当たり前に続くと思っていた日常は、当たり前ではなかった。この春、日本全国を覆った新型コロナウイルスの脅威。多くの人が生活や仕事の危機に直面し、不安の中で日々を過ごした。コロナ禍は、一人ひとりの暮らしや価値観にどう影響したのか。結婚相談所で仲人業をする中村順子さん(44)に聞いた。
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結婚を希望する人たち向けの相談所を、2017年から開いています。事務所はありません。兵庫県西宮市の自宅が仕事場です。会員と、LINEでの婚活の悩み相談を合わせると、北は北海道から南は沖縄まで300人ほどいます。
新型コロナウイルスで社会全体が緊張と自粛を強いられていたこの4月、当相談所の仲介で成婚に至ったカップルは過去最多でした。「コロナ婚」とでもいったらいいのか。出会って早々に「お断り」されるケースが減り、交際成立に至る比率が高まりました。
どんな職業の人でも、結婚となると必ずしも思い通りにはいかないものです。肩書があっても、お金があっても、それだけで全てが決まるわけではない。私たち仲人の武器は、蓄積されたビッグデータと勘です。
「仲人Nの逆襲」というブログに、婚活中の人たちに向けたちょっとキツめの助言を書き込んでいます。そのせいか、私を訪ねてくるのは何かしら「叱られたい」「自分の考え方が間違っているのかも」と思って来る人が少なくありません。
仲人を始めたきっかけは、かつての職場の同僚――私は「師匠」と呼んでいますが、その人が副業で仲人もしていたことです。その人にくっついて色々学んだり観察したり、同僚や友人の相談に乗ったりするうち、婚活が成就しないケースには一定の「法則」があることが見えてきました。以前から40歳で新しいことに挑戦したいと思っていたので、その区切りで仲人を始めました。
私の相談所では、まずは会員登録してプロフィルをつくり、それを見て気に入った人がいればお見合いを仲人経由で申し込みます。本人が承諾したら、45分間のお見合い。その後、「交際希望」か「お断り」かを選びます。婚活アプリとの違いは、紹介のプロセスに「人力」が加わること。一見条件に合わないようでも「こんな人もいるんですがどうですか」と勧め、本人とやり取りしながらチャンスを広げていくことです。
端的に言えば、仲人業は会員さんの希望条件との闘いです。学歴、年収、顔。それぞれ譲れない一線がある。でも、私はそこにこだわりすぎるのではなく、一緒にいたいと思える人を選ぼう、と言ってきました。
コロナ禍は、多くの人が不変と信じてきたものが案外簡単に崩れてしまう可能性を知らしめたと思います。これまで自分の「条件」を絶対と考えてきた人たちも、何かを感じたのではないでしょうか。
お見合いのオンライン化が加速したことも、成婚率が上がった一要素です。リモート特有の手軽さと気軽さがありますから、最初の「出会い」までのハードルがぐっと下がった気がします。「オンラインで会話してみたら楽しかった。学歴なんて関係ないやん」といった声を会員から聞くと、私もうれしくなります。
私は、人の明るい表情を見るのが好きなんです。それがこの仕事を始める初心だったんですけど、コロナ禍の中で、改めてそれを思い出しました。
この厳しい時代の中で「結婚」という道を選んだカップルが、ともに寄り添い、困難を乗り越えていくことを願っています。あっ、また新規の相談が来たみたい。それじゃ!
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なかむら・じゅんこ 1976年生まれ。大学職員として19年勤めた後、日本仲人協会の仲人士となり、結婚相談所「ザ・ジューンブライドドレッシング」を設立。夫と1男1女。(構成・滝坪潤一)
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June 29, 2020 at 08:00AM
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兵庫)結婚めぐる価値観も変化 仲人がみた「コロナ婚」 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞社
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