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Saturday, April 2, 2022

隠されるロシア兵の実態 プーチン氏が恐れる「口コミ」とは?【報道1930】 - TBS NEWS

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隠されるロシア兵の実態 プーチン氏が恐れる「口コミ」とは?【報道1930】

最新のプーチン大統領の支持率は実に83%だ。一般に戦時下は国民が一体化するため高い支持率を集める。しかし、私たちが日々得ているウクライナ情勢がロシア国民に伝わっていれば、支持率は違う結果になっているのではないだろうか。今回はロシアのメディアでは決して報じられないロシア兵の実態をひもとく。ロシア軍内部では今何が起こっているのか?

■「ロシア軍は味方を置いて逃げていった」

番組では4回目の停戦交渉の翌日、日本時間3月30日の夜、ウクライナ国家親衛隊、アゾフ連隊の上官に直接インタビューし、敵であるロシア兵の実情を聞いた。

ウクライナ国家親衛隊所属 アゾフ連隊 マクシム・ソリン司令官
「ハルキウ周辺で30人近いロシア兵を捕虜にした。ほとんどの兵士は抵抗せずに武器を置いた。今朝キーウ周辺で後退するロシア軍は味方を置いて逃げていった。捕虜は若い人が多く、本当に経験を待たない新人ばかりだ。(元々はウクライナ領内の)ルハンシク・ドネツクで徴集された士気の低い人も派遣されている。そういう人はすぐに団体で降伏する」

このインタビューを録ったのはロシア軍がキーウ周辺の攻撃を縮小すると発表した1日後。しかし後ろからは銃声が響いた。だが司令官は、これが日常だと微笑み交じりで語り、現在ロシア軍が攻勢を強めている東南部マリウポリでの戦いについて語ってくれた。

ウクライナ国家親衛隊所属 アゾフ連隊 マクシム・ソリン司令官
「マリウポリ市内では想像を絶する努力で、本当の英雄といえる3000人くらいで戦い続けている。敵は人数、装甲車、戦車など数十倍規模の戦力で空と海を制圧しているにもかかわらずに・・・」

■なぜロシア軍は“弱い”のか

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「戦争が始まる前からロシア軍の集結は伝わっていた。それを衛星で見ているとテントを張っていた。数か月テントで暮らして戦争が間近になれば駅の構内で雑魚寝するなどせざるを得ない。または装甲車の中で寝るとか・・・。それで戦争に入る。だからロシア兵はもともとかなり疲れていた。勝ち戦であればそれでも士気は上がるが、負け戦であると・・・。実際損害もたくさん出ている、となると相当士気は下がって、規律も乱れるってことになる」

ロシア兵には、いわゆる職業軍人である「将校」21万1200人のほかに、給料を貰って軍に参加する「契約軍人」40万5000人と、18歳から27歳の間に12か月務めなければならない徴兵義務によって集められた「徴集兵」約20万人がいる。
今回のウクライナでの軍事作戦には15万から20万が派兵されたとされるが、その多くは徴集兵が占めるとニューヨークタイムズは伝えている。であるならソリン司令官が話していた捕虜の多くが若い新人だというのも頷ける。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「ロシアの徴兵は、かつてはもっと長かったんですが、そうするとみんな軍隊に行きたがらないので短くした。ところが徴兵12か月ってことは、MAX1年しか軍隊経験がない兵士たちなんです。日本の自衛隊の基準からみてもプロフェッショナルの軍人になる前に任期が終わる。なので基本的には、“徴集兵は戦争には送らない”ってことに本来はなってる」

戦地へ赴く軍隊は、将校と契約軍人で構成すると決まっているが、これまでも兵力が足りなくなると徴集兵が駆り出されてきた。ジョージアとの戦争でもそうだったと小泉氏は言う。
が、それ以上にロシア軍の混乱ぶりをうかがわせる情報が小泉氏の下に入っていていた。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「軍の中で命令不服従や戦線離脱は起きているらしい。不確実情報ですが、ある旅団で旅団長が部下の反乱にあって戦車で轢かれたと・・・。最初は大けがという情報だったが、のちに病院で亡くなったと続報があった」

