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Monday, January 17, 2022

「メダル他の大会と違う」「五輪は逆算」…フィギュア・樋口新葉と卓球・平野美宇、21歳仲良し対談 - 読売新聞

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 来月行われる北京五輪代表に内定したフィギュアスケート女子の樋口新葉(21)(明大)と、昨夏の東京五輪卓球女子団体で銀メダルを獲得した平野美宇(21)(日本生命)が、東京・大手町の読売新聞東京本社で対談した。ともに前回大会で代表落ちした経験をバネに、互いに刺激を受けながら五輪切符をつかんだ2人。同い年で親交が深い「夏」と「冬」の若き日本代表が、夢舞台への思いを語り合った。(司会 小沢理貴、今井恵太)

 ――初めて会った時の第一印象は?

 樋口「JISS(国立スポーツ科学センター、東京都北区)だよね。お風呂で」

 平野「2016年、17年くらい?」

 樋口「私は美宇ちゃんをテレビで見ていたから知っていたけど、(自分を)知ってくれているとは、まさか思っていなかったし、会えてすごくうれしかったな」

 平野「え~、うれしい。私もテレビで見たことあったけど、人づてに話を聞いていて。『すごく意識が高い選手だから、お話ししてみたら自分に吸収できるものがあるんじゃない?』って。その後に会ったから、そういうイメージがすごくある。『意識の高い選手だ』って(笑)」

 樋口「そんな感じなんだ(笑)」

 ――フィギュアの北京五輪代表最終選考会だった昨年末の全日本選手権を振り返って、どうでしたか?

 平野「最終グループの6人の練習から(テレビで)見た。緊張しているのかなって思ったけど、顔は結構、自信ありそうな感じで。(演技)最後のステップもすごく自信があるように踊っていたから、点数はわからないけど、表情とか見ていると、自分が練習してきたことができたのかなと思って、うれしかった」

 樋口「全日本までは、オリンピックに出られるか出られないかをずっと考えていたから、信じられないくらい緊張して。『どうしよう』みたいな感じで。動いている時も足に力が入らないような感じだったけど、そう思わなかった?」

 平野「五輪選考レースってきついから、緊張しているかなって思ったけど、すごく自信があるように見えたから、それは強さだなって思う。こんなに人生で緊張するのかなってくらい緊張するよね」

 樋口「本当に逃げ出したくなるくらいの感じだった」

 平野「全然、見えなかった。格好良かったよ」

 樋口「ありがとうございます(笑)。同じ舞台まで行けたことが本当に良かったな」

 ――東京五輪で活躍した平野選手を、樋口選手はどう見ていましたか?

 樋口「そこまで頑張ってきたからつかんだものだと思う。その経験が自分にはなかったから、自分の選考(12月末の全日本選手権)まで1年ないところで、本当にモチベーションが上がったし、『同じ所まで行きたいな』って、仲良くしているからこそ思えたな」 平野「え~、めちゃめちゃうれしい」

 ――樋口選手から平野選手に聞きたいことがあるとか。

 樋口「オリンピックへ準備する期間に、どんなことを考えていたか、知りたい」

 平野「私も結構、追い込まれていたけど、選考レースの時よりはだいぶ客観視できて、余裕がありながら準備をすることができた。選考レースは『とりあえず頑張ろう』だったのを、メダルを取るためにどうしたら良いかって逆算して考えて、自信を持って試合をすることができた。日々の練習でどれだけ目標を持てるかが大事で、それができたから良かったかなって思う」

 樋口「私も結構、逆算しながらやっていたところがあったから、間違っていなかったのかな」

 平野「大事だよね、逆算」

 平野「メダルを持ってきていて……」

 樋口「え~、やば(笑)。(温泉に行った昨年)9月に見られるかなって思ったけど、見られなかったから」

 平野「持っていかなかった(笑)」

 樋口「(銀メダルを受け取る)重い。すごい……。すごーいしか言えない。他の大会のと全然違う」

 平野「違うよね。色んな方に見せた時の反応も全然違う」

 樋口「格好いい……」

 平野「持ってきて良かった(笑)」

 ――リオデジャネイロ五輪では、平野選手は惜しくも代表落ちを経験しました。

 平野「私は4番手で補欠として行ったけど、3番目の選手とだいぶ差があったので、落ちてもあまり悔しくなくて。でも、オリンピックに(補欠で)行った時、『あ、このままじゃ次も出られないな』と思って、意識とか卓球のスタイルを変えた。補欠として現地に行って、試合を見られたことで自分が変われたし、今があるかなって」

