関西の盆踊り会場を巡る愛好家に密着した
夏になると各地で開催される盆踊り。自分の住んでいる地域の盆踊りに行く、という人が大半かと思うが、なかには盆踊り会場を点々と巡って「毎日どこかの盆踊りに行く」という人たちがいる。そういう趣味人のことを「盆オドラー」と呼ぶらしい。
実は私の知り合いにも盆オドラーがいる。盆踊りの魅力とは? ハマる理由は何なのだろう? シーズン真っ只中の8月下旬、とある盆踊り会場に連れて行ってもらい、踊りながら話を聞かせてもらった。
今日はどこの盆踊りに行こう?
「7月、8月は盆踊りシーズンなので、本当にいろんなところで盆踊りをやっていて。踊り子さんも『マリオのスターを取ったときみたいな状態』(無敵状態)なんですよ」
大変大変! と連呼しながらも、ものすごく楽しそうに語ってくれるのは、関西在住の盆オドラー・宮原さん(仮名)。彼女は2017年頃から盆踊りにハマり、夏になると毎日どこかの盆踊りに行っているらしい。そんなに!? って私なんかは思ってしまうけど、毎日行っても足りないくらいだという。
「これが8月のスケジュールなんですけど」
関西圏だけでこの数なのだ。特に8月は毎日どこかで盆踊りがあって、土日だと20件以上かぶる週もあるらしい。
「土日になると行きたい場所が6つくらいあるんですよ。この会場は2日間やってるから、1日目は別のところに行って、もう1日はこっちで……。なんて考えてたら雨で中止になったりして、そうするとまた予定を組み替えて……」
「こんなことをずっとやってるんです。だから夏は仕事にならない。そればっかり考えてるから(笑)」
筆者は四国・徳島の生まれで、盆踊りと言えば「阿波踊り」であった。というか阿波踊りしか知らずに育った。正直、盆踊りが何たるかもよく分かっていない。なので今回は宮原さんにコーディネートしてもらい、盆踊りの会場に連れて行ってもらうことにした。
「今日行くところは『生音頭』なんです。生音頭っていうのは、音頭取りさんが出てきて、生歌で踊るところですね。一回それを聞いてもらいたくて!」
関西の盆踊りには、大きく分けて「生音頭」と「テープ(もしくは民踊)」がある。
生音頭は「音頭取り」と呼ばれる方(いま風に言うと歌い手)が登場して、生演奏で生歌を披露するタイプ。演目は、関西であれば基本的に「江州音頭」「河内音頭」「泉州音頭」のどれかになるという。これら3つの音頭は、それぞれの頭文字をとって「江河泉(ごうかせん)」と呼ばれることもある。
一方の「テープ」は、録音音源を流すタイプ。その曲目は幅広く、民謡が一般的だが、「アラレちゃん音頭」「ドラえもん音頭」といったアニメの音頭も定番らしい。
「アラレちゃんは定番、めちゃド定番ですよ。というかアラレちゃん以降のアニメ音頭で、アラレちゃんほど今でも覇権を握っている音頭が出てこないっていう」
「ほかにも『オバQ音頭』『アンパンマン音頭』なんかがあって、『おそ松音頭』なんて途中でシェー! の振りが入るんです」
盆踊りの世界、そんなことになっていたのか。会場ごとに何の曲を流すか特色があって、なかには「2時間ずっと『アラレちゃん音頭』のループ」という、悪夢のような盆踊りが実在しているという噂も……。
人によって「生音頭派」「テープ派」という派閥があるというが、宮原さんは「どっちも好き派」。今日は何が踊りたいか? という気分によって、どこに行くかを吟味して決めている。地域性などから曲目を予想し、いまの自分に合っているのはどこなのかを取捨選択する。会場を考えるところから、すでに盆踊りは始まっているのだ。
そんな無数の選択肢があるなかで、今日は生音頭の会場を選んでくれた。私にとっては人生初の生音頭である。いったいどんな雰囲気なんだろう。わくわくしながら会場に向かっていると、遠くから賑やかな音楽が聞こえてきた。
盆踊りの輪に混じる
「あ、ほら、聞こえるでしょ! わー。わーーーー!」
