレニアル世代、ミレニアル世代の1個前のX世代と言われる世代の方々もいると思うんですが、どっちかというと僕らの時は「我慢しなきゃいけないのが当たり前」だったんです。ただ、令和においては働く人がどんどん言いたいことを言えるようになってきた。

僕らから見ると「わがままだな」と思う気持ちもあるんですが、僕らが10年、20年その感覚をインストールされてきたからそう思うわけで、やはり仕事の主役は企業というよりは個人なので、「当たり前のことがちゃんと戻ってきた」というのが近いのかなと思っています。

もう1つ、さっきのリスクヘッジの話の方法としては「転職できない自分にならないようにしておく」ことが1個。もう1個は「専門性をちゃんとつけなければ」という感覚が強いなと思っています。

これはみなさんもびっくりされるかなと思うんですけど、毎年大学生向けに「現在、企業選びで最も重視することを教えてください」というアンケートをとっているんですね。23卒までは「企業の安定性」「成長できる」がずっとトップだったんですが、24卒を見てみると「自分のなりたい職種であるか」が1位。しかも、ダントツなんですね。  

実際、ソニーグループはジョブ型で、何種類も先行のコースを作っていたりするんですけれども、めちゃくちゃ人気が高まっています。コース別の採用をちゃんと職種で持っている企業は、どんどん採用マーケットのプレゼンスが高まっています。

「配属はわからないけれども、うちに来たいんでしょ?」というのが当たり前の採用の時代もあったんですけれども、「うちに来たいんでしょ? 入れてあげるから何でもやってね」という採用は、今はもう難しくなっています。

「配属ガチャ」「上司ガチャ」は、メディア上だけの話ではない

寺口:「総合職みんな一緒」「配属ガチャ」「配置ガチャ」「上司ガチャ」みたいな言葉はいっぱいありますけれども、「メディアで言われているな」ぐらいじゃなくて、学生の声として実際にそうなっているので、採用のコースなども変えていかないといけないという動きは、今後どんどん高まっていくかなと思います。

先ほど長田さんの話であったように、「失敗したくない」というところと、やっぱり個人のリアリティのある声はものすごく相性が良いんだろうなと思いました。

「入社する会社とか入社後のキャリアはどんな情報から習得していますか?」という話を、法政大学の田中(研之輔)先生をお呼びして、現役の大学生の方お二人に代表して出ていただいて、ご自身の思っていることや周りの方々とリアルに話していることを、人事の方向けのセミナーで勇気を出してしゃべっていただきました。

就職活動を終えている大学生の方々なので、入社予定先にちゃんと許可を取った上で出てくれました。「本音で話してくれて大丈夫だよ」という中で、本音で話してくれたんですけれども、かなりエグい情報がめちゃくちゃありましたので、また今後も(セミナーを)やっていこうかなと思っています。

その中で1つあったのが、やはり「クチコミ」でした。もちろん、ONE CAREERと転職サイトの ONE CAREER PLUSでもクチコミはあります。ONE CAREERでは「実際に受けたけど、どうだった?」に対して、「サイレントお祈り(不採用の通知を出さない)されますよ」「最後の面接圧迫ですよ」というのが絶対にあるんですね。そういうのは、SNS上にも情報が出ます。

仕事選びにおいてもクチコミが重視されている

寺口:あとは、見えないところでめちゃくちゃシェアされていることを「ダークソーシャル」と言うんですが、グループLINEとかでシェアされているところに関しては、全部の情報が筒抜け前提でやったほうがいいなということは、我々が採用する上でも重要にしていかないといけないなと思っております。

「候補者体験の重要性が高まる」に関しても、クチコミは候補者の体験が具現化したものなんですね。例えば、みなさんも本やアプリのクチコミを見ると思うんですが、あれはユーザーエクスペリエンスやユーザー体験が具現化したもの、可視化されたものになっていますよね。

