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Saturday, March 28, 2020

全世界に海外渡航の自粛勧告、それでもJALとANAが飛ぶ海外の都市はどこ?【前編:欧米】(今井佐緒里) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

それでも飛ぶJALとANA

日本がいよいよ、本格的に封鎖をしようとしている。

外務省は3月25日、海外安全情報として、全世界、すべての国に「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」と呼びかけた

そして、世界の176カ国/地域で、日本を含む感染者が確認された所からの、入国/入域制限が行われている(3月28日現在)。

このような情勢で、日本航空(JAL)は3月29日から4月30日にかけ、国際線の64%を運休。全日空(ANA)も3月29日から4月24日までの間、約7割を運休する。JALは3315便、ANAは3295便が運航を取りやめるという(3月24日の発表時点)。

なんとも壊滅的な状況である・・・。両社とも、2020年のオリンピックを見込んでか、新しい路線の就航や便数の増加を予定して、攻めの姿勢だったのに。

しかしこんな状況なのに、それでもJALとANAが飛ぶ海外の都市が存在する。

日本封鎖、それでも飛ばす。政府も国交省も合意しているのだろう。それは「日本の生命線」といえる地域なのではないだろうか。経済でも政治でも、海外邦人の保護という点でも――と想像してみた。

一体それは、どの国のどの都市なのだろうか。4月の大まかな状況を見てみた(コードシェア便除く)。

まず、アメリカ

なんといっても、日本の最優先国と言えば、アメリカ。

アメリカはどうなっているのだろうか。

まずはニューヨーク。JALやANAだけではなく、アメリカや他の国のエアーも加えると、日本で最も行き来が多い路線の一つだろう。今どうなっているのだろうか。

JALは通常1日2本だが、1本のみ羽田から運行する。ただし毎日は飛ばずに半分近く減便している。ANAも似ていて通常は1日2本だが、1本のみ。成田発便のみの運行で、週3便となっている。

今もって運行している線では、このようなパターンがほとんどである。1日1本のみ、毎日ではなく半分程度飛ばすという形だ。

意外にたくさん運行しているのが、ロサンゼルス線だ。

JALは、羽田発を1本のみ6割近くを運行している。それだけではなく、関空発も週3日のみ運行している。ANAは運休。

それもそのはず、アメリカ本土だけを見れば、通常からJALもANAも、ロサンゼルス便が一番多いのだ。両者とも1日3便、つまり計6便飛んでいる。これにコードシェア便も足せば、もっと多くなる。

同様に、サンフランシスコへも運行している。

通常は両社とも1日2本、つまり計4本飛んでいる。今はJALは羽田発を1本のみ、半分近く減便して運行。ANAも成田発を1本のみ、週3便だけ運行している。

羽田発がJAL、成田発がANAと、棲み分けをしたようだ。

ハワイはどうなった

旅行ではいつもダントツ人気のハワイ・ホノルル線。アメリカ全土を見れば、通常はホノルル線が群を抜いて一番多い。

JALは東京から1日4本、中部空港から1本、関空から1本、その他コードシェア便で札幌・福岡からも飛ばしている。

ANAも通常は、東京から1日3本飛ばしている。

東京(羽田・成田)からは、コードシェア便も入れれば、19時45分から23時55分までの約4時間の間に、8本も飛んでいる。夜飛んで、朝にハワイに着くわけだ。コナ行きも、1日1本ある。

このように日本人は、ハワイが大好きなのだ。JALやANA以外にも、アメリカやハワイのエアー、LCCや中韓のエアーも入れれば、一体1日何本飛んでいるのだろう。

ところが、今や1本も飛んでいない・・・。そして、グアム線も同様で、JALもANAも皆無である。

ハワイの邦人はどうなる

日本からアメリカへの入国者は,「入国後14日間,自宅等で待機の上,健康状態を観察し,周囲の者と距離を置くこと」となっている。

さらにハワイ州では、デイビッド・イゲ知事が3月17日、渡航者に対してハワイに来るのを今後30日間控えるよう要請した。

また、上記の自主待機を破った者は5000ドル(約54万円)以下の罰金、または1年以下の禁固、もしくはその両方が科されるという、厳しい措置をとることを決めた。

だから飛ばないのは無理もないのだが、それにしてもハワイ線が全滅、1本もないとは。観光のニーズが高くて、ビジネス需要は低かったことがうかがえる。

ただ、ハワイには住んでいたり、旅行でゆっくり滞在していたりする日本人も多いのではないだろうか。特に在留邦人が気になってしまう。島だから飛行機が飛ばないとどうにもならないのに・・・(まさか船ということはないだろう)。彼らに手は差し伸べないのだろうか、と思ってしまう。

調べてみると、知事の発令が3月17日、今残っている資料から見ると、JALの最終便が24日、ANAが28日だったようだ。1週間から10日間の余地があったわけか・・・うーん・・・。

大丈夫だったのか。外国にいると、情報に疎くなってしまうことがあるものだ。

筆者は、日本で「4日後に韓国に1泊してから、ベルリンに帰るの。JALでチケットを買ったわ」というドイツ人に会ったことがある。日本が韓国から来る人の入国制限を決めて、韓国政府が怒りまくっている日曜日のことだ。翌日月曜日から、韓国側でも日本からは入国制限を始めるという時だった。

あの人は私に偶然出会わなければ、どうしていたのだろう・・・と思う(結論を言えば、大丈夫だったのだが)。

アメリカの地方は?

