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Wednesday, January 11, 2023

躍動感ある“おいしい”動画を毎日発信 それを突き動かす思いとは - 朝日新聞デジタル

kukuset.blogspot.com

ふるふると揺れるパンケーキ、パリッサクッと音まで聞こえてきそうなミルフィーユ……。臨場感たっぷりのグルメ動画を、「毎日甘いもの食べたい」のアカウント名で「TikTok(ティックトック)」に投稿しているゆうとさん。彼の動画が多くの人を惹(ひ)きつける理由とは? 気になるお店の選び方やこれからの展望など、お話をうかがいました。

躍動感ある“おいしい”動画を毎日発信 それを突き動かす思いとは
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PROFILE

ゆうと

関西出身。幼いころより食に対してこだわりを持ち続け、食べ歩きが趣味に。学生時代に出会ったSNSに、日記代わりとして投稿した食べ物の写真が徐々に人気を獲得した。2018年にTikTokでの動画投稿を始め、現在は230万人ものTikTokフォロワーを抱えている

初めてバズった燃えるかき氷の動画

ゆうとさんは、「毎日甘いもの食べたい」というアカウント名のとおり、毎日のようにTikTokにグルメ動画を投稿し続けているクリエイター。動画の質を保ちながら、これほどの頻度で投稿するのは大変なのでは……と思いますが、実はまだまだストックがあるそうです。

「できるだけ毎日投稿しようと心がけていますが、それでも投稿しきれないくらい食べています。お店に行っても動画を撮らないこともあるし、投稿はしないコンビニスイーツも含めれば、それこそ毎日ですね」

そう語るゆうとさんがSNSでグルメ情報を紹介し始めたのは、今から8年ほど前のこと。そのころはまだ、SNS上にグルメ系のアカウントはあまり存在していませんでした。

「もともとは、日記のような感覚で写真を投稿していたんです。食べ歩きの記録を、自分で振り返るためというか。そうしたら、ちょっとずつ反応がもらえるようになっていきました。当時、グルメ系の投稿はあっても食べたものの値段や最寄り駅などの情報はほとんどなかったんですよね。それって不便だなと思って、詳しい情報とちょっとした食レポを添えて投稿するようにしたら、どんどん見てくれる人が増えていったんです」

それから数年を経て、ゆうとさんは2018年にTikTokを始めます。

「そのころのTikTokって、踊っている動画が大半を占めるようなプラットフォームだったので、その中に食べ物の動画を上げたらおもしろいかなと思ったんです。インパクトがあるから、より多くの人に見てもらえるんじゃないかと。ライバルがまったくいなかった、というのもありましたね」

投稿を始めてからほどなくしてバズったのが、燃えるかき氷の動画でした。

「かき氷の周りにメレンゲがあって、目の前でお酒をかけて火を点(つ)けてくれるんですが、一気にたくさんのコメントがついて怖くなったくらい(笑)。でも、他のSNSや動画プラットフォームに比べるとTikTokは見た人がすぐに反応してくれることがわかったので、いろいろな動画を上げていきたいと思いましたね」

このかき氷の動画からも伝わるように、ゆうとさんは動きのある動画を大切にしていると言います。

「たとえばパンケーキならゆらゆら揺らしたり、スイーツにナイフを入れて中身を見せたりといった感じで、動きをできるだけきれいに見せるようにしています。カウンターから見られる調理工程とか、仕上げに目の前でソースをかけてくれるといったことは、お店を選ぶ段階で下調べして、視聴者の反応が良さそうだと思ったところに食べに行く。正直、投稿し始めのころは手探りだったんですけど、動きを意識するようになってからは、見てくれる人も増えました」

「東京はもう、ほとんど行き尽くした」

ゆうとさんのTikTokアカウント「毎日甘いもの食べたい」を見ると、「おいしそう!」と思う動画が並んでいます。これは動きだけでなく、色味の鮮やかさ、美しさも手伝ってのもの。ここにも、ゆうとさんのこだわりがあります。

「撮影する上で一番意識しているのは、自然光の入る場所で撮るということ。たとえばイチゴの赤さなどは、外の明るい光がきれいに当たっているときが一番きれいに見えるので、太陽の光は大事ですね。カフェなら絶対、窓際の席に座りたいので、並んでオープンしてすぐにお店へ入るし、雨などで天気の悪い日は撮影自体を諦めて、晴れている日にまとめて撮るようにしています」

