秋田テレビ
新型コロナウイルスの影響で、中止または延期せざるを得なくなるイベントや祭りが多くなっている。こうした中、伝統をどのように継承していくかが課題となっている。今やれることを最大限にやることで、次世代に引き継いでいくきっかけになればという思いから、あるイベントが13日開かれた。 2020年は新型コロナウイルスの影響で中止となった「あきた民謡祭」。2年ぶりの今回は、秋田県が定めるイベントの開催条件に従い、約1000人を収容できる会場の客席を半数以下の450席にした。また、出演者ごとにマイクを消毒し、ステージと客席との距離を4メートル以上空けるなどの感染対策を施した。 さらに主催者からはこんなお願いも伝えられた。秋田県民謡協会の王藤正蔵理事長はあいさつで「声を出さないでください。声を出すのは歌い手の方。拍手で応援していただいて、遠慮しないで楽しんでください」と来場者に対して呼び掛けた。 出演は、民謡の全国大会の入賞者など強者ばかり。民謡以外にも高校生による手踊りなど合わせて27曲が披露された。横手市の田中心々音さんは、2年ぶりの振袖姿で「本荘追分」を熱唱した。田中さんは「とても緊張したけれど、精一杯歌うことができてよかった。これからはコンクールでの優勝など関係なく、楽しく歌っていきたい」と話した。 また、船乗りの気持ちをハキハキと歌い上げたのは男鹿市の高橋杏里さん。観客の前で歌うのは2年ぶりで、コロナ前の舞台の5倍緊張したという。高橋さんは「練習よりもうまく歌えた。民謡は自分の力にもなるので、それを見ていただいて喜んでもらえたらうれしい」と語った。 秋田県民謡協会の王藤理事長は「歌は『心のふるさと』。今回は取り戻すことができた。民謡文化は秋田とは切り離せないので、伝えるためにも自分たちが楽しむためにも生活の中で生かしていきたい」と話した。 協会では、幅広い世代が民謡を楽しめるよう、コロナ禍でも開催できる新しいコンクールやイベントの形を模索していきたいとしている。
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