株価を見すぎることで投資成績が落ちてしまう理由 - トウシル

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株価を見すぎていませんか？

　筆者のもとには個人投資家の方から数多くの悩みや相談がありますが、最近よく聞くのが「株価の動きが気になってついつい昼間も何度も見てしまう」というものです。

　特に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降は、大企業を中心にテレワークが普及しており、昼間の取引時間中であってもパソコンやスマホなどで株価を気軽に見ることができる環境にある方が増えていると思います。

　ところが、株価の動きが気になって見てしまう個人投資家の方の特徴は、それにより投資成績が落ちてしまう、損をしてしまうというものなのです。それはいったいなぜなのでしょうか。

株価を見すぎることによる弊害

　筆者は公認会計士・税理士として独立開業している経営者ですので、会社員の方に比べれば取引時間中であっても株価を見ることができる環境にあります。

　そのため、特に移動中などはついついスマホで株価をチェックしてしまうことがあります。でも、できるだけ頻繁には見ないようにしています。

　なぜなら、株価を頻繁に見てしまうと、「不必要な売買をしてしまう」からです。

　筆者であれば、保有株が25日移動平均線を割り込んだら売却、という基本ルールを設けています。しかし、株価を頻繁に見ると、次のようなことになってしまいます。

　朝10時ごろに保有しているA社株の株価をチェックしたところ、朝から結構下がっていて、まだ25日移動平均線を割り込んではいないが早晩割りそうだ、と感じました。確かにルールに従えばまだ売却する必要はないが、割ってから売却するより今売却した方が高く売れるので、今売っておこうと思い、実際に売りました。

　昼休みに再度A社株をチェックすると、売却した後株価が上昇に転じていました。今度はさらに株価が上昇しそうに感じたので、慌ててA社株を買いなおしました。

　そして14時ごろA社株をチェックしたところ、買った時より株価が下がっていて、25日移動平均線を結局は割り込みそうに見えます。今晩の米国株も下がりそうだし、やっぱり売っておこうと、損切りをしました。

　ところがその後再び株価は持ち直し、25日移動平均線より明確に上に株価がある状態で終値をつけました。その夜の米国株も予想に反して大きく上昇、翌朝のA社株は大きく上昇して始まり、A社株を買いなおすことはできませんでした。

単なるノイズに反応してしまう

　上の例をお読みになって、感じたことはありますでしょうか。実は上の例では、A社株はこの日25日移動平均線を一度も割り込んでいないのです。25日移動平均線より上で株価が上下に変動していただけです。

　ですから、この日株価を取引時間中に見なければ、保有していたA社株はそのまま保有し続けることができ、翌日の大きな上昇にもしっかり乗ることができたのです。

　でも、株価を何度も見てしまった結果、A社株を売って買ってまた売って、翌日の大きな上昇に乗れなかった…という悲劇が起きてしまうのです。

　筆者は、デイトレードやスイングトレードといった短期売買でない限りは、売買の回数が多くなればなるほど利益を得ることが難しくなると思っています。

　中長期の株式投資であれば、日々の細かい株価の変動は無視し、大きな波である株価のトレンドにしたがってある程度ゆったりとした取引をする必要があります。

　でも、株価を見すぎてしまうと、あとから見たら単なるノイズ程度に過ぎなかった株価の小さな動きについつい反応してしまい、売買する必要のないタイミングで余計な売買をしてしまい、利益を減らし、損失を積み重ねてしまうのです。

最終的には「ルール通りの売買ができるかどうか」が重要

　では、株価を一切見ない方が良いのかといえば、そんなことはありません。

　例えば25日移動平均線とか75日移動平均線といった、「〇日」の移動平均線を用いて売買のタイミングを計るのであれば、日足チャートを毎日チェックして、保有株が移動平均線を割り込んでいないかとか、投資候補銘柄が新たに移動平均線を超えてきていないかについて確認しなければ、売り時や買い時を逃してしまい、ルールにのっとった売買ができません。

　ですから終値ベースの株価はチェックするとして、あとは昼休みに見るくらいでよいと思います。無論、ルールを順守できるのであれば何度見ても構いませんが、もし今まで株価が気になって何度も見た結果、余計な売買をしてしまっている、という方は、株価を見る頻度を思い切って減らしてみてください。きっと投資成績が向上するはずです。

　そして、株価の急な変動があるかもしれないので株価を何度もチェックしないと心配…というのであれば、逆指値注文を使えばよいでしょう。筆者も平日にゴルフに行くなど、昼間株価が全く見れないときがあります。そんなときは逆指値注文を活用し、思わぬ株価の変動に備えるようにしています。

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