その他のアメリカの都市では、ワシントンD.C.も、シカゴも、ヒューストンも、サンノゼも全部運休である。

ちょっと意外だが、ボストンは週3便、シアトルは週3便、サンディエゴへも週3便、飛んでいる。すべてJALで成田からである。

アメリカ以外の北米では、結構飛んでいるのが、カナダのバンクーバー。JALが成田から週2便、ANAが羽田から週3便飛んでいる。

その他、メキシコシティもANAが成田から週4便飛ばしている。

――というわけで、かろうじて北米に飛んでいるのは、すべて東京(羽田か成田)からだ。地方空港から飛んでいるのは、関空からJALが週3便、ロサンゼルスに飛ばしているだけである。

超悲惨な欧州の状況

目もあてられないのは、ヨーロッパ線である(ロシア含む)。

ANAが、ロンドンとフランクフルトに、週3便飛ばしているだけである(あれ、つい数日前まで、ロンドンは週4便と発表していたのに??)

JALにいたっては全線運休という、1滴の水もない砂漠の状況である。

イタリアは言うにおよばず、パリも、ヘルシンキも、ミュンヘンも、デュッセルドルフも、ウイーンも、ブリュッセルも、モスクワも、ウラジオストックも、全部運休である。

ほぼ壊滅状態のなか、フランクフルトとロンドンだけ残ったというのは、たいへん興味深い。

27日、外務省から「【緊急】ドイツ経由でご帰国等を予定している方への留意事項」というメールが届いた。

このようなメールが届いたということは、欧州から日本に帰りたがっている日本人の数が大変多く、ドイツを目指してなだれこんでいるということではないだろうか。駐在員の数だけでも、かなりの数になるのではないか。

メールいわく、空路でドイツに入り、ドイツではトランジット(空港内の乗り換え)だけならば、日本に帰国が可能だそうだ。ただし、陸路は問題があるという。

オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、デンマークなどから車でドイツに入り、その後空路で日本に戻りたくても、3月16日から国境管理が開始されいるから、国境検査で問題が起きるかもしれない。ドイツ内務省は「十分に合理的な理由のない者」については,ドイツへの入国を拒否するとしている。

例外的に入国を許可するかどうかについては,係官と各自事情による。一般的には,日本人が帰国するのにドイツを経由することは可能とされているが、日本までの飛行機チケットを持っていることが必要となる――と。

筆者は、たまたま全くの偶然で「3月25日、封鎖前の最後のチケット」を持っていたので(何てことだ・・・)、刻一刻と変わる状況には通じていた。

でも、欧州のほとんどの国に在住する日本人にとっては、あっという間に日本が封鎖になって、いきなり在住国から自国の飛行機が1本も飛ばなくなってしまったのだ。

「棄民」というのはあまりにも言い過ぎとしても、取り残された感、見捨てられた感は大きかったのではないか。

23日くらいから「オリンピックがいよいよ中止になるのか」という報道が一気に増えた(前日までは「4週間以内に決める」と言っていた)。それなのに、同日夜には外務省が欧州への「渡航中止勧告(レベル3)」を発令。これは最高危険レベル4の「退避勧告」の一歩前だ。翌24日にはオリンピックの中止が決定、そして25日は、多くのJALの欧州線で最後の便。ANAの場合は27−28日が多かった。

なんて目まぐるしい、こんな短期間で最終便に乗れるわけないでしょう!!――と思う。

企業側としても、駐在員の引き上げを決めるのにも、そんなに早く決められるのだろうか。ロンドン線を残したのは、島だからか。ロンドンは、欧州で最も日本人駐在員の数が多いとされるが、ロンドン線を閉じてしまっては、容易に帰って来られなくなるからか。

なぜフランクフルト?

