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Tuesday, August 16, 2022

現代アートの父、マルセル・デュシャン なぜそう呼ばれる? - 日経ビジネスオンライン

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本連載では、20世紀以降の画家や芸術家を軸として、現代アートの流れを追っていきます。第2回は、「現代アートの父」と呼ばれるマルセル・デュシャン(1887年7月28日~1968年10月2日)について解説します。

マルセル・デュシャンのここがすごい

マルセル・デュシャン。フランス生まれの現代美術の大家。もともとは油絵の画家だったが、後に現代アートの素となる作品作りにシフトした。作家活動の傍らチェスにも没頭、フランス代表として国際大会で幾度と熱戦を繰り広げた。(1887年7月28日〜1968年10月2日)(写真=Christer Stromholm Estate/Agence Vu/アフロ)

マルセル・デュシャン。フランス生まれの現代美術の大家。もともとは油絵の画家だったが、後に現代アートの素となる作品作りにシフトした。作家活動の傍らチェスにも没頭、フランス代表として国際大会で幾度と熱戦を繰り広げた。(1887年7月28日〜1968年10月2日)(写真=Christer Stromholm Estate/Agence Vu/アフロ)

 マルセル・デュシャン(以下デュシャン)は「アートは目で見て楽しませるだけでなく、考えさせるもの」という価値観を生み出し、現代アートの起点となった人物です。

 それまでのアートは、「本物そっくりに描けている」「色彩が美しい」といった目で見える部分が評価の上で重視されていました。古典美術は写真のように写実的に、正確に描かれている作品が良しとされ、19世紀後半に登場した印象派は光をキャンバス上に再現することに特化していきます。

 ところが、デュシャンの作品は次のようなものでした。

(写真=Henri Cartier-Bresson/Magnum Photos/アフロ)

(写真=Henri Cartier-Bresson/Magnum Photos/アフロ)

 これが作品と驚く人もいると思います。

 彼の作品としても、現代アートの始まりとしても、象徴となる作品「泉」です。既成の男性用小便器に「R.Mutt(リチャード・マット)」の署名と年号「1917」が入っただけのもの。21世紀になった今見ても「これがアート作品なの?」と疑問を持つ人は多いと思います。

 日用品がそのまま作品として突如展示されることで、見た人は「アートって何だろう?」と考えさせられます。こういった思考や心の動きが生まれることこそがデュシャンの意図であり現代アートの根底にある考え方なのです。

 それまでは、構図を考えて絵の具を塗る「絵画」や、石や木を彫る「彫刻」など、アーティストが「つくる」ものがアートとされてきました。しかしデュシャンのアートは、買ってきたものをそのまま置くだけ。アーティストがやるのは、何を作品にするかを「選ぶ」ことだけです。

 大切なのは美しさや技術の高さではなく、「なぜそれを選んだのか?」「作品を通して何を言おうとしているのか?」というコンセプトなのです。

 そういった新しい価値観を提示したデュシャンの人物像や彼の交友関係などを見ていきましょう。

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