なんでも「踊り逃し」をしたくないと言うのだ。盆踊りの最初から最後まで、とにかく踊りたい。少しも踊らない時間を作りたくないというのが彼女のスタンス。フレデリックの曲(オドループ)みたいだ。
彼女を追いかけて会場に到着すると、そこには「いかにも盆踊り!」という雰囲気の、中央に櫓(やぐら)が立っている空間が広がっていた。
すでに曲が始まっている。めちゃんこ、めちゃんこ、めっちゃんこ♪ という、なんとも言えない音頭にのって何人かの人が踊っている。
「これがアラレちゃん音頭ですよ!!」
本当にアラレちゃん音頭なんだ! どうやら生音頭の開始は19時半からで、それまでの間はテープを流しているらしかった。そうこうしているうちに、さっそく宮原さんは踊り出している。私も踊ろうと輪の中に入っていく。
そうそう、会場に来るまでの間に、踊りの心構えについて教えてもらっていた。
「踊り方を知らないから踊れない、といって踊らない人が結構いるんですけど、全然そんなことなくて。私も知らない曲がかかったら、あ、知らない曲だな、と思って回りを見ながら踊ります。みんなそうなんですよ」
「踊れない人に対して『踊れてないなお前』って言う人は誰もいないし、オロオロしていても輪は進むから、とにかく輪に入って歩いてさえいればいいんですよ!」
なるほど。初心者は、まず前の人の振りを真似る。そして輪が動くのに合わせて進んでいく。それさえできればいいのだ。
見よう見まねで「アラレちゃん音頭」を、そして次に流れた「アンパンマン音頭」を無心で踊った。ムワっとした夏の熱気のなか、音頭に合わせて櫓のまわりをグルグルと回り続ける。めちゃんこ、めちゃんこ、めっちゃんこ♪ ……なんだかこういう「夢」を見ているみたいだ。
そのあと再び「アラレちゃん音頭」にループしたので、一度輪を離れた。生まれてはじめて盆踊りに参加してみたが、蒸し暑いということもあってかなり疲れる。振りが分からないのも緊張するし。ほんの10数分踊っただけでも、汗が噴き出していた。一方の宮原さんはというと、涼しい顔で踊り続けていた。
「初心者の頃は必死で振りを覚えるから、動きに無駄が多くてめちゃくちゃ疲れるんですよ。でも踊りを覚えると軽く踊れようになって、だんだん体もできてくる。2、3時間は休憩なしで踊れます」
おそるべし、盆オドラー……。
会場ごとの違いと楽しみ方
ところで、私には盆踊りの知識がなさ過ぎる。ただ真ん中に櫓が立っていて、そのまわりを輪になって踊る、といった程度のことしか知らない。盆踊りを楽しむために、もう少し基本的な部分を教えてもらうことにした。
「だいたい櫓があって、真ん中にはお手本になる踊りをしてくれる、お揃いの浴衣を着た女の人がいます。それを見ながら踊るっていうのが基本なんです」
「踊る人数が多くなると、ひとつの輪だとぶつかるから、輪をもうひとつ作りましょうとなっていく。どんどん外周に輪ができて、二重三重になっていきます」
ちなみに今回の会場は、お手本の人はいないタイプだった。いろんなことが会場ごとに違っているので、その違いを楽しむのも盆踊りの魅力のひとつという。
「人が乗るタイプの櫓もあれば、乗らないタイプもある。太鼓がある、太鼓がないという違いもあったり。あと生音頭の会場で多いのは、櫓じゃなくて端にステージがあって、その前で円をつくって踊るってタイプですね。櫓とステージが両方あることも」
聞いていると、本当に無数のタイプがあるようだ。
私はコレクター気質があるので、こんなのを聞いてしまうと「盆踊り会場めぐり」をして、形式の分類を始めかねない。
でも、その行為が果てしないことは理解できる。先ほど見せてもらったカレンダーからも分かるように、関西だけでも毎日たくさんの箇所で開催されているのだ。全国に広げると、それこそ無数の会場があるだろう。終わりがなさすぎて挫けてしまうタイプの趣味である。
「系統立てて整理したくなる気持ちはあるけど、全部を見て回れないから、どうしたって最初から抜けがあって。その完璧じゃなさに耐えられないので、もう分析・分類することはやめたんですよ。だから、いまは踊りを楽しむことを第一目的にしてます」