ほぼ毎日、それもおいしそうなものばかり投稿するとなると、お店探しは至難の業なのでは……? 一体、どのように探しているのでしょうか。

「ほぼ9割はSNSや動画プラットフォームですね。エリアで調べたいときは、タグ検索に特化したアプリを使ったり。もちろんTikTokも活用しますよ。グルメ情報のアカウントは多いですが、僕と同じくらいの規模でなく、フォロワーが少ないアカウントの人まで、かなり時間をかけていろいろな動画や写真を見ています。そこでおいしそうなものを見つけて、さらに厳選するという感じですね」

「東京はもう、ほとんど行き尽くした」と、ゆうとさん。

「東京の飲食店は巡り尽くした感じがあるので、月に2〜4日ほどは地方に撮影をしに行っています。基本的には、東京で流行(はや)ったものが半年、1年後くらいに地方でも流行り始める感じかな。傾向として、今までにあった食べ物の中でも特別感のあるものなんかは流行りやすいですね。きしめんよりもさらに平べったくしたうどんとか。最近、めちゃめちゃ流行っているカツ丼のお店が東京にあるんですが、それはものすごく分厚いカツが載っているんです。こういうひと工夫が、ブームのきっかけを作っていますね」

もうひとつ、バズる動画には共通点があるのだとか。

「ひと昔前の“映え”って、ゴチャゴチャしていたりカラフルだったりするんですが、最近はシンプルで洗練されたものがウケますね。検索してたくさんのサムネイルが並ぶ中で、一目でどういう食べ物かすぐに頭に入ってきて、しかもおいしそうと感じさせるもの。TikTokの場合、おすすめでどんどん動画が流れてくるので、最初の1秒でそれが何の食べ物なのかがインプットされるといいみたいです」

流行りそうなもの見分け、飲食店をサポートしたい

ゆうとさんの食にかける並々ならぬ情熱。記憶をたどると、それは幼少期にはすでに身につけていたものだそうです。

「ものすごくわがままで、食べたいものがなかったら親に怒るくらい、食へのこだわりが強かったですね。物心つく前から僕、ポケットに卵ボーロとか隠し持っていたくらいで(笑)。特に甘いものは好きですね。毎日食べているので、この活動を長く続けられるように、意識して走ったり運動したりしています」

その言葉を証明するかのように、すっきりとした面立ちのゆうとさんですが、彼の姿が画面に登場することはほとんどありません。なぜなら、「主役はあくまでもグルメ情報」と考えているから。

「飲食店やグルメを紹介する上で、僕の自我というか個性は必要ないんですよね。見てくれている人にとっては余計な情報なので、お店や料理の魅力を伝えることに集中して動画を撮っています。雑誌のお店紹介記事の仕事を依頼されることもありますが、顔出しが必要なものはお断りしていますね」

お店とグルメに対する姿勢から感じられる、ゆうとさんの誠実さ。これはユーザーに対しても同じです。

「食べておいしくないなと感じたり、お店がいまいちと思ったりしたら、紹介したくはありません。反対に、好きなお店は長く続いてほしいから、好きなお店こそ紹介したいと思っているんです。もちろん、好き嫌いとかの個人差はありますが、紹介したお店に行ってもらえたら、基本的には満足してもらえるんじゃないかなと。お店選びに時間がかかる人とか、自分で探すのは難しいと思っている人には、ぜひ僕のアカウントを見ていただきたいですね」

そうやって、誠実に活動を続けるゆうとさん。今後は「飲食店をサポートできる活動もしていきたい」そうです。

「普通の人と比べて僕は流行っているもの、最先端のものをたくさん食べている中で、これから流行りそうなものや、こうしたらもっと流行りそう、ということがわかってきたんです。なので、ゆくゆくはお店の人にアドバイスというか、飲食店の助けになるような活動ができたらいいなと思います。

たとえばTikTokって、フォロワー数や今までの再生数があまり多くなくても、魅力的な動画ならいろいろな人に見てもらえる動画プラットフォームですよね。だからこそ、飲食店の方が自分たちで宣伝のために何かを始めようと思ったとき、まずはTikTokのアカウントを作るのがいい。そこでどういう動画を作ればいいかといったアドバイスも、サポートの一環になると思っています」

そう言って、「紹介しているお店をおいしそうだと思って、食べに行ってもらうのが一番うれしい」と、ゆうとさんは続けます。自分の動画が、おいしいものを提供するお店と見た人を結びつける役割になれば。そんなまっすぐな思いを託し、毎日食べたくなる甘いものの動画は今日も投稿されているのです。

その他の毎日甘いもの食べたいさんのTikTok動画はこちら

文:石川由紀子

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