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Monday, June 6, 2022

トヨタやソニーら過去最高益、それを支えた「賃金・賞与変動なし」のカラクリ - ビジネス+IT

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なぜ、企業の付加価値が回復しても、GDPや賃金・賞与は伸びていかないのか

(Photo/Getty Images)


「付加価値」は企業活動や賃金動向で“重要すぎる”指標

 企業の経営状況を知るための最も重要な指標が「付加価値」だ。これは、売上高から売上原価を引いたもので、「粗利益」とか「売上総利益」と呼ばれることもある。

 付加価値は、賃金・賞与と企業利益などに配分される。したがって、利益や賃金がどのように変動するかは、付加価値の動向によって決まる。

 そして企業などが生産する付加価値を合計したものが、GDP(国内総生産)だ。これは、国全体の経済活動を測定する最も基本的な指標だ。

 ところで、国全体の経済活動を見るにはGDPという付加価値の概念を用いる一方で、企業活動を見るために企業の付加価値を見ることは、あまりない。

 普通用いられるのは、営業利益、経常利益、純利益、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)などの指標だ。そして、これらを使って、売上高利益率、PER(株価収益率)などの指標が計算され、分析される。企業を投資の対象として見ているために、このような指標が注目されるのだろう。

 しかし、企業活動そのものを見るには利益関連の指標よりも、その元となっている付加価値を見ることが適切だ。特に、賃金・賞与の動向を知るためには、付加価値を見ることが重要だ。

 また、最近のように原材料価格が高騰している時には、それが企業の付加価値にどのように影響するかを見る必要がある。

付加価値が7%超増加、でも「賃金とGDPが伸びない」という矛盾

 企業の付加価値は、この数年間に大きく変動した。また、今後も変動すると予測される。

 下図で示すように、2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルスの影響で経済活動が制約されたため、売上高が落ち込み、付加価値が減少した。

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付加価値が回復(上昇)したのにもかかわらず、賃金が変わっていないという矛盾が起きている

 その後、コロナ禍での制約が緩和されたことによって売上高が増加し、付加価値が回復した。法人企業統計調査によると、全産業、全規模で、2021年の付加価値は、2020年より7.8%増加した。

 これによって、企業利益が増加した。特に、上場企業の利益増は顕著だった。ところが、GDPの回復は遅れているし、賃金も伸びない。これらは、矛盾した動きに見える。

 さらに、21年秋からは、原材料価格の高騰などの影響で輸入価格も高騰し、売上原価が増加している。これが付加価値を減らす危険がある。

 ここからは、このような問題を見ることにする。

【次ページ】トヨタやソニーが過去最高の営業益、円安ではない最大の理由とは

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