「このアプリは使いにくかった」「このアプリ、めっちゃおすすめ」とか、App StoreでもGoogleマップでさえもクチコミがあって、みなさんも見ると思うんですけれども、仕事選びにおいてもクチコミの重要性はどんどん上がってきています。

もちろん企業側の言いたいこともあるんですが、それ以上に実際の体験として受けた人、入っている人、辞めた人がどうかというクチコミはずっと続いていくので。

これを「ピープルエクスペリエンス」と言うんですが、候補者体験、従業員体験、あとは卒業生の体験までも見るのが当たり前になっている、ということを覚えていただければなと思います。

会社説明会の「NGパターン」3選

寺口:こちらは説明会のNGパターンで、「オラオラ系」「ふわふわ系」「ペラペラ系」です。ONE CAREERの説明会のスコアが、(5段階中最低の)1.0というクチコミはいっぱいあるんですが、どういうものなのかを見ていくと、採用担当の方以外が原因になってしまっていることがすごく多いです。

社長のお話をされる方もいると思います。でも、これはちょっと勇気がいるかもしれないんですが、(表の「オラオラ系」に該当するとして)フィードバックしてあげたほうがいいパターンがかなりありますので、一応見直していただけるとうれしいなと思います。

あと、ふわふわした抽象的な話も嫌われます。また「ペラペラ」というのはシンプルに内容が薄いということなんですが、内容が薄いつもりがなくても「薄い」と思われることがけっこうあって、授業でも事前に情報収集してから臨んだり、就職活動においても就活生は意外とWebの情報を見ています。

みなさんが「ここは見ていないだろう」というところを、けっこう見ているケースは多くあります。その上で臨んでいるので、説明会に行って「(Web上の情報と)まったく同じだったね」というふうになったら、「時間がもったいなかった」となります。

とは言え、「初めて聞く人たちもいるから」ということで、たぶんみなさんはすべての候補者の方々に対して価値提供される説明会をしたいなと思っていると思います。

でも、最低限の情報に関しては、今日のようにチャット内でリンクを使ったり、「さらに詳しい話はここに書いているので、よかったら見てください」という感じで、口頭とテキストをうまくリンクさせながら、もしくは運営の人に手伝ってもらいながらやるケースがいいですね。

こういうふうに候補者体験の重要性が高まっているので、気を付けていただければなと思います。

人事が重視すべきは「認知の量」より「体験の質」

寺口:そんな中で人事・企業はどうしたらいいのか。施策のシフトのポイントは3つかなと思っています。これまでは、イベントにどれだけ出るか、広告をどれだけ出すか、いい感じのCMを出すかという「認知の量」が大事だったんですが、おそらくこれからは「体験の質」です。

なぜかと言うと、企業が主語のものだけじゃなくて、個人の体験がインパクトするようになっていますので、「認知の量」以上に「体験の質」に気を付けていただければなと思います。

もう1つは主語の話ですね。「企業発信」というものから、求職者であったり、もちろん社員の方々もあるんですけれども、個人がどんな発信をしているかに関しても気を付けていただければなと思っています。

「みんなTwitterをやりましょう」という話ではまったくなくて。Twitterの話になったら、すぐ「Twitterをやったほうがいいんですか?」みたいになるんですが、僕はぜんぜんやらなくていいかなと思っています。

個人の声はいろんなところにシェアされますし、個人主語で発信できるものはいろいろな方法があると思いますので、何でもトライしていただければなと思っております。

「口頭・テキスト」から「マルチコンテンツ」に関しては、これまでは説明会でがんばってしゃべって、コーポレートサイトではテキストインタビューがあったと思います。でも、今は動画も音声もショートムービーもSNSもありますし、いろんなコンテンツを組み合わせて使っていかないと、なかなかZ世代の方々にはリーチもできないし、心を動かすことも難しいです。

