長野市長沼のリンゴを材料に 善光寺門前に新たなブルワリー
大手ビールメーカーが量産しているものに対し、各地でオリジナルに作られるのがクラフトビールです。 善光寺門前に、長野県ならではのクラフトビールを出す店がオープンしました。 長野市の善光寺門前に先月オープンしたカフェ＆パブ、「マリカブルーイング」。 去年千葉から移住してきた伊東大記さん、春菜さん夫婦が店を営み、国内外のクラフトビールや、コーヒーなどを揃えます。 看板メニューは店オリジナル、リンゴのビールです。 （来店客）「最高ですね、このリンゴジュースがビールになったって感じがすごくする」。 （来店客）「リンゴの甘酸っぱさがあっておいしかった」。 使っているのは、おととしの台風19号災害で浸水被害にあった長野市長沼地区のリンゴです。 （夫・大記さん）「例えば床をはがしたり壁をはがしたりそういうところを手伝わせてもらったりとか」。 知人が被災地でボランティアをしていたことをきっかけに、去年5月、長野市での災害支援を始めた伊東さん夫婦。 活動の中で長沼のリンゴや農家と出会い、「加工用の果物の価値」を考えるようになりました。 （大記さん）「加工用リンゴが二束三文で売られていく姿を見て、納得がいかないというか、春から冬の始まりまでずっと畑にでずっぱりで一生懸命育てているなかで、頑張った対価としては（価格が）低すぎる」。 そこで考えたのが、大記さんの夢だったブルワリーのオープンとリンゴの掛け合わせです。 2018年に東京の不動産会社を退職した2人は、長野市に支援に入るまでの2年間、世界100か国を旅してきました。 それぞれの地域が作りだしたクラフトビールに触れる中で、「自分たちのビールを作りたい」という思いが強くなっていったといいます。 （大記さん）「ベトナムでジャスミンを使ったすごくホップの効いたビールが出てきて、すごくそれに衝撃を受けてそれを作りたいと思って。 ひょっとしたら自分の作るビールは、今飲んでいるビールよりおいしいものが作れるんじゃないかなとか」。 （春菜さん）「ビールの材料はホップと麦以外に副原料としていろいろな農産物を入れられるので、そういった強みが長野市だと地元の農産物を使ってできるなって」。 いまは県外のブルワリーに委託してビールを作ってもらっていますが、パブの下には醸造所を準備中。 ビールも建物も「クラフト」にこだわりながら自分たちの手で改修を進め、来年4月頃からの稼働を目指しています。 きのうは、長沼のリンゴをきっかけにした新たな出合いもありました。 店をたまたま訪れたのは、被災地の復旧を学ぶために市内を訪れたという九州の大学院生。 （大記さん）「これは台風の被災したとこの農家のリンゴなの」…（大学院生）「僕の理想形ですね、災害から地域に入っていってそこで根付いてちょっと新しいことというか」。 （大学院生）「災害って全然違うところにいたらやっぱりどんどん風化してっちゃう。 でもこのビールがそれをつなげてくれる可能性ってあるんじゃないかなって」。 今後は長沼のリンゴ以外にも、地域の特産品を使ったビール作りにも取り組むという2人。 クラフトビールを通して、長野の魅力を伝えることが、いまの目標です。 （大記さん）「それぞれの町、道に合ったビールを作って、それを全国に送り出すことで、長野をもっとPRして盛り上げていきたい」。 （春菜さん）「近所の方とか地元の方が多くきていただけるので、そういった方々に愛されるようなビールを作っていきたい」。
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