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Tuesday, June 30, 2020

青年よ、古道を歩け!!~新人記者の熊野詣で~(2)/草をかき分けて前進 - 紀伊民報

 昼食を終えると、リュックが少し軽くなった。今日の目的地である八上王子(上富田町岡)まで、距離はあと3キロほどだという。気持ちも少し軽くなった。

 三栖王子を目指して山道に入る。急な登り坂。ようやく古道らしくなった。道の周りには梅畑が続き、農道との区別が分かりにくいが、途中に「熊野古道」を示す看板があるので安心して進める。

 三栖王子には飛鳥時代の歌人、額田王の歌碑がある。

 「三栖山の檀弦はけ わが夫子が射部立たすもな 吾が偲ばむ」。この歌碑を読んでいると、千年の時を超えてこの道を歩いてきた人々の姿が浮かんでくる。

 次の目的地は八上王子。苦労したのはここからだ。

 車の行き交う舗装道路を横切ると、熊野古道の案内板がある。しかし、肝心の道が分からない。地図通りなら草が生い茂っている場所が古道になるが、とても道とは思えない。ともかく地図を信じて草をかき分けながら前進する。草が顔や腕に当たってちくちくする。

 草むらを抜けると、次の案内看板が見えた。ほっとして足元を見ると、膝の下に何かが付いている。一瞬虫かと思ったので叫びそうになったが、この地方で「ひっつきむし」と言われる何かの植物の種だった。

 梅畑やミカン畑への分岐点が増える。道標を頼りに進んできたが、矢印がどの方向を指しているのか正確に分からない所もあった。迷っていると、梅の木などにくくりつけているピンク色のテープに気が付いた。それを頼りに歩くと道順は合っていた。以前歩いた人がつけた目印なのだろうか。ありがたかった。

 途中、平坦で見晴らしも良い場所に「南方熊楠山中裸像場所」という看板があった。そこにある写真には上半身が裸で、腰巻きだけを着けた姿でたばこをくわえた熊楠が写っている。なかなか豪快な姿である。

 そこから少し歩くと、古い石碑があった。山の境界を示すもので、ここで田辺市と分かれ、上富田町に入ったことが分かった。そのすぐ先には残り800メートルの看板。道は下り坂になったが、顔のあたりに虫が飛び交うのがうっとうしい。

 県道に下り、そこから少し歩くと、ゴールの八上神社。正面から階段を上がると、参拝者の願いを書いた小さなヒョウタンがいくつも並んでつり下げられている。それを見て思わず笑みがこぼれた。

 虫が苦手な私には難関だったし、草が生い茂って道が見えない所もあった。昼食後のルートはわずかに3キロ。闘雞神社からでも半日のコースだったが、歩き終わると達成感でいっぱいになった。

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