なので、これまでの説明会のやり方じゃなくて、マルチコンテンツをちゃんと使いこなせるように、もしくは得意な方と一緒にやっていくことが採用担当の方には必要です。

「体験の質」へのシフトに成功した、3つの企業の事例

寺口:それぞれの事例をサクッと話しますね。これはONE CAREER CLOUDのページに全部載っているので、気になったら見ていただけたらと思います。

これは、「認知の量」から「体験の質」へのシフトがうまくできているカラフルカンパニーさんの事例ですね。クチコミで学生の本音が広く発信されるので、エントリーを出す前から会社の魅力を伝えられます。接点を持つことができた学生数が従来の1.5倍から2倍に増え、エントリーにちゃんと効いたということですね。

みなさんも食べログで行くお店を決めたりすると思うんですが、悪いクチコミだとエントリーが減っちゃうので、クチコミを良くしていただければなと思っています。

これは、「企業発信」メインだったものを「求職者発信」に変えたRIZAPグループさんの事例です。うまく求職者の発信を活かしたアプローチ方法へ軌道修正しています。

もともと認知はあったけれども、CMの印象も強かったので、ふだん消費者としての接点が「マッチョの人しかいない」みたいなイメージがあったんですが、実際に経営企画のメンバーとかはぜんぜん筋肉がマッチョじゃない方も働いている。「筋肉じゃない」っておかしいですね。いろんな方が働かれているので、そういう悩みがありました。

でも、実際にインターンなどに参加した結果、「みんながトレーナーじゃなかった」とクチコミでちゃんと言ってもらうことによって、「あ、そうなんだ。じゃあ見てみようかな」というケースもあります。

あとはバンダイさんの事例ですね。口頭やテキストしかなかったものが、ライブ、動画などのいろんなコンテンツをうまく使いこなせるようになりました。

これはうちがサポートさせていただいたんですが、多角的に知ってもらえるようになったので、「候補者の理解が進んだ」「志望度が高まった」「これまで受けてくれなかった人たちがエントリーしてくれるようになった」と。一石三鳥なので、マルチコンテンツのところは本当に早くやればやるほどうまくいく。

二の足を踏んでいる企業さんがたくさんいる中で、ちゃんとトライしていくことは本当に大事だなと思います。僕らは動画にめちゃくちゃ詳しいので、何かあったらうちのフロントに聞いていただければなと思います。

<続きは近日公開>

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「サラダチキンまたはカット野菜」を買うと揚げ物無料券 ダイエッターに悪魔的誘惑をしかけるセブン-イレブンにツッコミ続出(1/2 ページ) - ねとらぼ - ねとらぼ

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 セブン-イレブンが実施中の「カット野菜・サラダチキンを1個買うと、揚げ物1個無料券プレゼント」という地域限定キャンペーンが、「とんでもなく悪魔的」「人の心が無いのか」とTwitterで話題です

 最も安くて108円の商品を購入すると、揚げ物が1個タダでもらえる、お得なうれしいキャンペーン。……のはずなのですが、問題は対象商品。カット野菜はまだしも、パッケージに「糖質0gの」と大きく書かれたサラダチキンシリーズにも、糖質や脂質が多い揚げ物をつけようとしてくるのが恐ろしいです。なにこの誘惑トラップ。

カット野菜 サラダチキン 揚げ物 無料券 プレゼント キャンペーン セブンイレブン まさかの揚げ物プレゼント(画像提供:@highwideさん)

 Twitterユーザーのうちやま(@highwide)さんが「セブンイレブンくん、私がどんな気持ちでカット野菜・サラダチキンを買ってるか全然わかってくれてない!!」と投稿すると、ダイエット中の人々から「ホンマそれ!」「なんで揚げ物なん?」「敵は自分の甘えだけではない」と共感が寄せられ話題に。ツイートは5万RT、いいねは30万を超えています。

 ほかにも「ダイエットさせない強い意志を持ったキャンペーンに笑ってしまう」「意思が弱いから、引換券をカレーパンに交換する行動を止められない」「なんて世の中は残酷なんだろうと思いました」といった声や、「悪魔の誘惑に負けてカレーパンも食べてしまった…」「カロリー気にしてんのになー…いただきます!」と、ついつい揚げ物を食べてしまったという人の声もみられます。無料だともらっちゃいますよね……。

カット野菜 サラダチキン 揚げ物 無料券 プレゼント キャンペーン セブンイレブン 編集部でも実際に購入。対象商品を2個買ったので「揚げ物無料券」は2枚もらえましたが、1枚だけ引き換えてきました。このプラマイゼロ感……!