その気持ちよく分かる……。もちろん文化的な側面で盆踊りを研究している人はいるのだろうけど、宮原さんの目的はあくまで「踊ること」なのだ。
そして踊ること以外にも、もうひとつ大きな楽しみがあるという。
「さっき言ったステージ方式だと真ん中に櫓がないから、向こう側で踊ってる人が見えるじゃないですか。それが嬉しいんです。踊ってる人を見るのも楽しいんですよ」
いろんな楽しみ方が洪水のように押し寄せてくる。人が踊るのを見るのが楽しいって、どういうことだろう。
「コンテンポラリーダンスのショーを見に行ったりもするんですけど、基本的にこっちからは見っぱなし、見るだけしかできないのが普通なんです。でも盆踊りがすごいのは、見ながら同時にこっちも踊っている。インプットとアウトプットが同時にやれる、っていうのが独特で」
なるほど、盆踊りは、いわば参加型のエンターテイメントなのだ。自分が踊るのも楽しいし、上手い人の踊りを見るのも楽しい。踊りが好きな人にとっては、最高の趣味なんだろうと思う。
「おじいさんやおばあさんで、最小限な動きなのに確実に勘所を捉えてる踊りをしている人を見つけると、すごい! レジェンドだ! この人何年踊ってきたんだろう? って思いますね」
「目で見るだけじゃなくて、動きを真似すると体でも感じられるから、すごさがより伝わってくるんです。自分はあんな風にはできないなーとか、逆に自分もいま踊れたんじゃない? すごい! って。この体験ができるのは、多分ほかの趣味にはないですよね」
生音頭の開幕
そうこうしているうちに、生音頭の時間がやってきた。音頭取り、そして太鼓や三味線を演奏する方々が櫓に上ってくる。会場はにわかに熱気に包まれ、先ほどよりも目に見えて人が集まってきた。「よっ!」みたいな歓声も上がっている。
盆オドラーの中には、特定の音頭取りさんのファンで、その人を追いかけて会場を点々とする人もいるらしい。印象としては、もはやライブである。生演奏・生歌のライブ。盆踊りってそういうエンターテイメント性もあったんだなぁと、このとき初めて知ることになった。
やがて太鼓のリズムが聞こえてくると、音頭取りさんが渋い声で「江州音頭」を歌い出した。盆踊り本番の開幕だ。
「曲ごとに踊りって違うんですけど、正調という基本の踊りさえ身につけると、どこ行っても踊れるんですよ。そこが面白いところだなと思って」
音頭自体はすごく長いのだが、踊りは短いフレーズの繰り返しで出来ている。なので2~30秒の振りを覚えてしまうと、あとはそれを延々と繰り返すだけでいい。
私も再び、見よう見まねで参戦。たしかに前の人の動きをひたすら真似していると、勝手に振りを覚えてきて、なんとなーく踊れるようになってきた。
「特に生音頭のときは、地域によって多少の違いはありますけど、ほとんど決まった踊りしかしない。なので頭を空っぽにできるんですよね」
その気持ちは、踊っている今ならよく分かる。生歌に合わせて、特定の動きを延々と続ける。やがて無意識に体が動くようになり、体と意識が分離されて、空中を漂っているようなフワフワした感覚になってくる。こんなんだったのか、盆踊り。
「江州音頭」が終わると、次は「河内音頭」が始まった。その後は、江州音頭→河内音頭→江州音頭→……というように2つの音頭が繰り返される。私は20分ほどで一旦輪から離れたが(ものすごく疲れる)、宮原さんはというと、水を得た魚のように無心で踊り続けていた。
改めて、盆踊りの良さとは
宮原さんは、傍目にも本当に楽しそうに踊っている。小室哲哉は、盆踊りを見て「Can't Stop Fallin' in Love」を書いたのかもしれないな、と適当なことを思った。
なにが彼女をそこまで駆り立てるのか、改めて聞いてみた。
「辛さがまったくないんですよ。人と競争するわけじゃないし、別に高見を目指して練習するわけでもない。踊れなくても楽しいし、踊れたら踊れたで楽しい」