■日給53ドル…ロシア側の兵募集のチラシが

一方、クリミアではあるものが出回っていることが明らかになった。ロシア軍兵士募集のチラシである。
チラシには、ロシア連邦・国防省との短期契約4~12か月。報酬月額20万ルーブルより。
基本給+ボーナス200%+日給53ドル。食事、軍服支給とあり、連絡先の電話番号が書かれている。ちなみに20万ルーブルは日本円で28万円ほどに当たる。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「月給20万ルーブルはめちゃくちゃ高い。ロシアの平均所得の5~6倍の金額。正式のロシア軍人の給料より高い。ボーナスと53ドルの日給が不思議な話。ロシアの国防省が、対立するアメリカのドルで日給を支払うとはまず言わないと思う。正式な募集であれば、国防省の紋章であるとか、どこの事務所の募集かが書いてあるはず。電話番号だけっていう・・・、言い方悪いがサラ金の貼り紙みたい・・・。民間の軍事会社がお金の無い人を集めているのかもしれない」

戦地でも国内でもロシアの兵役事情は混乱しているようだ。
そんな中、今も若い兵士たちが大勢命を落としている。
ロシア国内では、その事実さえほとんど報じられていない。しかし、黙っていない人たちがいた。

■「ロシア人は、口コミ民族」

ウクライナに侵攻したロシア軍の死者数について、ロシア国防省は1351人(3月25日)、ウクライナ軍参謀本部は約1万7500人(3月31日)とそれぞれ発表している。数字は10倍以上の開きはあるが、紛れもない事実は死んだ兵士がロシアに帰っていないことだ。
その現実を受け、声を上げる女性たちがいる。「兵士の母委員会」、通称「母の会」だ。
1989年に設立された兵士とその家族の権利を守ることを目的とした人権団体だ。
番組では切実な訴えを直接聞いた。

兵士の母委員会 ゴラブ会長
「どの母親も息子と最後に電話が繋がったのは、2月23日(軍事侵攻前日)でした。24日には息子たちは電話ができなくなっていました」

ゴラブ会長は、戦死した兵士の遺体を引き取りたいとウクライナ側に申し入れたが・・・

兵士の母委員会 ゴラブ会長
「ゼレンスキーはインタビューでロシアが遺体を引き取りたがらないといっていましたが、引き取りたくないはずがないでしょ! 引き取りたくないはずありません。私が行って全員の遺体を引き取りたいですよ」

国からの締め付けがあろうと我が子を思う母の行動力は揺るがない。
しかし、母の会といえども設立当時と現在は事情が異なるという。

笹川平和財団 畔蒜泰助 主任研究員
「戦争という言葉も使えない中で、いちばん勇敢にものを言っているのは母親たちだ。だから非常に大きな力を持っている。ただし、会が設立された頃の時代と大きく違うのは情報統制のレベル。今は、母の会も含め“声が伝わらない”統制を政府が徹底している。なので母の会のパワーが落ちてることが懸念されます」

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「西側の国ならSNSなんかで惨状が広まって炎上するってことがあるでしょうが、ロシアはそれが制限されてる。でも、ロシア人って“口コミ民族”なんですよ。公的な制度や情報をあんまり信用してなくて、自分の身近な人から“実はこうなんだよ”と聞いた話っていうのがものすごく信憑性を持つ。戦争始まって1か月ですが、これが長引いて遺体が返ってくる、傷病兵が手足吹き飛ばされて帰ってくる。そこから戦場の現実を聞いた時にロシア国民がどういう反応を見せるのか・・・」

いまロシア兵の亡骸の多くがクリミアも運ばれ、そこで火葬にされているという情報もある。ロシア正教の考え方では遺体は土葬するのが基本…一体これは何を意味するのか。いまプーチン氏を止められるのは、ロシアに送還される亡くなった兵士の遺体だけなのかもしれない。

(BS-TBS 『報道1930』 3月31日放送より)

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