 同キャンペーンは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県限定で、8月27日まで。プレゼント対象商品は「アメリカンドッグ(※ビックアメリカンドッグも対象)」「豚肉と筍の春巻」「サックサク衣の牛肉コロッケ」「お店で揚げたカレーパン」。引換期限は9月3日までです。購入対象商品などの詳細はキャンペーンサイトで確認できます。

カット野菜 サラダチキン 揚げ物 無料券 プレゼント キャンペーン セブンイレブン 対象のセブン-イレブン店舗に掲示されているポスター

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「基地を笑う」はタブーか 沖縄の芸人がネタにする「人間の愚かさ」:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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有料記事

聞き手・田中聡子

 誰かの容姿をからかったり、暴力を振るったりするお笑いが問題視され、「人を傷つけない笑い」が求められるようになりました。「笑いがやりにくくなった」という愚痴も聞こえてきます。米軍基地をネタにしたコントをつくる沖縄のお笑い芸人の小波津正光さんに「タブーに挑む理由」を尋ねると、意外な答えが返ってきました。

こはつ・まさみつ 1974年生まれ。93年に演芸集団FEC入団。「基地を笑え!お笑い米軍基地」の脚本・演出を担当。

「沖縄の日常がコメディー」の理由

 ――「米軍基地のある沖縄」という笑いにくいテーマをネタにしています。難しさはないですか。

 「そもそも僕は、米軍基地をタブーだと思っていません。沖縄には当たり前のように基地があります。ネタにしていることも、沖縄の日常ばかりです。それが面白いのは、沖縄で起きている日常がコメディーだからです。基地反対運動の参加者が『基地のパーティーに行く』と言ってずっこける、死にかけているじいちゃんの遺言が飛行機の音に何回もかき消されて聞こえない。僕らのそんなコントも、『基地反対』と言いながら、基地で働くことに憧れたり、飛行機の音で学校の授業が聞こえなくなったりという沖縄の矛盾や悲しい現実を、大げさにしているだけです」

 「それを見て大笑いする沖縄の人たちにとって、僕らのコントは『人を傷つける笑い』じゃなくて『共感する笑い』だと思っています。笑っている沖縄の人たちは、『そうそう』『分かる分かる』と認めて、自分を棚にあげて笑っているのでしょう」

 ――以前コントを見た時、「自分は笑っていいのか?」という思いを抱きました。

 「本土の人がそう感じるのは…

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Sunday, August 28, 2022

学校に行かない子?行けない子? 五味太郎さんから戸惑う大人たちへ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 夏休み明け、子どもに「学校に行きたくない」と言われて、戸惑っている親もいるかもしれません。絵本作家の五味太郎さんは、親たちへのメッセージを送ります。

 ――夏休み明けに、子どもに「学校に行きたくない」と言われて戸惑っている親たちもいると思います。

 「9月病」ってやつか。なんでも学校に都合の悪いことは病気にしちゃうよね。そんな病気あるわけないから、まあ、「9月現象」ぐらいが妥当でしょう。

 自我の強い子ほどそういう現象が起きるんじゃないかなあ。翻って、自我の感覚がない子ほど、気楽で対応力があるということになるのかもしれない。

 でも対応力というのは、指示がないと何もできないタイプの能力だから、そういうタイプの人が多い社会というのは、かなり難しいよね。限界も来るよね。

「余計なお世話」とは

 ――子どもが「学校に行きたくない」と言うのは勇気がいると思います。

 親の顔色を見ると、学校に行きたくないと言い出せなくなる子も多いらしいよね。

 子どもの社会は学校と家庭だけだから、先生の顔色を見て、親の顔色を見て、友達の雰囲気を見て、自らの行動を決定するしか手がない。

 まったく俺の勝手な見方かもしれないけれど、子どもってみんないいやつで、かなりイケてるやつらなんだよ。

 あえて大人が介入する必要があるのは、命にかかわる、それこそセーフティーネットっていう次元だけだと思うよ。それ以外は「余計なお世話」が入ってきてしまう。

 ――余計なお世話とは、例えば?