「人から評価されるわけでもないので、単に自分が満足いくやり方を探している感じ。それが楽なんですよね」
「自分が楽しい」という感情だけがこの世界のすべてなのだ。ここまで純粋に楽しめる趣味って、案外貴重かもしれない。
「でも踊りたい! って気持ちが強くないと多分できなくて。だって知らない小学校とかで、まわりは子どもとか友達連れで来ているところに、一人でいるんですよ。しかも毎日行くとなると、結構なものを犠牲にしないといけないわけですよ!」
「でも盆踊りしている間はいいんです。踊ってさえいれば、その場にいられるんです。間が持つというか。ちょっと不思議な空間だなって」
話を聞いていると、盆踊りってけっこう鉄道趣味にも似ているのかなぁと感じた。私は鉄道に乗るのが好きな「乗り鉄」なのだけど、同じく「何でこんなところに一人でいるんだろう」って思う瞬間はあるし、でも乗ってさえいれば楽しい。そこには何の優劣もなく、時間を忘れてただ純粋に趣味だけを堪能することができる。
あと盆オドラーの中でも、「踊るのが好き」「音頭取りさん(音楽)が好き」「盆踊り動画を撮るのが好き」とった趣味の細分化がなされているらしく、これもまた鉄道趣味のごとし。
彼女の話で印象に残ったのは、「友だちと一緒には来られない」という点だ。
「わりと気軽に、一緒に行きましょうって言われるんですけど、気持ちとして難しいんですよ。私は盆踊りに行ったら2時間は踊りっぱなしで、屋台とかも見ないし、もうずっと踊ってるんです」
「盆踊りに行きたいって人は、ちょっと踊ってお喋りしたり、屋台も見つつ夏祭りを楽しみたいって言うかもしれない。でも私は、踊れないと心が引き裂かれてしまうんです」
分かる……。鉄道旅行もまったく同じで、自分はひたすら一日中鉄道に乗りたいのだけど、多くの人はそれを望んでいない。なのでいつも一人で行動するし、それが最適解になってしまう。
でもそんな時間も愛おしかったりもする。
「曲の間の休憩のときとか、一人だし、子どもがワーっと走ってる様子とかをボーッと見たりして、『営みを眺める』っていう時間があるんですよ。でもそれがあるのが盆踊りだな、って思う。いつも『あ、この時間が来たな』って思うんです」
ただ、盆踊り会場にはそういう趣味の人が集まっている。「あの人は今日も来ているな」と思うことがあるらしく、たまに声をかけ合って話をしたりもするとか。この日も明らかに盆踊り慣れしている人(動きで分かる)がいて、聞いてみるとその方はよく会場で会って話をする方だという。
盆オドラーは私が思っている以上にたくさんいて、みんな夜な夜な盆踊り会場を渡り歩いているのだ。面白い。興味を持って聞かなければ知り得なかった事実に、わりと一人で興奮していた。
宮原さんも言う。
「こんなことが毎晩各地で起きてたとは、いまもまだ衝撃の渦中にあって。別に隠されてはいないけど、何で知らなかったのだろう? 何で知られてないんだろう? というのが謎なんです」
盆踊りもフィナーレに
さて、江州音頭→河内音頭→江州音頭→……というループが約2時間にわたり続いていた盆踊り会場であるが、ついに最後の曲になるという。気になる演目は……江州音頭!
「最後の江州音頭は、途中で伊勢音頭になるんですよ! あれ? と思ったら突然変わるんです。それがめっちゃカッコいい!」
なんでも、締めの江州音頭からは伊勢音頭にシームレスに移行するのが定番なのだという。ただ会場によっては、最後に江州音頭をやっても伊勢音頭にはならないところ、そもそも最後が江州音頭ではないところなどもあって、ここにも地域差があるらしい。面白い~。
最後は私も輪に入って江州音頭を堪能していたところ、たしかに途中で伊勢音頭に移行したのが分かった。それがあまりにも自然で、DJ顔負けの繋ぎであった。
そんな伊勢音頭が始まってしばらくしたとき、盆踊りの輪から何人かが離れて、内側に新たな輪を作り始めた。そのなかに宮原さんもいる。これはなんだ?
