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Tuesday, May 24, 2022

【愚者の旅―The Art of Tarot】第11回〈番外編②下〉 タロットのヒミツの裏にある「数」の意味。2ケタの大アルカナはどう解釈するの? - 読売新聞社

kukuset.blogspot.com

「数の秘密」がテーマの「愚者の旅・番外編」第2弾。前回は、タロットと深く結びついた「数秘術」の基本を説明した。ただ、それは深くて広い数の世界のほんの入り口に過ぎない。前回、「数秘術」では、1~9の数字を「ルートナンバー」といい、「それぞれ違った意味がある」と書いた。じゃあ、2ケタ以上の数字はどう解釈するの? 解決策は単純だ。2ケタ以上の数から「ルートナンバー」を導き出せばいいのである。

「マルセイユ版」のコインの2

計算方法はこうだ。それぞれのケタの数を足していって、最終的にそれが「ルートナンバー」になるまで続けるのである。例えば、「1995」という数字があるとする。それぞれのケタの数、「1」「9」「9」「5」を、まず足す。1+9+9+5=24で「ルートナンバー」にはならないので、さらに「2」と「4」を足し、2+4=6、つまり「6」を導き出す。こうすれば、どんなケタの数でも「ルートナンバー」が導き出される。

2ケタの数の大アルカナはまず、その「ルートナンバー」を使って解釈できる。例えば、「11」であれば、「ルートナンバー」は2。「奇数だが、2の要素を持つ数」ということになる。前回提示した「数の秘密」の一覧表をもう一度ここに示しておこう。「2」の意味の中に「バランス」がある。それを「奇数」で活性化させることで、「安定からの再出発」というイメージが浮かんでくる。「トート版」のⅪ、「力」のカードを見てみよう。ここには「人間」と「獣」というある種「対立するもの」の融合が描かれている。「2」の中にある「対立や調和などの相対性」が奇数によって活性化され、それらが融合して「力」となる、というふうに解釈ができる。

「トート版」の力のカード

さらに言えば、「2ケタの数」は「1ケタの数=ルートナンバー」を足したり、かけたりすることでも表現できる。そこに「生命の樹」の要素を加えると、さらに複合的なイメージになる。「11」のカードで例えるならば、「1110+1」と考えることもできるわけだ。「ひとつのサイクルの終わり」を意味する「10」に「物事の始まり」である「1」を加えれば、「新たな出発」の連想は容易だろう。「愚者の旅」は「2周目」に入り、そのスタート地点が「力のカード」ともいえそうなのである。ちょっと面白いのが「ライダー版」の力のカードで、「獅子」を手なずけている女性の頭の上に、「1」で出てきたあの「∞」のマークがある。「ライダー版」では力のカードは「8」で「11」ではないのだが……。

「ライダー版」の力のカード

タロット解釈でよく使われるのが、「×3」のかけ算だ。「3」は「創造性」「何かを生み出す」というイメージがあるので、「3倍する」という行為には、「もとの数の要素を増幅する」こととつながる。例えば「7」には上記の表にある「飛躍」に加え、キリスト教では「聖なる数字」というイメージがある。「神はこの世を6日間かけて作り、その後に休息された」からだ。「7×3」で導かれる「21」のカードは、「愚者の旅」の終着地でもある「世界」。「限りない創造性」のイメージであり、すべてを統合した「α(アルファ)でありΩ(オメガ)である」の寓意も出てくる。「興味深いのは、『人間』の寓意である『5』のカードの『×3』、『15』のカードが『悪魔』であることですね」とこの連載のナビゲーター、イズモアリタさん。これが何を意味するのかは、「悪魔」の回でお話することにしよう。

悪魔のカードのいろいろ

さらに「数秘術」では「ルートナンバー」のほかに、特別な数として「マスターナンバー」があり、「11」と「22」がこれにあたる。「11」は「啓蒙のマスター」「霊感によるメッセンジャー」で、違う言い方をすると「他人に向上することを求め」て「世界の問題を解決しようとする」者、という意味がある。「22」は「建築のマスター」で、「大きなプロジェクトを計画、実行するための想像力」。考えてみると、「大アルカナ」の枚数も22枚なのだ。数字とアルファベットやギリシャ文字、ヘブライ文字を結びつける「ゲマトリア」というシステムもある。ひとつの例が、黙示録に出てくる獣の数字「666」。この数字をヘブライ文字に置き換えると「皇帝ネロ」になるそうで、暗にこの暴君への批判を込めているという説もある。

「マルセイユ版」の剣の1

「ルートナンバー」を求めたり、それを足したりかけてみたり。様々な数字の寓意が込められているタロットの世界。「数秘術」はとても複雑だが、その膨大な思考の中から「世界の真理を知りたい」と希求した、いにしえの賢者たちの姿が見えてくる。「愚者の旅」のテーマは、「多彩な絵柄のタロットを楽しむこと」にあるけども、ちょっとしたスパイスとして、「数」のことも気にかけてみたらいかが?

(美術展ナビ取材班)


【愚者の旅―The Art of Tarot】タロットって何?

14世紀から15世紀にかけてヨーロッパで原型が作られたタロットは、18世紀から19世紀にかけて占いのツールとして使われるようになり、19世紀から20世紀にかけて神秘主義と結びついた。タロットカードに描かれる絵は寓意と暗喩に満ち、奥深く幅広い解釈が出来るようになったのである。数多くの画家たちが腕を競ったカードの数々は、まさにテーブルの上の小さなアート。タロット研究家で図案作家のイズモアリタさんをナビゲーターに、東京タロット美術館(東京・浅草橋)の協力で進めるこの企画は、タロットのキーパーソン「愚者」の「旅」にスポットを当てながら、カードに描かれている絵の秘密を解き明かしていく。

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