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Tuesday, November 8, 2022

絵の大切さを知っているからこそ描く それが自分の役割を果たすということ【LIFE IS ART】 startt|徳島の話題|PICKUPニュース|徳島新聞デジタル - 徳島新聞

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SOKIA SUKOKA(ソキア スコカ)
吉村咲子さん(38・徳島市出身)

 空間に優しい彩りを添えるペイント、人柄がにじむキャッチーな似顔絵、物語の広がりを連想させるイラスト…。アートブランド「SOKIA SUKOKA(ソキアスコカ)」を立ち上げ活動している吉村咲子さんの作品は穏やかな優しさをまとう。徳島市にある人気喫茶店「John」のショップロゴや毎月最終日曜に元町商店街で開かれる「元町マーケット」の垂れ幕など、吉村さんのアートワークを「見たことある !」という人もいるはず。

元町マーケットの垂れ幕。開催日に商店街に設置される。

 物心ついたときから絵を描いていた。それを「自分の得意なこと」だと認識したのは城東高校時代に交換留学で1年間を過ごしたカナダだった。カナダの高校は学びたい教科を自分で選ぶシステムで、迷いなく美術を専攻。「当時はまったく英語が話せなくて。でも絵を描くと“それ、いいじゃん”てコミュニケーションが取れるようになったんです」。留学期間を終え一旦は帰国したものの、高校卒業後は再びカナダへ。留学先の高校を経て、現地の大学で1年間英語を学んだ。その後、本格的に美術の勉強をしようと21歳のときにロンドン芸術大学に進学。基礎を広く学ぶファウンデーションコースで知識を深めた。帰国後は服飾専門学校でファッションデザインを勉強。ナゴヤファッションコンテストやユニフォームをデザインする千年大賞など著名なコンテストで複数受賞するなど実力をつけた。これからファッションの世界でやっていこうとしていた矢先、体調を崩し徳島へ戻った。

 帰郷してからは英語力を活かし通訳や事務をするなど会社に勤める傍ら、休日はアーティスト活動に力を注ぐように。「徳島に帰ってきてから、自分が本当に好きなのは絵なんだなってわかったんです」。想像したもの、思い浮かんだ言葉などを自由に、手が動くままにスケッチブックに描き続けた。2015年には初の個展「SKETCH BOOKING OUT」を神山町の粟カフェで開催。学生時代から描きためてきたスケッチブックの中身を外に出そうという試みだった。「自分の中のものを思い切って出しちゃいます、見てください ! みたいな感じでしたね」。空間から作っていくのが吉村さんの個展のこだわり。会場の床全体にウッドボードを敷き詰め作品が映えるようにリフォーム。スケッチブックからお気に入りの絵を切り離し、破いたり額装したりして展示した。会期中には約300人が来場し反響は想像以上だった。「こういう絵を描く人だったんだなってわかってもらえたことが大きかったです」。個展を機に絵の依頼を受けたり、名刺やショップカードなどデザインの仕事も手がけるように。そしてこの年、新たに始めたのがイメージ画の制作。対面でその人のイメージを抽象的な水彩柄にするというもの。出張イベントを開催したときには大好評を博した吉村さんのアートワークだ。

言葉や歌詞からインスピレーションを得て描いていくことも多い。

 2016年には個展「COME OFF IT」を徳島市のナガヤプロジェクトで開催。「絵を描くときは気取った服や宝石で彩ったような表現をしたくない、という自分の感情をテーマにしました。COME OFF ITは格好つけずに打ち明けろという意味です」。砂壁に板を貼り自らペンキで白く塗るなど手を加えた空間で、水彩やドローイング(線画)作品を発表。「無意識で描いていたこれまでの絵とは違って、自分の中で“絵を描こう”と意識して描きました。今までとは大きく作風が変化したものがたくさんできました」。そして2019年の「淡い/young」展。会場となった徳島市元町のCATCHギャラリーでは壁を作りプロの職人にクロス張りを依頼するなど大がかりに内装を変え、絵と言葉を流れるような繋がりをもたせて展示。「淡い/Youngという2つの言語で表現したタイトルだけをヒントに個展に来てもらいたかったんです。なんで淡い/Youngなのか?を作品を見て想像してもらいたいと考えました」。

2019年の「淡い/young」展。個展用に白壁を設置し作品を展示した。

 個展をするたびにアクションが増え、仕事の規模が大きく広がっていった。そんな中、新たに藍染Tシャツの製作に乗り出した吉村さん。絵はもちろん、Tシャツのデザインも製図も手がけるオリジナルだ。このTシャツの資金集めをすべく2020年に「SOKIA SUKOKA」を開業。オンラインストアを開設し、ART作品の販売を始めた。イラストやストーリーを載せたオリジナル冊子ZINE(ジン)や靴下で作ったキュートな猿のぬいぐるみSOCK MONKEYの販売、似顔絵イラストの制作も行う。途切れなくイラストの仕事をするようになり芽生えてきたのが、ビジネスを大切にするというより自分の表現したいことに軸を持たせて活動していきたいという思い。「活動のベースは空間づくりからする個展にしたい。自分が表現したものを見てもらって何を感じてもらうか。それが私にとって大事なこと。徳島だけでなく、県外や海外でもやってみたいです」と目標を掲げる。

 「絵がなくなると人は生きていけないと思うんです。無意識のレベルで芸術が私たちに与える影響は大きいはず。絵の大切さを知っている身として、そして絵を描く者として“これってよくない?”という絵を提案し続けたい。それに挑戦していくのがアーティストの仕事。自分がいいと思うものを作る。それが自分の役割だと思います」。今年もしくは来年には次回の個展を開催する計画。そこにどんなメッセージが込められるのか楽しみだ。

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