ゲーム『プロジェクトセカイ』桐谷遥(MORE MORE JUMP!)役などで知られる声優・吉岡茉祐が、原案・企画・脚本として参加するオリジナル朗読劇『モノクロの空に虹を架けよう』が、5月10日(月)より六夜連続配信される。二人芝居で出演は、上西哲平、小林大紀、土田玲央、汐谷文康、熊谷健太郎、鈴木絵理、山村響、髙橋ミナミ、本泉莉奈、南早紀、吉岡茉祐。今回、原案・企画・脚本、そして出演もする吉岡に「今だからこそ届けたい物語」だと語る本作について聞いた。 【写真を見る】声優と朗読劇の相性はすごく良いという吉岡茉祐 ――今回の企画は、どのようにして立ち上がったのでしょうか? 「もともと1月に、READPIAさん(KADOKAWAがおくる朗読劇ブランド)の朗読劇『カノホモ』(彼女が好きなものはホモであって僕ではない)に出演する予定だったのですが、コロナの影響で公演中止になってしまって。でも、朗読劇が好きなので何かやりたいと思い、関係者の方に『実は脚本を書いているんです』とプロットを見てもらった結果、今回、形にすることができました」 ――かなりスピーディーな展開だったんですね。 「プロットを見せたのが1月ですからね。でも、『今だからこそできる作品だと思うんです!』とお話させていただいて。まさか自分が企画として参加するとは思っていなかったのですが、興味を持っていただけてありがたかったです」 ――吉岡さんは以前から脚本家としても活動されていましたが、脚本を書くようになったきっかけを教えてください。 「もともと趣味で小説や短い脚本を書くことが好きだったのですが、それが初めて形になったのが声優ユニット・Wake Up, Girls!のライブツアーの際に書いたキャラクターが演じる『影ナレーション』のシナリオでした。そこからコラボという形で外部の方ともお仕事をするようになり、次第にオリジナルで書かせてもらうようになりました。そうやって少しずつ活動の幅が広がっていき、気づけばここまで来たという感じです。でも、そもそも何で書いていたのかを考えると、 私はやっぱり役者なので、"表現"がしたいんですよね。それがたまたま文字という形だったということで、根幹はそこにあります。だから、お芝居も脚本を書くことも大きくは変わらないというか。脚本をやりたくてやっているというより、自分が芝居で表現するならということを文章化した、という感覚に近いのかなと思います」 ――芝居をしながら脚本も書くという方は少ないですよね。 「そうですね。数年前に浅沼晋太郎さんと対談させていただいたんですけど、実は浅沼さんみたいなお仕事の形が、私のお仕事の理想形なんです。マルチにいろいろな活動をするけど、全てがお芝居に通じているみたいなのがステキで、『こうなりたいんです』とお話をしたのをすごく覚えています(笑)」 ――先程、朗読劇が好きとおっしゃっていましたが、改めて朗読劇の魅力を教えてください。 「朗読劇って本を持ちながらになるので、動きがないシンプルなものと印象を持たれがちなんです。でも、実は何とでも合わせられる可能性があるところが魅力で、それこそミュージカルのような壮大な音楽にも合わせられるし、音があまりなくてもお芝居だけでも楽しめる。舞台とはまた違う顔を見せられる可能性が、朗読の良さだと思います」 ――実際に見てみるとそのすごさが分かりますよね。ものすごく細かい技術が凝縮されていて、それが朗読劇だとよく見える。 「単純に、何で動かないであんなに大きな声が出るんだろうって思いますよね(笑)。それと、やはり声優って瞬発力のお仕事なので、稽古が少ない朗読劇に向いていると思うんです。稽古を積み重ねる朗読劇も面白いんですけどね。そういう意味で、声優さんと朗読劇の相性はすごく良いんです」 ――吉岡さんは今回、脚本だけではなく出演もされるんですよね。 「すごく不思議な体験をしています(笑)。自分で書いた初めての長編朗読劇『あの星に願いを』でも出演したのですが、その時はメインではなかったので。しかも今、いろんな役者さんのお芝居を見ているので、色々な可能性が見えてしまうんですよね。