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Saturday, November 28, 2020

元「ミスせともの」 ただいま左官職人の修業中 愛知 - 朝日新聞デジタル

 水野輝蝶(きちょう)さん(23)は、背筋を伸ばし相手の目を見て話す。元「ミスせともの」で、ただいま左官職人の修業中。元「ミス」がなぜ、「男くさい」職人の世界に飛び込んだのだろう?

 水野さんは2018年7月、愛知県瀬戸市のせともの祭などをPRする「ミスせともの」に選ばれた。応募を望んだのは祖母だったという。瀬戸市で生まれ育ち、地元の自然が好きで、PRに役立てるならとエントリー。1年間、地元テレビやイベントで笑顔を振りまいた。

 そんな彼女が左官職人になりたいと家族に話したのは、今春の大学卒業を前にした昨年12月ごろ。母も祖母も「左官って?」と戸惑った。父にもメールで伝えた。みな驚いたが、反対はしなかったという。

 「止めても無駄と思ったんでしょう」と笑う。「その1年前に休学して自分のやりたいことを探したりしていたので、親としては、もう好きにすればって感じだった」

 水野さんは大学3年生の後期から1年間休学し、学外で、将来の職業にできるものを模索した。漠然と、「地球にも人にも優しい」衣・食・住のいずれかに関わる仕事がしたかった。

 千葉県鴨川市の農園レストランに住み込みで働いた時は、シカやイノシシの解体も間近に見た。「畑仕事も手伝いながら、ほとんど自給自足の生活でした」

 大工仕事も体験した。豊田市で古民家をDIYでゲストハウスに改装する現場を手伝った。初めて壁を塗ってみて、のめり込んだ。「壁ができると、どんどん部屋らしくなっていく。面白かった」。職人さんっていい、と思い始めた。

 各地を飛び回って経験を増やす水野さんに、家族は「何やっとるかわからん」と心配した。「毎日、SNSに投稿するからそれを見て」と頼み、写真や動画で日常を報告した。「親はそれを見てて、左官職人っていう夢も理解してくれたのかも」と振り返る。

 今春、縁あって名古屋市北区の左官屋「漆喰九一(しっくいくいち)」に入社、左官職人の道を歩み出した。アットホームな雰囲気と、自然素材にこだわった漆喰を広めようとする会社の方針にひかれた。

 社長の福田正伸さん(50)は自分の指導のもと、新人のうちから塗りを任せる考えで、現場でもよく話しかける。水野さんは「ありがたいんですが、塗りに集中したい時は『ちょっと静かにしてください』って言っちゃいます」。

 福田さんは「厳しい上下関係の中で仕事を覚えた私にとって、最初はイラっときたこともあった」と明かす。だが、「いったん感情を飲み込んで話を聞くと合理的な点もある。常に周囲の役に立とうとする姿勢が理解できた」と見守る。

 「一人前になるまで10年かかる」とされる世界。水野さんも将来に不安が無いわけではない。自ら飽きっぽい性格というが「左官仕事は、漆喰の種類も道具も豊富。お客さんとのコミュニケーションも大事。奥深すぎて飽きるひまがない」。時には出社時間1時間前の午前6時半には出て、一人で塗りの練習をする。いまは夢中で学んでいる。(小西正人)

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