DXという言葉を聞かない日はないが、実際、DXをして儲けた企業があるのだろうか?という疑問を持つ人は多い。その疑問に応えるべく、特集「デジタル時代のあたらしい儲け方」では、ローランド・ベルガー パートナーの小野塚征志氏とIoTNEWS代表の小泉耕二が対談した。
特集「デジタル時代のあたらしい儲け方」は全八回で、第一回目は「DXが生む新しいチャンス」がテーマだ。
小野塚氏は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日系シンクタンク、システムインテグレーターを経て、現在、ローランド・ベルガーでパートナーを務める。2022年5月19日には「DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略」を上梓した。
ローランド・ベルガーは、戦略系のコンサルティング会社。企業の中期経営計画の策定、企業の買収、リストラなど、企業が経営戦略でな大きな意思決定を行う際のサポートを行っている。
IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 小野塚さんの著書「DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略」は、80個の事例が載っており、事例集のような読み応えがあります。
日本人は、事例好きということもあって、「欧米から見て遅れている」という論調を話す人がよくいます。では、「成功している事例は何ですか」と聞くと、割と誰でも知っている大きな事例の話をする人が非常に多いと感じます。
だから、日本の会社や身近に知っている会社で参考になる例が、あまりにもないのですが、この本には身近な会社や日本の会社の事例も載っていますよね?
ローランド・ベルガー 小野塚征志氏(以下、小野塚): そこが、この本のポイントです。有名な会社や、身近な会社の事例、あまりなじみのない会社など、様々な事例を載せています。
海外の場合、DX(デジタルトランスフォーメーション)の有名な事例はアメリカが多いのですが、本の中ではインドや中国などのあまり聞いたことのない事例も含めて載せているので、「こんな事例があるんだ」という発見を、ぜひしてもらいたいですね。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やIT、ロボットの導入などのデジタル化は、バリエーションがある程度決まっています。しかし、トランスフォーメーションという切り口であれば、ある意味、無限のパターンがあります。「ビジネスモデルを新しいものに進化させる」という意味なので、無限のパターンがあり、理屈だけを書かれても多分実践できません。
そこで、身近な会社が、例えばこんなことやっている、あるいは知らなかったインドの会社がこんなことをやっている、ということを知ってもらい、「もしかしたら同じようなことができるのではないか」「こういうやり方をすることがトランスフォーメーションなのか」という発見のきっかけ作りになればと思っています。
小泉: 自分の中でちょっと気になる会社があったら、まずはその会社が何をやっているのか見るところからスタートしてもよいということですね。
小野塚: そうです。加えて、前半には「DXとは何か、どのような発展形態があるのか」という教科書的に読める内容も書いています。業界も、金融や小売り、製造業など、様々な領域の事例があるので、ぜひ一読してもらえればと思います。
DXは新しい儲け方
小泉: まずはDXについて伺います。本の中でも、「DXには4つのステージ(進化形態)がある」と書かれていますね。いわゆるデジタル化から始まり、いくつかのステップがあるということですが、小野塚さんの中ではDXをどのように捉えているのですか?
小野塚: 一言で言うと「デジタルを活用したトランスフォーメーション」、すなわち「変革」です。では「変革」とは何かというと、「ビジネスモデルの変革」です。
これは、おカネの儲け方や価値の出し方が、今までとは違うビジネスになるということです。その結果として、もっと儲かる、もっとお客様に大きな価値を提供できるという、企業や社会が進化していくことがトランスフォーメーションであり、単なるデジタル化との大きな違いだと理解しています。
小泉: 20年ほど前のガラケーを使っていた時代から、現在はみなさん、普通にスマートフォンを使う時代になっています。ガラケー時代はコンピューターを使っている感覚はなかったと思うのですが、今のように、みんながコンピューターを使っている感覚になっているという、世の中の大きな変化が原因なのでしょうか?
小野塚: その通りです。この本では有名すぎるので逆に取り上げていないのですが、例えば、YouTube(ユーチューブ)は典型的なDXだと思います。YouTubeができる前までは「YouTuber(ユーチューバー)」という職業はありませんでした。YouTubeが生まれたことで、新しい職業が生まれたのです。
そして、それを見る側も、テレビでワイドショーを見ていた人が、YouTubeを見るというふうに変わりました。しかも、家で見るだけではなく、電車の中や移動中に見るという、全く新しいライフスタイルが生まれたのです。それによっておカネを儲ける人も出てきました。
小泉: YouTubeを作ったプラットフォーマー側の企業も儲けていますよね。
小野塚: そうです。そしてYouTuberという新しい職業が生まれたことで、結果として、職業としも見る側としても多様化が進み、ある意味で文化も豊かになりました。YouTubeがない時代よりも、ある時代の方がいろいろなオプションが明らかに増えています。
この本では、まさにそうした事例の80パターンを紹介していて、「DXによってチャンスが今の世の中にはたくさんあるので、この機会を逃さないでください」ということをお伝えしたいと思っています。(第2回に続く)
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