2022/03/20 05:00 ウェザーニュース
ストレスはメンタル(心)ばかりでなく身体の不調、とくに「血管病」を誘発する大きな要因とされています。
注意するべきストレスによる主な不調と、それぞれのタイプに合ったストレス解消法について、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。
不安感から引きこもり、PTSDも
「生活環境の変化には不安や心配が伴います。さらに一昨年から新型コロナウイルス感染症が終息の兆しをみせず、ストレスの大きな要因となっている状況が続いています。
ストレスによる心理面の変化として不安、いらいら、落ち込み、不眠や怒りなどが挙げられます。それによって暴飲暴食や喫煙量の増加、暴言暴力の多発などが起き、生活の乱れにつながっていきます。
もともと春は環境の変化が原因となるうつ病の発生が多い季節ですが、コロナ感染予防の手洗い励行や消毒の励行が一種の神経症である『不潔恐怖症』や、テレワークや休校措置の拡大による『引きこもり』といった、メンタルの不調が増加しているのです」(吉田院長)
メンタルの不調は不安障害やパニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)といった精神疾患につながるだけでなく、身体疾患にも直結する可能性があるそうです。
ストレスは心筋梗塞や脳卒中の原因にも
また、ストレスによって心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まるといいます。
「自律神経や内分泌系の異常は身体の代謝機能を乱して血管に負担をかけるため、血管病を誘発する大きな要因になるのです。
ストレスが血管に与える悪影響として、血圧・血糖値の上昇、コレステロールなどの血中脂質の異常が起こりやすくなります。血液中の赤血球が増加して血栓ができやすくなったりもします。血栓は心筋梗塞や脳卒中の原因になるので注意が必要です」(吉田先生)
脈拍の減少と血圧の低下には、目を軽く閉じて何回か深呼吸をするのが効果的だといいます。
「大きく息を吸い込み、吸った3倍くらいの時間をかけながらゆっくり息を吐き出します。椅子にゆったり座り、上半身の力を抜いて行うことが大切です。一時的ですが、リラックスすることで血圧などを下げる効果があるでしょう」(吉田院長)
ストレス解消の近道は?
「ストレスによる不安の原因は“自分でもよくわからないもやもやした感情”です。この“もやもや”をため込んだままにしておくと、いつか“爆発”し、精神や身体の疾患が引き起こされてしまいます。
感情の爆発を予防するためには、自分の気持ちを書き出してみて整理する『アウトプット』が効果的です。それによってストレスの原因が見出せれば、自分に合った解消法を見つける大きな手立てにもなります」(吉田院長)
自分がどんなタイプの人間か把握しておくことも重要です。
インドア派なのかアウトドア派なのか、一人でいたいのか大勢での会話を好むのかなど、自分が楽しさを感じるシチュエーション、自分が好きなことは何かを考えることがストレスの解消につながるといいます。
「すぐに思いつかなければ、疲れたり気分がのらなかったりすることは何かを挙げてみてください。それを除いてみると、次のような4つのタイプがみえてくると思います。
・自宅で静かに過ごしていたい
・どこかへ外出したい
・一人でいたい
・ほかの誰かと一緒にいたい
自分にあてはまるそれぞれのタイプに合わせて、一人で音楽を聴いたり、植物を育てたり、友人を誘って食事をしたり、小旅行に出かけたりなど。自分が“好きだ”と思うことを見つけて、気軽に楽しんでみてください。それがいちばんのストレス解消法です」(吉田院長)
そのほか、日光浴もストレス解消に効果的だそうです。
「日光を浴びると脳内神経伝達物質であるセロトニンの分泌が促されます。セロトニンは精神の安定に欠かせない物質です」(吉田院長)
一方、他人と比べることには注意が必要だといいます。
「特にこの時期は、花見や卒業、入学、就職などの華やかな行事があります。抑うつ的な気持ちになっていると、みんなが楽しんでいる様子を見て、自分の気持ちが周囲にについていけず、より一層落ち込んでしまうといった傾向もあります。
ついつい他人と自分を比較してしまいがちですが、できる限り他人と比べることは控えて、どうしても比べたい時は、過去の自分と比べるとよいでしょう」(吉田院長)
自分のタイプを知ったうえで好きだと感じることをして、穏やかな春の気候や風景の美しさを満喫してみましょう。
参考資料など
からの記事と詳細 ( 春に感じやすいストレスは血管病を誘発する? 解消の近道とは - ウェザーニュース )
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