「長野県民はかっぱ寿司のサラダ軍艦が好きなんですよね?」。長野県民ならば、県外の人に一度は聞かれたことがある質問だろう。そして、返事は決まっている。「はい。好きです」。個人的に好まないと言う人もいるだろうが、「長野県民は」と問われると「好きです」と答えざるを得ない。長野県内のかっぱ寿司に行けば、注文レーンをサラダ軍艦が4皿、5皿と連なって流れる光景や、お持ち帰り用のパックいっぱいにサラダ軍艦を敷き詰める人の姿がよく見られる。かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト(横浜市)によると、都道府県別の1店舗当たりのサラダ軍艦の販売数(2022年度)は、長野県が堂々の1位だ。
■そもそもサラダ軍艦って何?
サラダ軍艦は1984年に発売された。まかない料理として親しまれてきた味を商品化。ねたは、ゆでたイカゲソ、魚のすり身、マヨネーズでできている。「ん? サラダの要素ないじゃん」と思ったあなたは鋭い。現在はねたには入っていないが、かつては刻んだキュウリが入っていたため「それが名前の由来になったようです」とカッパ・クリエイト。
かっぱ寿司は長野市で創業し、1号店は1979年に開店。長野県を中心に店舗網が広がっていった。このため、長野県民は子どもの頃からサラダ軍艦に親しむ機会が県外の人より多かったと思われる。長野市出身の記者(44)は、子どもの頃に玉子など食べやすい寿司の1つとしてサラダ軍艦を食べ始め、そのまま大人になっても食べている。
■寿司おけいっぱいの愛
「サラダ軍艦はお客様が必ず注文するメニューの1つ」。長野県中野市にある「信州中野店」の坪井大河店長(28)はそう言い切る。年末年始や夏休み中などは「35皿分(70貫)が入る丸おけいっぱいにサラダ軍艦を詰めて持ち帰る人も珍しくない」といい、中には「丸おけ3つ全てサラダ軍艦という人もいた」。坪井店長は「家族の帰省や夏祭りなどに合わせ、みんなでサラダ軍艦を食べようというおもてなしの品になっているのでは」と推測する。同店に来店し、最初の注文がサラダ軍艦2皿だった主婦(65)は「一番好きなネタ」と笑顔だった。
「長野県民はサラダ軍艦が好き」という事実は、県外の人にとっては珍しく、話の“ネタ”になり得るようだ。坪井店長は、県外の店長らと会う機会があると「年末年始のサラダ(のねた)の発注量って、どのぐらいなんですか?」などと聞かれるという。かっぱ寿司の組織の中でも「サラダ(軍艦)いじりはあります」と坪井店長。また、“いじり”といえば、記者の妻は横浜市出身だが、長野県内の店舗の注文レーンでサラダ軍艦が連なって流れると非常に喜ぶ。それはそれは喜ぶ。「長野でしか見られない光景で楽しい」そうだ。
■サラダ軍艦の味をアレンジしてみよう
子どもの頃からサラダ軍艦を食べている記者だが、大人になってからは味を変化させて楽しむことを覚えた。ねたの上にガリをのせて食べるとさっぱりとした味に。わさびをのせると、ピリっとした刺激も楽しめる。信州中野店の坪井店長は「穴子に使う甘だれをかける人が多い」と教えてくれた。このアレンジは知らなかったので、同店での取材時に実際に試してみた。たれの甘さとマヨネーズの酸っぱさが絶妙でおいしかった。
その旨を坪井店長に伝えると、「ネギトロとのハーフアンドハーフもおいしいですよ」と薦められた。聞けば、長野県高山村出身の坪井店長は幼少期からサラダ軍艦が好きで「好きなねたとねたを一緒に食べたい」と考え、「ハーフアンドハーフ」を思いついたという。これは試さねば。ネギトロ軍艦のねたの半分と、サラダ軍艦のねたの半分を互いに置き替える。ねたの半分はサラダ、もう半分はネギトロの完成だ。食べてみると、同時に2つの味が楽しめて確かにおいしい。
その旨を坪井店長に伝えると、隣にいた高野祐一エリアマネージャー(53)=長野市出身=が「納豆とのハーフアンドハーフもおいしいですよ」と薦めてきた。これも試さねば。今度は納豆軍艦の納豆とサラダ軍艦のねたを半分ずつ置き替える。マヨネーズによって納豆の味がさっぱりし、さわやかに楽しめた。記者と坪井店長、高野エリアマネージャーの長野県民3人それぞれに、独自のサラダ軍艦のアレンジがあった。きっと、サラダ軍艦を愛する一人一人に、こだわりのアレンジがあるに違いない。未知の味に出合ってみたいので、お薦めのアレンジをコメント欄でぜひ教えてほしい。
■サラダ軍艦が好きな都道府県トップ10
最後に、冒頭で紹介したサラダ軍艦の都道府県別の年間販売数(1店舗当たり)トップ10を紹介する。
1位:長野県
2位:山梨県
3位:新潟県
4位:群馬県
5位:埼玉県
6位:茨城県
7位:福島県
8位:静岡県
9位:千葉県
10位:奈良県
2位以下には、長野県の近隣県が多く並ぶ。注目すべきは、西日本から唯一ランクインした奈良県。ぜひ、奈良県民とサラダ軍艦について語り合いたい。また、新潟、茨城、福島、静岡など海産物に恵まれた県もランクイン。「長野県民がサラダ軍艦を好きなのは、海なし県だから」という揶揄に対し、一石を投じる結果になったと思いたい。海なし県がトップ10に多いのは事実ですが…。(記事・半田茂久、動画制作・井原明)
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