そこはすごく難しいなと思います」 ――立場上、見なければいけないですしね。 「でも楽しいんですよ、これが!『そのルートがあったか!』というのを毎回見ているので(笑)」 ――今回上演される『モノクロの空に虹を架けよう』は、どのような話ですか? 「主人公の拓海と、彩という女の子の出会いから始まる群像劇です。夢を諦めてしまった拓海が、希望に満ちあふれているように見える彩に出会うことで、少しずつ明るくなっていくのですが、逆に彩は追い込まれていってしまう。お互いがお互いに作用しているというところを、芝居でも感じてもらえると思います。それと裏のテーマとして、コロナ禍において、何かしら諦めてしまったり、理不尽な理由でやめざるを得なくなったことって少なからずあると思うのですが、それに対して少しでも希望が持てるような物語にしたいと思いました」 ――二人芝居の面白さは、どこにあると思いますか? 「やっぱり二人しかいないからこそ、関係性の変化が見えやすいので、そこは楽しんでもらえるポイントだと思います。それこそいろんなパターンが展開されるので、それを見てもらいたいんです。表現の仕方も役者それぞれなので」 ――役者の感じ方次第というところもあるんですね。そのどれもが正解だと思って書いているのでしょうか? 「私の脚本の特徴として、100%書き切らないということをモットーにしているんです。8~9割を書いて、残り1~2割は役者さんにお願いする。そうやって空白とか余白を作ることで想像力を働かせてもらえるし、お客さんにとっても考察ができる"間"になるんです。だからこそ、役者さん同士の『ここはこういうつもりで読んだけど、どうだった?』が生まれるきっかけになってほしいし、全てが私の中にあるルートでなくてもいいんです。ゴールまで行き着いたら、それは1つのルートであって正解だと思うので、それを楽しんでもらいたいなと思います」 ――複数の公演見ることで、役者によって印象が違うと思うこともありそうですね。 「その可能性は非常にあります!全く違う作品に見えたりするので、稽古を見ていてもすごく面白いですよ」 ――稽古の時に、役者同士が実際にそのようなディスカッションをしているシーンはあるのですか? 「そういう時もあるし、口に出して言わなくても、役者さんって掛け合いをしながら『こうなのかな?』って探っていると思うんです。それがバチッとハマった瞬間がとても気持ちが良くて、『この瞬間のために芝居をやっているんだよな!』感が生まれるんです。それは役者をやっているからこそ分かることかもしれないのですが、『そっちのルートでいくのね。じゃあ、私はこっちで行こう』っていう、"与える"と"もらう"ができるのが、掛け合いの楽しさだと思います。だから、よく聞くのは『引っ張ってくれてありがとう』や『そっちに行ったの面白かった』という演じた後の感想で。それが出てくるのが、生みの親としては嬉し過ぎるんですよね(笑)」 ――それを今、稽古で感じているのですね。 「はい。各チームで生まれてくるものが毎回違うので、私も役者として勉強になっています。作品を見てくださる皆さまにも、間違いなく楽しんでもらえる手応えを感じています。可能であればですが、2組以上見た上で見比べてもらえると、物語の良さがより分かるのかなと思っています。それと、今回のお芝居は音楽も書き下ろしてくださっていて、それがすごくいいですし、逆にSEなどは極力削って役者さんのお芝居を100%楽しんでもらえる作りになっています」 ――最後に、公演を楽しみにいているファンの方へメッセージをお願いします。 「脚本家としてもチャレンジですし、企画立案から関わらせていただいて、私自身すごく思い入れのある作品になりました。少しでも多くの方に『明日生きよう!』『明るく頑張ろう!』と思える希望を与えられたらいいなと、稽古も頑張っています。疲れた心に癒やしを求めている方に見てもらいたいですし、きっとかすみがかった世界に光が射す感覚があると思います」 文・撮影=塚越淳一
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