
ボーチャーズ曰く、さすがのアップルも、こうしたiPadの活用のすべてを把握できているわけではないという。だからこそ、今回のように先駆的な事例を作るユーザーを訪問しては「活用の可能性を学び、障壁を取り除くように働きかける」のだと述べる。
この「障壁を取り除く」というのが、じつにアップルらしいユニークなアプローチだ。
ほかの多くのテクノロジー企業は、人気の事例があると、それを誰もが簡単に真似をできるように最適化し、それを標準機能としてしまうことが少なくない。これに対してアップルは、機能を追加するのではなく、ただ“障壁を取り除く”だけなのだ。だからこそ、その使い道が限定されず、むしろ、どんどん広がっていくのではないだろうか。
「これはアップルの社内文化に染み付いているのですが、アップルのものづくりはとにかくシンプルにする、シンプルにする、シンプルにする……それに尽きます。良いアイディアを集約して、最もシンプルで最もパワフルな形になるまで洗練させるのです。これが我々の極めて特徴的で情熱的なアプローチなのです」
シンプルだけれどパワフル。だからこそ、人にインスピレーションを与え新たな創造を促す。
これからもiPadは、クリエイティビティの新たなフロンティアを開拓し続けることになりそうだ。
PROFILE
林信行
フリージャーナリスト・コンサルタント。グッドデザイン賞審査員。金沢美術工芸大学名誉客員教授。1990年以降、IT最前線を取材するジャーナリストとして活動を開始。今はデザイン、アート、伝統産業など領域を横断し22世紀に残すべき価値を探究。
からの記事と詳細 ( アップル社ヴァイスプレジデントが見た「iPadが斬り開く新たなクリエイティビティの地平」 - GQ JAPAN )
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