 樋口「でも、信じられなくない? なんで自分がその場にいるか分からないっていうか。そういう気持ちにはならなかった?」

 平野「最初はしんどいな、大変だなとか、補欠だとほぼ練習相手みたいな感じなので、ちょっときついなって思った時もあったけど、試合を見られたことで自分も成長できたし、普段は全然自分に集中しすぎて周りの人が見えないけど、周りが見えた。サポートしてくれているコーチってこんな気持ちなんだってすごく分かって。今は、すごく行かせてもらって良かったなって思う」

 ――樋口選手も 平昌(ピョンチャン) 五輪代表にあと一歩、届かなかった。

 樋口「前回は代表落ちして、そのシーズンは最初からすごく調子が良くて結構自信もあって、全日本(の演技)がだめで落ちちゃったという感じだったけど、次とか考えられなかったし、この先どうするんだろうとか思った。世界選手権には選んでもらったけど、メンタルがもう、何のために頑張ったら良いのか分からない気持ちにずっとなっていたかな」

 平野「その時はもう友達だったから、私も一緒に悔しかったけど、そこからトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を練習して、今やっていて。モチベーションが落ちた時もあったと思うけど、新しいのに挑戦して(五輪に)出られたのがすごい。自分を変えていて、すごいな。だって、結構難しくない?」

 樋口「難しい、普通に難しい(笑)」

 平野「だって今までも強いのに、また新しく挑戦するって、『もし失敗したら』とか思ったら怖くてできないと思うけど、それでも新しいものに挑戦するのがすごいなって思うし、だからこそ(北京五輪代表に)選ばれたのかなって思う」

 樋口「(平昌五輪代表に)落ちてからこの4年で4回転や(トリプル)アクセルを跳ぶ選手が多くなってきて、自分もそれを跳べないと、何かしら持ってないと勝てないみたいなところがあって、挑戦し始めたところはあるかな」

 平野「4回転跳んでいる選手って結構若いよね」

 樋口「ロシアの選手とかはちっちゃい頃からずっと跳んでいた選手が多い。でも、20歳くらいから(トリプル)アクセルを跳び始めた選手もいる(ロシアのトゥクタミシェワ)。私はそれを見て、自分にも可能性があるんじゃないかなと思って」

 平野「並みの努力じゃできないし、アスリートとして尊敬する。私もすごくパワーをもらっているよ」

 ――競泳の池江璃花子選手(ルネサンス)を含めた仲良し3人組の近況は?

 樋口「(昨年)9月に3人で会った時に結構メンタル死んでいて(笑)。オリンピックに行った2人に『どうしたら良い?』ってめっちゃ、聞いた」

 平野「ほとんど新葉ちゃんの相談所みたいな(笑)」

 樋口「あの時は不安しかなくて、実はアクセルも調子が悪かったし、下から来る選手のことも考え出したら(不安が)止まらなくなっちゃって。これは聞くしかないと思って、色んなことを聞いたよね」

 平野「璃花子ちゃんがしっかりしているから、かなり的確なことを言っていて、私も一緒に勉強していた感じだけど(笑)。ただ、ちょうどオリンピックが終わった後だったので、そんなにすごいことは言えないけど、少しでもこの経験が伝わったら良いかなくらいの感じで」

 樋口「アスリートとして相談して、頑張ろうって思えた時間だったな。それからも(LINEの)グループで連絡を取って、励みになっていたな」

 ――最後に、北京五輪への意気込みを教えてください。

 樋口「オリンピックは初めてだけど、最後かもしれないと思って出る大会だから、やってきたことを全部出して、悔いの残らないようにするのが一番の目標です」

 平野「私は(東京)オリンピックに出て、『今までこれだけ頑張ってきたからここに立てたんだ』と思ったらすごく楽しかったので、新葉ちゃんも楽しんで自分の力を発揮できるように心から願っているし、テレビで応援しています」

 樋口「頑張ります!」

  ひぐち・わかば  2001年1月2日生まれ。東京都出身。明大3年。17年のグランプリ(GP)シリーズで2戦連続表彰台に上がったが、年末の全日本選手権で4位に終わり、18年平昌五輪出場を逃した。同年3月の世界選手権で2位。トリプルアクセルを習得した今季はGPシリーズのフランス杯で3位、全日本選手権で2位に入り、北京五輪代表に内定した。

  ひらの・みう  2000年4月14日生まれ。山梨県出身。16年リオデジャネイロ五輪は代表から外れ、補欠として現地に同行した。16年のワールドカップ(W杯)で、日本勢初優勝を大会史上最年少の16歳で達成。17年1月の全日本選手権シングルスでも史上最年少優勝(当時)を果たした。昨夏の東京五輪はシングルス代表は逃したが、団体で銀メダル獲得に貢献した。

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