 子どもだけじゃないかもしれ…

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聖地巡礼、大谷翔平の歩んだ道をたどる旅(写真=共同) - 日本経済新聞

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大谷翔平(エンゼルス)が野球を始めた少年野球・水沢リトルの取材に始まり、最後は、いま話題となっている日本ハム・ファイターズのチアリーダーによる「きつねダンス」に飛び入り参加。

19日から来日していたジャスティン・バーランダー(アストロズ)の弟で、大の大谷ファンとして知られるベン・バーランダー(FOXスポーツベースボールアナリスト)は、限りある時間で、予定していた取材をすべてこなし、27日夜の便で帰国の途についた。

初日からハードスケジュールだったが、滞在の様子が方々で話題になったので、備忘録的に帯同記をまとめたい。

バーランダーから、最初に日本行きの構想を明かされたのは昨年11月のこと。「日本へ行って取材をしたいんだけど、いろいろ協力してもらえないか」。翌月、ちょうどアナハイムで会う機会があったので、その際に企画内容を聞くと、こう伝えられた。

「翔平が歩んだ道をたどってみたい」

岩手から札幌へ。大谷翔平ゆかりの地を巡る旅。

「そこから何を感じるのか。そこにいかないと、見えないものがあると思うから」

それぞれの景色が、彼の目にどう映ったのか。何度も感極まり、涙した彼の胸の内。それはまだ明かせないが、着想から半年以上が過ぎた夏の終わり、ついに来日が実現した。

当初、今季の開幕前に取材できれば、と考えた。シーズンに入ったらみんなの時間を合わせるのが難しくなるからだ。しかしその頃、まだ日本では入国後の隔離が求められており、その措置が続く限り、来日は現実的ではなかった。米国ではすでに様々な規制が撤廃され、多くの人が集まる球場などでも、マスク着用を求められることはなくなっており、そのギャップがもどかしかったが、4月終わりにプロデューサーを紹介されると、水面下で様々なことが動き出した。

とはいえ、その時点ではまだ、並行して走らせていた別企画のコンテンツが固定されておらず、バーランダーも帰国当日の朝、「時間の問題だとは思っていたけど、あそこがクリアにならない限り、本当に日本へ行けるのか不安だった」と振り返っている。ただ、6月に入り、物語の軸となる部分の見通しが立ち、さらに来日した際の自主待機が免除されると、本格的な取材チームが組まれた。

7月、ロサンゼルスで行われたオールスターゲームを利用して全体ミーティング。シーズン後半戦のスタートに合わせて、週1回のリモート会議が行われるようになったが、回を重ねるごとに参加人数が膨れ上がり、誰がどういう形で関わっているのか、自分だけではなくバーランダーでさえ、「もう、わからない」と苦笑した。正直、現時点でも、いったいどれだけの人がこのプロジェクトに関わっているのか、全体図を把握しきれていない。しかし、それだけ多くの人が携わったからこそ、実現に向けたレールが、確実に敷かれていった。

出発は米西部時間で18日、午前1時20分。先発便のメンバーは5人。翌日2人が加わったが、ゲートへ向かって歩いているとき、バーランダーは感慨深げだった。

「初めて会ったのは、1年前ぐらい前だっけ? 日本メディアの取材を受けたのはあれが初めてだった。あの後、自分のYouTubeチャンネルを見てくれる日本人の数が劇的に増えた。それが、『日本へ行って、取材をしよう』という原動力になった。あそこから、すべてがはじまった」

