青果部門にとってゴールデンウィーク(GW)の商売はやっかいな存在だ。市場休市がつながり、数日分前もっての発注が必要となるのに加え、毎年曜日回り、天候が違うので売れ筋も変わる。
また、品切れしないよう多めの発注をして在庫商品を持ってしまうと、連休明けに相場が下がり評価損を出すこともある…。
このようにGWの青果商売は不確定要素が多く、計画販売しにくいのが実態だ。
そこでお勧めしたいのは、GW前に立てた売場計画をそのままにせず、ポイントを押さえた計画修正を繰り返し行うことで、余分な在庫を持たず最終着地する考え方だ。
発注担当者が特に注目すべき日は?
今年のGWは4月末と5月第1週の前後半に分けて考えるとよい。その間の休日と市場休市(発注可能日)をまとめたのが下のカレンダーである。
その中で、計画修正を実際に行うことになる発注担当者が、特に注目すべき重点管理必須の3日間がある。黄色で塗りつぶした4月30日と5月1日、そして5日だ。
2024年GW青果部門商売カレンダー

なぜこの3日間にこれほどこだわるのか。それは、在庫売れ数に合わせて計画修正しやすい3日間だからだ。
発注の制約が多いGW期間中は、追加修正したくても、市場が休みで何もできない日が多い。その中にあって、この3日は市場へ発注ができる「発注可能日」であるのに加え、GW前後半の入口や締め日など「商売の節目」の日であり、修正を行うのに最も適したポイントであるためだ。
4月29日(金)にやるべきこと
28日、29日の連休(休市)前の、GW突入前最後の発注日となる。この日以降、GWの事前発注商品を軸に商売する期間となるので、それまでの商売で残した商品はできる限りこの日までに売り切り、翌日からのGW売場計画にすんなり入れるようにしたい。
加えて翌30日の市場営業日に向けて、不足する商品、定番発注3日分もしっかりしておくことも重要だ。
29日にやるべきポイントは次の3点。①GW期間中の事前発注済み商品、売場計画確認、②①の計画に入っていない在庫週品の売り切り、③不足する商品(定番商品)の発注。
5月1日(水)にやるべきこと
GW後半4連休前最後の発注日となる。前半の商売が終わった時点での在庫状況、売れ筋(計画比でよく売れた商品)を把握の上、修正発注を行うと共に売場計画の修正も行い、適正在庫での後半商売の着地を目指す。
1日にやるべきポイントは次の3点。①前半商売の在庫品、売れ筋商品を把握する、②①を踏まえて後半売場計画、発注の修正をできる範囲で行う、③不足する商品(定番商品)の発注。
5月5日(日)にやるべきこと
連休最終日の6日(振替休日)が臨時開市日となるため、5日は発注が可能だ。翌日の連休最終日から連休明けにかけて日常生活に戻るタイミングに向け、ベーシック商材中心の売場を立て直すポイントとなる日でもある。
5日にやるべきポイントは次の3点。①計画どおり売れていない(在庫している)品目を把握、②①の商品の消化計画を盛り込んだ翌日以降の売場計画立てる、③不足する商品(定番商品)の発注。
この日は併せて、通常の週間発注もある場合は、作業計画を見直して発注担当者に在庫チェック、考える時間を十分に取れるようにする。
それ以外の日にやるべきこと
この3日間以外の日も毎日、事前計画と販売実績の差異を確認。売場スペース、販売規格、売価の見直しなど、計画に対して微調整をしていくことが大切だ。
この際、ポイントとなる商品在庫数をしっかり把握するためにも、発注担当者は毎日開店後、バックヤードの在庫を整理しつつ、品目ごとの在庫数を把握するようにしたい。
押さえたい商品と売り方
スイカ
昨年のGWは、東京の場合、4月末と連休最終日の7日に雨模様だった以外、晴天に恵まれ、スイカがよく売れた。ただ、この時季のスイカは年によって出回るサイズや価格が異なるため、商品化によって売れ数に差が出やすい品目であるので注意が必要だ。
そこでここでは、スイカのサイズ、価格に合わせた商品化の考え方を紹介したい。今年は暖冬だったこともあり、全体的に前進出荷が見込まれていたが3月に低温傾向となったことで商品状況は読みにくい状況だ。
主産地熊本の出荷計画では、4月下旬以降、潤沢に出荷が進む予想で玉サイズは4月はM~L中心で、5月になると次第にL~LL中心になることが見込まれている。この「玉サイズ」が相場と商品化に大きく影響するので注意が必要だ。
まず、Mサイズが中心で、まだ単価の高い時季の売り方は、4分の1や6分の1カットではボリューム感も出にくく、価格設定も高くせざるを得ず、お客に割高感を感じさせてしまう。
そのようなときに有効な商品化方法が「とんがりカット」「ブロックカット」「スライスカット」など。いずれも商品化に手間がかかるが、比較的少ない量でボリューム感を出しやすいのと、量目で価格、利幅の調整が可能なので、玉サイズが小玉傾向の時季にぜひ試してほしい売り方となる。
次にL~LLサイズが増えたときは比較的加工に手間が少ない4分の1や6分の1カットを増やし、比較販売として2分の1カットも品揃えする。
ただ、原料単価から逆算して価格設定がしにくければ引き続き、「とんがりカット」「ブロックカット」「スライスカット」の構成を高めに維持するとよい。売れ数を見ながら各SKUのバランスを取ることが重要となる。

サラダ商材
気候変動の影響から、野菜の市場相場、売れ筋とも変動しやすいが、ここ数年来の東京都中央卸売市場の5月上旬の扱い金額上位品目を見るとトマト(ミニトマト含む)が常に1位で、以下、キュウリ、ブロッコリー、キャベツ、ピーマン、レタスなどサラダ商材が上位に並んでいる。
同じく、5月の家計支出金額でもこれらサラダ商材やジャガ芋、玉ネギが上位になっている。このことからもGWの青果商売でサラダ材料は外せない品目であるといえるのは間違いない。
ただ、本稿執筆時点の情報ではどの品目も前年並みか微減入荷の予想になっている。今後の天候にも左右されるので、その場の商品状況に合わせて商品構成、販売形態は工夫したい。
また、市場有利品などタイムリーな商品調達を行った際に有効なのが、盛り売りやばら売りだ。そのような販売方法(商品化)も想定し、スタンドバックやフルーツパックを各種、事前に準備しておくとよいだろう。


からの記事と詳細 ( GW直前!この提案は実施したい!! 青果編 重点管理すべき3日間とスイカ、サラダ商材の展開 - リテールガイド )
https://ift.tt/2ufGoWM
No comments:
Post a Comment