欧州大陸側でドイツ(フランクフルト)だけ残したのは、なぜだろう。

もちろん、欧州中央銀行がそびえる、ヨーロッパと欧州連合(EU)の経済の中心だからだろう。

それだけではなく、地理的要因も大きいと思う。ドイツなら、上記にあるように、オーストリア,スイス,フランス,ルクセンブルク,デンマークから陸路で入りやすい。

日本人の駐在員は、首都にばかりいるわけではない。工場や、それ関連する研究所等は、地方にあることが多いのだ。

ドイツのルフトハンザは、「スター・アライアンス」のグループに属している。だから同じグループに属するANAが飛んだのかもしれない。もともと西欧は、圧倒的にJALよりもANAが強いのだ(JALが入っているグループ、「ワン・ワールド」も理由の一つだろう)。

でも、それでもヨーロッパとEUの研究をしている私としては、1本も欧州に飛ばさないという、このJALの仕打ち(?)を一生忘れないから・・・なんて、大変心の狭いことを思ってしまう。

日本のエアーは祖国そのもの

『沈まぬ太陽』(山崎豊子作)という名作がある。

ここで、アジアの国で突然隣国と戦争が起こり、取り残されてしまった日本人駐在員たちの話が出てくる。

欧州の国々は、さっさと特別便を出して自国民を救助したのに、日本からはちっとも来ない。空港で何日も疲労困憊で待つ日本人たち。

やっと臨時便が到着した。機体にはNAL(と小説ではなっていた)の鶴のマーク。それを見た瞬間、日本人から、歓声と拍手が起きた。涙の叫びが起きた。日本の飛行機は、祖国そのものであった・・・という描写がある。

私は海外に住んでいるので、この気持が痛いほどわかる。この部分は、実際に体験した人に作者が取材して書いたのだと、100%確信させる文章だった。

フランスの地方に住んでいたとき、国内線でパリに到着したことがある。パリのシャルル・ドゴール空港で、日本の飛行機を見たその瞬間、どばっと目から涙があふれたことがある。「え、私泣いてる? なんでだろう?」と思った。感情より先に、体が反応していたのだ。

これは外国生活をしたことがある人にしか、わからないのかもしれない。でも、読者の方々も、生まれ育った故郷を離れて生活している人は、故郷を思わせる何かで、似たような経験はないだろうか。

国家とEU、そして日本

欧州は、他と異なる特徴のある地域である。

さほど大きくない面積の所に、たくさんの先進国が詰まっている。そしてEUがある。

EUの政策のおかげで、県境をまたぐがごとく、車や列車で隣国に簡単に行けてしまう。イギリスは島であるが、ユーロスターで陸続きになっている(ちなみに、3月20日の段階では、ユーロスターは走っている。本数は極めて少なく、パリに3本、ブリュッセルに2本、アムステルダムは運休である)。

「国境なき欧州をつくる」というのが、EUの理想だった。

でも、今は国境管理が復活して、EUは大きな困難にぶつかっている。そのかわりに「国家」が大きく前面に現れている。

この原稿を書いている途中の27日、エールフランスが4月の運行を発表した。

たった1本だけ、毎日ではなく週数便であるが、パリと東京間を運行する予定とある(これで欧州の日本人は、ドイツ1点になだれこまなくても良くなった。ほっとした)。片道の特別料金の切符も、引き続き売っている。筆者が調べてみた時点では、片道6万7000円でおつりがきた。とても安い。

自国民、そしてEU国民の保護のためなのだろう。

危機になると、結局頼るのは「国家」なのだろうか。

フランス人の日本の旅行者は多いと思う。フランス人は大変な親日家で、人口比でいうと、日本のマンガが世界で最も売れている国はフランスである。それでも日仏は、ビジネスや政治、軍事関係で、死活問題にある関係とは思えない。1ヶ月以上も猶予期間をもうけているとは、とても長いではないか。

このような特別措置を1ヶ月以上続けて、自国民とEU国民の保護を続けるフランスのエアーと、たった数日くらいで欧州主要都市のフライトを慌ただしく止めてしまった日本のエアー。どうしても比べてしまう。なぜこうなったのだろうか、と考えてしまう。

コロナ危機は戦争ほどではないから、「欧州はEUがあるんだから大丈夫だ」「他の国のエアーが飛んでいれば、いいではないか」という話なのだろうか。でも、日本のエアーが運行停止を決断した時点では、エールフランスの4月の運行は、決まっていなかったはずだ。。。

最終決断をしているのは航空会社なのか、国交省なのか、政府なのか。

「新型コロナにかかったら飲んではいけない薬」問題といい、感染対策といい、エールフランスのことといい、フランスは危機管理がしっかりしている国だなあと思う。大至急、徹底的な自国の封鎖はするが、外国にいる自国民・EU国民のことも忘れない。日本は真逆である。

なぜこうなるのだろうか・・・。

後編「アジア+オセアニア」に続く。

※この原稿は4月の大まかな状況です。詳細な、かつ最新の状況は以下のリンクをご覧ください。

JAL:〔3月29日以降搭乗分〕新型コロナウイルス肺炎の影響に伴う一部運休・減便・時間変更について

ANA:新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際線路線・便数計画の一部変更について

なお、原稿の中にある「通常の便」は、JALは「国際線時刻表」を、ANAは「ANA時刻表(国際)」、どちらも「2020年3月29日ー8月31日」予定を参照しました。

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March 28, 2020 at 07:42PM
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