日本での動きは、彼が毎日、FOXスポーツの公式YouTubeチャンネル「Flippin' Bats」で紹介。詳しくはそれを見てほしいが、滞在中、「せっかく来たんだから」と、彼らはあらゆる場面で寝る間を惜しんで動き回った。

例えば19日は、朝午前5時に着くと、午前7時過ぎにホテルへチェックイン。午後から横浜スタジアムで取材予定だったので、午前中は休むかと思いきや、バーランダーらはホテルのジムへ。午後には横浜スタジアムから1回目のリポートを行ったが、開門後、ファンだという人たちから声をかけられると、そのたびに求められてカメラに収まった。そのことはまったく予期していなかったそうで、その後、彼のSNS(交流サイト)には、「どこどこに、何時ぐらいにいるのか教えてほしい」というメッセージが届くようになった。23日午前に野球殿堂博物館を取材。その後、「東京ドームにいますよ」とSNSで告知すると、100人近いファンが集っている。「せいぜい20〜30人だろう」という予想だったので、これには本人も言葉を失った。

横浜スタジアムに話を戻すと、さすがに疲れが見えたので試合途中で球場を後にしたが、帰りの電車の中で少し寝たら回復したのか、「おすしを食べに行きたい」。実は、あまりにも慌ただしく、夕食をとることを忘れていたが、夜10時からおすしを食べ、ホテルに戻ったのは午前1時近く。出発当日――米国時間で17日の朝から48時間がたっていた。その間、飛行機の中で数時間は寝たとはいえ……。そして翌朝、午前10時には集合し、東京ドームへ。巨人対阪神の試合を観戦したが、一事が万事、そんな過密スケジュール。時差ボケを感じる間などなかった。

21日、22日は岩手県奥州市、花巻市を訪問。23日は一旦、東京に戻り、先ほども触れたように野球殿堂博物館の取材をした後、ファンと交流。その後、日本スポーツアナリスト協会のセミナー、NHKBS1「ワースポ×MLB」の出演をこなした。

24日は唯一のオフで、神宮で広島戦を観戦。25日は札幌へ飛び、26日は朝から札幌ドームで撮影を行い、午後から栗の樹ファームで栗山英樹元日本ハム監督のインタビュー。夕方、再び札幌ドームへ戻って、始球式に登場し、試合途中できつねダンス。その瞬間、その瞬間、彼がどう感じたのか。ある程度はYouTubeで話しているものの、まだ彼が話していない、いや、話せない、そしてまだ、書けないことがある。読んでいて、いや、書いていても消化不良を感じるが、9月半ばにはこの企画の全貌が明らかになるはずなので、その後、改めて舞台裏を紹介したい。

さて、今回の取材では、本当に多くの方々にお世話になった。ここには書ききれないので、改めて個別にお礼をさせていただきたいが、26日夜、最後の食事をみんなで食べているとき、バーランダーがしみじみ言った。

「各球団の関係者、ファン、岩手の皆さん、本当によくしてもらって、感謝しきれない。でも、これだけ多くの人と触れ合えたのは、やはり大谷翔平という選手がいたからこそ。彼がつないでくれたこの縁は一生、大事にしたい」

ところで、日本ハムの試合でバーランダーが始球式を務めたとき、捕手役を買って出たのがコディ・ポンセだった。2人はマイナー時代に対戦経験があり、マイナーのオールスターゲームでチームメートになったとき友だちになったという。

登板を翌日に控え、帰宅を許された彼は、試合途中から一緒に試合を観戦。「試合が終わったら、一緒に食事に行く?」と声をかけると、「いや、あすのデーゲームで先発だから」と苦笑い。試合を見ているときも、アルコールはいっさい口にしなかった。

その翌日の試合で彼はノーヒットノーランを達成したが、その様子を札幌から羽田へ向かう機内のテレビで見ていた一行は、「最高の旅の締めくくりになった」と 口々に祝福の言葉を口にした。

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