「地域によっては、伊勢音頭専用の振付ではなく、江州音頭の振りのまま踊り続けたり、いろいろなんです。今回、輪の先頭にいた人は、私がよく見る『普及版』とはちょっと違う踊り方をしていて。内側の輪はよく見る踊り方をしていたので、今日はそっちを踊ろうと思って移動したんです」
誰も何も言わないのに、自然発生的に別の輪ができて、自分の思う踊り方をしたい人たちが集まってきていたのだ。話を聞かなければ一生気付かないような、些細だけど深みを感じるような出来事であった。
印象的な盆踊り
伊勢音頭が終わると、盆踊り会場は急にシンとして、みんな一斉に帰途につきはじめる。さっきまでの熱狂がウソみたいに、「祭のあと」感にあふれていた。
帰り道で、これまで一番印象的だった盆踊りについて聞いてみた。
「すごい細い路地でやる盆踊りがあって。路地でやるから輪が縦長になるんですよ。その通りだけを警察に封鎖してもらって、端では交通整理している人がいて、中ではみんな踊っていて」
「古い地域で幻想的なんですよね。暗くて、地域の子どもやおばあちゃんがいる。終わったあとに自治会の人がスイカを切ってくれて、よそものとか関係なく、どこから来たの? とか聞かれたりして」
「小さいビールも配られたから飲んで、地元の子たちがスイカを食べてるのを見ていたら、幸せな気分が高まってきて……。いいなあと」
話を聞いていて、実際に見たわけではないのに、その光景が脳裏に浮かんできた。過ぎ去った夏の日を想うとき、まず一番に思い出すようなエピソードだ。
「終わったあと、路地を後にして振り返ると、遠くで提灯がきれいだったので写真を撮ったんですよ。でも、あとで見たら白いモヤみたいなのがかかって……」
「幻想的な気持ちと、写真に何かが写ってる!? という気持ちが入り交じって、あれは何だったんだろう、幻だったのか? って思ってます。でも楽しかったですね」
盆オドラーは、今日も盆踊り会場を巡る。でも8月が終わってしまうと、一気にオフシーズンに。シーズン外の時期には、踊りが好きな人たちで集まって、公民館や体育館で自主的に盆踊りをやっているという。
今回、こんな身近にあるのに、全然知らなかった世界を知ることができた。夜な夜な人が集まり、櫓を組んで、音楽を流し、輪になって踊る。遠い昔から行われてきた行事がいまも連綿と続いていて、それが大好きで毎日踊り続けている人たちがいる。その体験は、江州音頭・河内音頭のリズムと共に、私の胸のなかに深く刻まれた。
どうやって開催場所を知るのか
盆踊りは地域の行事だ。大阪市内だと、区が出している区報に案内が載っている場合が多いらしい。でもやっぱり、何の情報も出ていない盆踊りもいっぱいあるとか。
「盆踊りって、ネットで告知していろんな人に来てほしいわけじゃなくて、地域の人が分かればいいんですよね。なので回覧板とか、公園の掲示板にさえ載せてれば済むんです」
じゃあどうやって情報を仕入れるかというと……ひとつの方法が、「掲示板を探して歩き回る」のだという。アナログ!
「開催確認のために、7月ぐらいからめぼしいところを回って掲示板を探して。それでポスターとかを見つけたら、写真を撮っておくみたいな、すごい地道なことをするんです」
「ずっとこんなことをしていると、みんなだんだん幻覚を見るようになってきて……。掲示板があって、提灯の絵とかがあると、盆踊りと関係ないのにガッって飛びつくみたいな(笑)」
そうして地道に集めた情報も、大々的に公開すると人が押し寄せてお祭りを壊してしまう恐れがある。あくまで地域の人のお祭りであることを尊重し、仲間内だけの共有にとどめているとのこと。す、すごい趣味だ……。
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