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Saturday, August 27, 2022

【東大教授直伝!】子どもの「やる気」を一気に高める勉強法 - ダイヤモンド・オンライン

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長いようで短かった夏休み。子どもたちにとって夏休みは、普段はなかなかできない学びの機会にもなっただろう。しかし、ついダラダラ過ごしてしまった! と後悔している人も多いはず。でも、今からだって、子どもの「やる気」を高め、楽しく学びを深めることはできる。そう語るのは、小学生の頃に仏像を見たことがきっかけで歴史にハマり、東京大学史料編纂所教授にまでなった本郷和人教授だ。本郷氏は子ども向けの歴史入門書『東大教授がおしえる やばい日本史』『東大教授がおしえる さらに!やばい日本史』の監修も行っている。本郷氏の考える、「子どものやる気を高める勉強法」とは?(取材・構成/小川晶子、写真/梅沢香織)

身近な土地の歴史を調べる

【東大教授直伝!】子どもの「やる気」を一気に高める勉強法

――夏休みはもう終わってしまいますが、今からでもすぐに子どもが歴史好きになれる勉強法というのはないでしょうか?

本郷和人氏(以下、本郷):いま住んでいる土地や、生まれた土地の歴史を調べてみることをおすすめしたいです。身近な場所に歴史的な物語があることがわかると、ぐっと興味が出てくるのではないでしょうか。近所の図書館へ行くだけでいいんです。図書館にはだいたい郷土史のコーナーがあり、その土地の歴史を調べられるようになっています。自分がいま住んでいる、あるいは生まれたというのは偶然のことかもしれませんが、その土地の歴史を知るのは想像以上に面白いものです。

――私が住んでいる杉並区今川は、今川義元とゆかりがあるようです。地名の由来にも歴史が見えますね。

本郷:おじいちゃん、おばあちゃんに昔の生活がどうだったかなど聞くのもいいと思います。生の声を聞くことで、歴史と自分とのつながりが感じられるでしょう。

旅先で歴史に触れる

本郷:旅行に行くのもいいですね。僕は小学校4年生のとき京都・奈良へ旅行に行き、仏像に魅せられたのが歴史好きになったきっかけです。仏像を見て回って、かっこいいなぁと思ったんですよ。1000年も昔の人がこんなにすごいものを作ったのかと。それでハマりました。今からでも、週末を使って小旅行に行くのはおすすめです。

――仏像、お城、お寺など、実際に見るとやはり迫力がありますもんね。親子で旅行に行くとき、親があまり歴史の知識がない場合はうまく説明ができなそうですが、それでもいいのでしょうか。

本郷:わからなくても一緒に調べて楽しめればいいし、面倒だったら観光バスに乗ればいいですよ。ガイドさんがいろいろ説明してくれるでしょう? それに、ポイントをおさえて効率的に回ってくれます。子どもは感受性豊かだから、じゅうぶん感じ取ってくれますよ。

本を読む

本郷:何も遠くへ行かなくたって、本を読むだけで歴史の世界に行くことはできます。僕が監修している『やばい日本史』は、偉人の「すごい」と「やばい」を両方紹介する、日本史の超入門書です。

たとえば、織田信長は頭脳明晰でカリスマ性も抜群。室町幕府をほろぼし、天下統一にチャレンジしたすごい大名です。

一方で、手紙に「第六天魔王 信長」と書いてしまうような、イタい一面もありました。第六天魔王というのは仏教の敵の悪魔のことで、今っぽく言うと「暗黒の破壊神 信長」とか「堕天使ルシファー 信長」みたいなニュアンスかもしれません。

偉人の偉業を知ることはもちろん大切ですが、こんなふうに織田信長の“中二病”の顔も知れると、歴史が一気に身近で楽しいものになります。興味がわくと、勉強は急に楽しくなります。

【東大教授直伝!】子どもの「やる気」を一気に高める勉強法

親は成功談よりも失敗談を話す

――私は子どもの頃、歴史がとくに苦手でした。学校で習う歴史はリアリティが感じられず、単なる暗記科目になっていたんです。大人になってようやく、歴史小説やドラマ、『やばい日本史』のような書籍で面白さを感じるようになりました。子どもには歴史に限らず勉強の意義を伝えたいなとは思うのですが、どうするといいのでしょうか。

本郷:親が子どもにちゃんと向き合っていれば、子どもはわかるものです。親の知識が少なくたっていいんですよ。それで親を嫌いになるわけじゃありません。僕は失敗談を話してあげるのがいいと思いますね。「ここで躓いて失敗したから、おまえは気をつけろよ」って言われたら「なるほど、じゃあ自分は頑張ろう」と思うでしょう。でも、けっこう子どもに対して話を盛っちゃう人が多いんですよ。お父さんは昔はこんなにできたとか、お母さんはこんなにモテたとか(笑)。それが一番よくありませんね。

歴史を見ても、「功績を盛る」というのはよく行われています。一番わかりやすいのは戦争の軍勢です。たとえば源頼朝が奥州藤原氏を滅ぼそうと東北へ攻めたときの軍勢が28万といわれていますが、そんなはずはない。実際には10分の1の2万8000がいいところです。歴史的な資料をそのまま読むと「28万も率いたのか、すごいな」と思いますが、知識のある研究者は「まあ10分の1だろうな」くらいに思っています。そんなふうに、過去の実績は盛りがちなんですよ。

――そうなんですね! 教科書や史料に書かれていることが正しいと思っていました。でも、『やばい日本史』にあるように、歴史上の人物たちもけっこう失敗をしているし、実績を盛りがちなのだと思うと親近感がわきますね。それでもやはり「すごい」は「すごい」のですが、リアリティが増した気がします。

本郷:歴史学者は、資料を文字通り読んではダメなのです。知識を総動員して「ここに書かれていることは本当か?」と考えないといけません。

歴史を学ぶ一つの意義は、現代の常識や喧伝されていることに対して「本当だろうか?」と考えられることにあると思っています。いま常識とされていることが昔は違ったという例はいくらでもありますからね。そして、これまでどんな道を歩んできたかを知っていれば、未来の選択にも反映させられると思うんです。もちろん我々にとって最も大事なのは未来に向かって進むことです。その際に歴史が教えてくれる部分も大きいのです。

お子さんが歴史に興味を盛ったら、親御さんはその興味の芽を摘まないでほしい。歴史なんていくら学んでもお金にならないわよって正論を言わずに(笑)、見守ってあげてほしいですね。

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