連載「追跡!企業トリビア」
「豆知識、雑学」などを指すトリビア。SNSなどでは企業にまつわる数々のトリビアが出回っている。ロゴデザインの意味やベストセラー商品の誕生秘話、有名キャンペーンの意外な歴史などから見える企業の戦略とは? 素朴な疑問を編集部がピックアップし、各社に追跡取材する。
フライドチキンを主力商品とするファストフード店「ケンタッキーフライドチキン」。そんな同店に隠れた人気商品がある。サイドメニューとして提供している「コールスローサラダ」だ。チキンとの相性がよく、1970年の発売以来、ベストセラー商品となっている。
Twitterの反応を見ると「ケンタッキーのチキンにはマスト」「ケンタッキーはコールスローサラダ屋さん」などと味を絶賛する声が多く出ている。中にはコールスローサラダだけを単品で購入したとの投稿もあった。ケンタッキーのコールスローサラダはなぜ絶賛されるのか。その秘密を運営元の日本ケンタッキー・フライド・チキン(日本KFC)に聞いた。
創業者の生まれ故郷の料理
同社が販売するコールスローサラダは、みじん切りにしたキャベツ・ニンジンをタマネギ風味が加わったコールスロードレッシングに漬け込んだもの。もともとは創業者ハーランド・デーヴィッド・サンダース氏(1890〜1980)の生まれ故郷、米インディアナ州の家庭料理だった。
なお、創業者名として一般的に定着している「カーネル・サンダース」の「カーネル」という名前は本名ではなく、食文化の発展に大きく貢献したとして、米ケンタッキー州から与えられた称号だという。
“キャベツカレンダー”で全国の生産状況を管理
調理する上で、同社がこだわっている点が大きく2つある。1つ目が、使用するキャベツへのこだわりだ。「安全で新鮮な素材を使い、心を込めて手づくりしたおいしい食事を提供する」という理念のもと、年間を通じてキャベツカレンダーを作成。全国各地から季節に応じて、サラダに適したキャベツを使用するようにしている。
キャベツの鮮度を保つため、収穫後は温度管理を徹底。同社広報は「生産者や協力会社、皆さまの力があってこそ、コールスローサラダのおいしさにつながっている」と話す。キャベツの生産や管理方法だけでなく、切り方にも一工夫を加え、キャベツ特有の青臭さを除去。野菜嫌いな子どもでも食べやすいようにした。
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チキンとの相性抜群 「企業秘密」の専用ドレッシング
もう一つのこだわりが、ドレッシングだ。チキンとの相性を考え、複数のハーブをブレンドしたものを使用している。ただ、ハーブの種類は「企業秘密」(広報)としている。70年の販売開始から50年以上が経過しているが、ドレッシングを含め、時代に合わせたマイナーチェンジを繰り返しており、現在のコールスローサラダは「開発に3年を要した」(同)という。
コールスローサラダの月間販売数は1店舗当たり平均34個。他のサイドメニュー「ポテト」「ビスケット」「クリスピー」などと比較すると、販売数そのものは少ない。だが、同社は「販売数は少ないが、昔からのお客さまには根強い人気があり、コアなファンがついている」と指摘する。
実際、購入者からは「コールスロー美味しいからケンタッキーを買う」「コールスローはケンタッキーがNo.1」「野菜嫌いの小学校の娘がコールスローだけは美味しいと言って食べてくれる」「90歳の母がオリジナルチキンのモモ肉とコールスローを常に残さず食べる。母がおいしそうな顔をして完食するだけでもとても満足」といった声が届いているといい、幅広い世代から愛されていることが分かる。
同社は同商品について「ハーブをブレンドしたコールスロー専用ドレッシングを使用し、オリジナルチキンとの相性を考慮した設計になっている」と説明している。
同社のメニューでは「サイドメニュー」に該当し、文字通り脇役の存在だが、レシピ投稿サイト「クックパッド」では再現レシピが複数投稿されるなど、主力のチキン並みの人気を誇る、同社のコールスローサラダ。半世紀以上愛される秘訣は、徹底したこだわりと、変化を恐れない企業姿勢にあった。
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からの記事と詳細 ( ケンタッキーの隠れた人気商品「コールスローサラダ」 おいしさの裏に2つの“企業秘密” - ITmedia ビジネスオンライン )
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