ツアー開幕戦は、プロたちにとって新しい契約のお披露目の場でもあります。所属先を筆頭にどんなスポンサーがついているのか。どんなクラブでこの年を戦うことになるのか。関係者はもちろん、ファンのみなさんも楽しみにしています。
コロナ禍で観客数も限られ、取材にも制限があるため現在は行われていませんが、開幕戦に合わせて現地の沖縄で、各メーカーがPRに力を入れる光景は、風物詩にもなっていたほどです。
ツアープロは、成績によって稼ぐ賞金のほかに、様々なスポンサーとの契約(固定のものからインセンティブまで形態はさまざま)が主な収入です。その賞金を稼ぐための“武器”であるクラブについては、特定のメーカーと契約する場合と、特に契約はせず気に入ったものを使う場合に分かれます。
前者の場合でも、14本すべてを契約メーカーのクラブを使わなければならない、と言う場合はあまりなく「ドライバーを含む○本」といったもの多くなっています。
クラブ契約をするメリットは、お金以上にメーカーのサポートが受けられること。新しいクラブを供給されるだけでなく、細かいフィッティングや調整などをしてくれます。
デメリットとしては、ほかのメーカーのクラブを使ってみたくても、契約違反になれば使えません。また、メーカーの“看板”である契約プロには、できる限り新製品を使って欲しいという意向が、メーカー側には強いのが一般的です。旧モデルのクラブの方があっていると思っても、断りにくいのが現実です。
では、クラブ契約をしない“フリー”のプロの場合はどうでしょう。契約選手ほどではありませんが、自分たちのクラブを使っている選手に対しては、メーカーはサポートをしてくれます。
それを使っていい成績を出し、露出が増えれば宣伝になるからです。契約フリーの選手でも、ツアーを引っ張るような成績を出し続ければ、契約選手と同じくらいなサポートが受けられる場合もあるのです。
ただ、実績次第ではありますが、通常、新製品が使えるようになるのは契約選手より後になります。それ以外であれば、クラブの“縛り”がないので、使いたいクラブを使うことができます。
グリーンの状態によって、頻繁に変えることも多いパターは別にして、ツアーに出場しているレベルのプロが、クラブを自分でお金を出して購入することはあまりありません。
なぜなら、試合でプロが使うことは、露出の可能性があるのでメーカーとしては歓迎だからです。前述のように“順番”があったり、サポート体制の違いはありますが、メーカーは試合に出ている選手にはクラブを支給することがほとんどです。
「原英莉花はフリーに」開幕戦で判明したクラブ契約変更選手は?
こんな事情を踏まえて、2022年の開幕戦で目立ったクラブ契約の変わった選手を見てみましょう。まず、昨シーズン(2020-21年)3勝の原英莉花です。
昨年まではミズノとクラブ契約を結んでいましたが、今年はどことも契約をせず、フリーでシーズンに臨んでいます。開幕戦では、ドライバーを含めて14本中8本がキャロウェイのクラブ。その一方でアイアン6本は昨年同様ミズノのものを使用していました。
初優勝が待たれる高橋彩華も、契約がフリーとなった一人です。昨年までのブリヂストンとの契約を離れ、ドライバーはテーラーメイドのものにチェンジしていました。
優勝争いを何度もしながら、未勝利でここまで来ています。使いたいクラブで勝利を引き寄せよう、という気持ちが伝わってきます。
他に目立ったところでは、昨年はフリーだった岡山絵里と新垣比菜が、テーラーメイドと契約しています。
コースや天候によって、バッグに入れるクラブを変えることはプロにとっては当たり前ですが、契約に関してはそう簡単には行きません。シーズンをどのように戦っていくつもりでいるのか、クラブ契約からはそんなことが透けて見えることも多くあります。
キャップやバイザー、ゴルフバッグのロゴや傘など、目立つ部分をチェックすると、クラブやボールの契約がわかりやすいことが多くなっています(ウエアメーカーや所属先の場合もありますが)。
“推し”の選手がいる場合には、それを見て契約先を検索してみるのも一興かもしれません。選手への興味だけでなく、クラブに対する掘り下げへと広がれば、ゴルフがもっと楽しくなるはずです。
からの記事と詳細 ( フリーになるメリットはどこに!? プロゴルファーにとってのクラブ契約とは? - e!Golf(イーゴルフ) )
https://ift.tt/EBxTRUG
No comments:
Post a Comment