30年ぶりに上映される映画の話題です。
沖縄を舞台にした「パイナップルツアーズ」
当時、県内でおよそ7万人が鑑賞したというこの映画は沖縄ブームの火付け役とも言われています。
この作品がデジタル技術で鮮明に修復され、県内外でリバイバル上映されます。
上映に寄せる思いを、監督の2人に西銘むつみ記者が聞きました。
いまから30年前、本土復帰20年の年に公開された映画「パイナップルツアーズ」
沖縄にある架空の島を舞台にした3つのストーリーが、3人の監督によってオムニバス形式で描かれています。
今回のリバイバル上映は最新の技術を使ったデジタルリマスター版。より鮮明な映像と音で蘇りました。
1話目を制作した真喜屋力監督です。
ミニシアターのディレクターを務め沖縄の昔の映像のアーカイブス化にも取り組むなど、精力的に活動しています。
(真喜屋力監督)「今回こうやって30年ぶりにデジタルリマスターの上映素材を作ってもらって、本当にあの、もう1度映画が生き返ったっていうか。次の世代にまた見てもらえるというのはすごいうれしかった」
1話目は「麗子おばさん」
アメリカ兵の父親を持つオペラ歌手の麗子は謎の病で声が出なくなり、里帰りした島で、戦争中に落とされた島に埋まる不発弾が原因だと聞かされます。
島では不発弾をめぐってリゾート開発が頓挫。
映画に散りばめられた沖縄の暮らしや歴史、文化が地元の俳優たちによってコミカルに演じられています。
(真喜屋力監督)「復帰前のいわゆる闘争とか、そういうのを知らない、子ども時代に復帰を経験して育った人間の価値観というか、見てきた沖縄というのがいろいろあるけど、こういうのもアリですよねと。“けっこう楽しかったよね、俺たち”というのも見てほしかった。それが共感も呼んだし。最初にベルリン映画祭に呼んでもらって、そこで上映した時にアルゼンチンかどこか南米から来た人が見て“すごい面白かった”と。“まるでうちのばあちゃんたちのようだ”と言われた時に、あっ、こっちから寄せていくんじゃなくて、普通に人間の生活とか描いていくと、我が事として共感してくれる人は違う文化の中にもいるんだなとすごく実感して『復帰』という、沖縄が日本化していくっていうか。1つの大きなきっかけを考えていく時に、何か1つの参考にはなるんじゃないかなと」
2話目は、本土から来て島に居ついてしまった青年ヒデヨシと、青年に恋心を抱く島の娘、春子の物語。
シマクトゥバがわからないヒデヨシは、いつのまにか年寄りたちの強引な勧めで春子と結婚式をあげることになりますが、当日、島から逃げ出そうとします。
沖縄と本土との間に横たわる溝のようなものがかいま見えるストーリーです。
制作は沖縄を舞台にした作品を数々と手がけてきた中江裕司監督。
作品のメッセージは、復帰から50年がたった今も色あせていないと話します。
(中江裕司監督)「『パイナップルツアーズ』の中で扱っていることは、当時もたぶん今も変わらないと思いますね。この現実は多分変わらないですよ。大和と(日本)沖縄の溝は深いままですよ。ただその溝自体を、感じてるか感じてないかっていうのは、すごく大きいんですよ。感じていないで生きていくっていうのは、やっぱりね、お互い理解し合えないことを助長してしまうんで。それを少しでも、“溝なんてあっちゃいけないよね”じゃなくて、溝があっても、その溝はあるけれども“あんたはどう思ってんの”というのが、やっぱお互いが感じ合うことが、ちょっとでもよくなっていく方向じゃないかなと思います。この映画がね、何かそういうことを少しでも感じてもらえればうれしいかなと思っています」
映画をつくった当時、中江監督は30代、真喜屋監督は20代の大学生だったということですが、自分たちの生活の中の価値観を描きたいという思いがあったということです。
30年前の映画ですが初めて見る人、すでに見たことがある人、それぞれに違った印象を与えてくれそうです。
からの記事と詳細 ( 映画「パイナップルツアーズ」30年ぶりリバイバル上映へ|NHK 沖縄県のニュース - nhk.or.jp )
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