続いて特集です。
自らの性について気兼ねすることのない自由な社会になってほしいと山口市で活動している男性がいます。
自分もゲイだとカミングアウトしているこの男性の思いを取材しました。
山口市の湯田温泉にオープンするバーの準備に追われているこの男性。
東京都出身の田中愛生さんです。
ゲイであることを周りに知らせています。
地域おこし協力隊の任期を終え、バーの経営という新たな挑戦をはじめました。
「ゲイの人も山口に普通にいるんだっていうのをなんか感じられる、体験できるようなそういうお店になったらいいなと思ってます」。
田中さんがゲイだと自覚したのは高校を卒業してすぐ。
スペインに留学した18歳のころでした。
「スペインがそのLGBTとかゲイカルチャーにオープンな国だったので、そこで、こういう人たちと自分は一緒なんだと。自分もそれなんだっていうのがすごい不思議でしたね」。
しかし、家族に打ち明けるには長い年月がかかりました。
母親に伝えたのは、30歳の節目を迎えた2年前。
父親と弟にはまだ伝えられていません。
「やっぱり長男っていうのを考えたり、日常会話のなかで子どもを持つのっていいよとか言われるとグサッときて。だから自然にはなかなか言い出せない」。
30歳になってまずは母親に伝えようと2人で沖縄旅行に行きましたが、そのときは言い出せませんでした。
「受け入れてくれるだろうと思っていたら意外と受け入れられなかったとかそういうエピソードも聞いていたので。嫌われるとまではいかないけどスムーズに受け入れられなかったらどうしようみたいな」。
後日、改めて決心した田中さん。
ある漫画を手に取ります。
「うちの息子はたぶんゲイ」。
ゲイを隠しているけれども、バレバレな息子を温かく見守る親子のストーリーです。
この漫画に手紙を添え、ゲイであることを打ち明けました。
その1週間後に届いた母親からの返信。
そこにあったのは・・・。
「そんなの知ってたよ」ということば。
手紙には、以前から気付いていたことや、性を気にすることなく、息子に自由に生きてほしいと願う母の思いが綴られていました。
「なんでかわからないけど涙が出ました。何のちゅうちょもなく受け入れてくれた母で本当によかったな。長年言えなかったのがこうやって手紙ではあるけれども伝えられたというのはかなり安心しました」。
母親に打ち明けたことをきっかけに性的マイノリティーのことをもっと多くの人に理解してもらいたいと考えるようになった田中さん。
自ら行動を起こします。
去年、4年前から行われている「ミスターゲイジャパンコンテスト」に出場。
その活動の一環として、SNSで同性婚に賛同する署名活動を呼びかけるなど、性的マイノリティーについて発信してきました。
どうやったらより多くの人に関心を持ってもらえるのか。
コンテストの出場者と話し合いながら、活動しています。
自分の意識も大きく変化しました。
「自分のセクシュアリティーがすごい良い個性なんだってことに気がついて、これ本当に自分でもびっくりしてるんですけど。コンテストのテーマである同性婚の理解促進っていうのとLGBTQの可視化を進めたい」。
そんな田中さんの新たな活動拠点となるバーがオープンを迎えました。
名前はずばり、「田中ゲイ企画」です。
「緊張してます。脇汗が」。
オープンと同時に多くの友人たちが駆けつけました。
みんなで田中さんの門出を祝います。
「身近にゲイの人がいるってことを知ってもらえる場所になれば良いと思いますしこういう風に明るくハッピーに生きてる奴もいるんだよっていうこの姿をちょっと見てもらって、皆さんにそれを感じてもらえたらうれしいなと思っています」。
「性的マイノリティーであることはネガティブではない」という田中さん。
社会が当たり前に受け入れてくれるその日まで、発信は続きます。
バーは山口市湯田温泉2丁目のビルにあります。
夜の8時から深夜3時まで営業する予定だということで、田中さんはこのバーをさまざまな性の人たちが集う場所にして、少しでも多様な社会の実現につなげていきたいと話していました。
からの記事と詳細 ( 特集 ゲイをオープンに生きる|NHK 山口県のニュース - nhk.or.jp )
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