新盆で線香を配布していた事実
11月4日、自民党の幹事長に就任した茂木敏充氏(66、栃木5区)。当選10回で外相、経産相、政調会長、選挙対策委員長などを歴任し、海外との交渉にも簡単に折れないタフネゴシエーターとしても知られる。一方で、前任者の甘利氏とは別のタイプの「政治とカネ」の問題は何度も伝えられた過去を持つ。第1回は衆議院手帖、第2回は香典についてお伝えした。今回は「線香の配布」問題である。線香配布に関しては、かつて小野寺五典元防衛相が議員辞職・公民権停止に追い込まれたことがあるから、決して軽い話ではないのだが……。 【写真14枚】手帖&線香配布リスト。女性記者との“合コン”場面。岸田、甘利、麻生氏らと「すきやばし次郎」での会合など (※週刊新潮2018.02.01の記事に加筆・修正しています。肩書などは当時のママです) ***
〈「金があって、選挙で丸がついて、信用もある。これをつなげた名前の金丸信がここまで来たことに意味がある」〉 与党重鎮を40年に亘ってウォッチしてきた元日経政治部長・岡崎守恭氏。その著書『自民党秘史』には、金丸信元自民党副総裁のことばがこう引かれている。 その金丸氏が草創メンバーである経世会の流れを汲む平成研に所属する茂木氏が2016年に集めたカネは1億5655万円で、安倍首相を凌いで全閣僚中トップ。先の衆院選でもライバルをダブルスコアで圧倒して9回連続当選と、「金・丸」は確かに十分だ。しかし、「信なくば立たず」と胸を張って言えるか否か。これからそれを見て行くことにしたい。
小野寺氏の議員辞職
これまで茂木氏をめぐっては、衆議院手帖の無償提供・香典配布問題という公選法違反問題が報じられてきた。そして、ここにきて「新盆で線香を配布していた」事実が浮かび上がってきたのである。 新盆とは初盆とも言い、その人の死後、初めて迎えるお盆を指す。 「線香と聞くと、小野寺さんでしょう」 と政治部デスクが言うように、永田町で線香とは、同じ安倍内閣に並ぶ小野寺五典防衛相の過去のキズだ。 「もう18年前になりますか。自民党の1年生議員だった小野寺さんは選挙区内の有権者の自宅を訪れ、線香セットを1組ずつ配って回った。黒い箱の表には金字で『衆院議員 小野寺五典』で、地元の県警捜査2課は、共謀した7人の秘書と共に本人も公選法違反の疑いで書類送検したんです」(同) 公選法は一部を除き、現職の議員や候補者が選挙区内の有権者に寄附することを禁止している。例外とは、議員本人が、結婚披露宴で出す祝儀、葬式・通夜で出す香典。つまり、議員本人か秘書かに関係なく線香1本でもアウトで、事実、小野寺氏は程なく議員辞職し、3年の公民権停止を含む略式命令を受けたのだった。 そしてこれと同様のケースが、茂木氏の選挙区である栃木5区でも展開されてきたという。
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