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Monday, August 30, 2021

リブート映画『Resident Evil/ Welcome to Raccoon City』監督インタビュー 過去作品との違いやキャスト、クリーチャーへのこだわりなどについて迫る - IGN Japan

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公開予定の映画『Resident Evil/ Welcome to Raccoon City(原題)』ではカプコンのゲーム「バイオハザード」シリーズの前に起こる出来事が描かれている。脚本と監督はヨハネス・ロバーツ氏(『海底47m』、『ストレンジャーズ 地獄からの訪問者』)。この作品はビデオゲーム「バイオハザード」シリーズの1作目と2作目をもとに作られており、どのようにしてラクーンシティがアメリカ中西部の工業都市からT-ウィルスの感染拡大の爆心地として滅びゆく街になっていったのかが克明に語られている。

IGNの独占メールインタビューで、ロバーツ氏は自身の「バイオハザード」映画と、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演、ポール・W・S・アンダーソン監督のヒット映画シリーズとの違いを丁寧に説明してくれた。また、本作はカプコンのオリジナルゲームだけでなく、ホラー映画の巨匠 ジョン・カーペンターの映画制作からも影響を受けていることなどについても語った。

IGN:「バイオハザード」は商業的に成功しているビデオゲーム・シリーズの1つですが、なぜ続編ではなくリブートになったのでしょうか?

ヨハネス・ロバーツ:実は、「バイオハザード」の1作目の映画が本当に大好きなんです。あれはすごいと思う。それにミラはアイコニックなキャラクターを作り上げた。でも、あれはあの映画独自のものです。僕が知っている「バイオハザード」とはちょっと違っていました。これまでの映画は、ゲームそのものや僕がゲームをプレイしていたときのような感覚をとらえたものではなかったんです(これは批判ではありません。方向性が違うだけのことだと思います)。僕はとにかくホラーに戻りたいと思いました。アクション満載ではなく、恐怖感とあの雰囲気を作りたいと思いました。ゲームのファンの人の中には同じように感じている人がいると思います。そういった人たちは、ゲームのアイコニックなキャラクターや場所、もっとゲームの「バイオハザード」に近い感覚が欲しいと思っていたでしょう。それが今回の方向性を選択した理由です。この映画の制作は細かい部分までカプコンと協力して行いました……できるだけ忠実に再現するためにスペンサー邸やラクーンシティ警察署のデザインの設計図を実際にもらってもいますし、邸宅の壁にはゲームとまったく同じ絵も飾ってあります。先日、カプコンが初めて見たときにはすごく喜んで興奮していました。それを見て僕は、ナード(オタク)として、すごく嬉しくて興奮しました!

IGN:ジル・バレンタインやレオン・S・ケネディのようなキャラクターはこれまでの「バイオハザード」映画とどのように違っていますか?

ヨハネス・ロバーツ:これまでの映画作品と今回の映画との違いは、メインのキャラクターたちがみんな同じように物語の進行にとって重要な役割を果たしているところです。彼らはそれぞれのキャラクターの髪型やコスチュームそのままのコスプレをしているだけではないんです。これまでの映画作品はアリスを中心にすべてが描かれていたと思います。彼女はゲームにはいないキャラクターです。ジル、レオン、クレア、クリスといったゲームに出てくるキャラクターはカメオ出演の脇役のような感じでした。この映画では、ジルとレオンも、クレア、クリス、ウェスカーも主役の扱いになっています。

ジルは作るのがとても楽しいキャラクターでした。エネルギッシュな小さな街からきた少女みたいな感じで。かっこいいけど、スーパーヒューマンみたいではないんです。でも、まずいことになったら彼女は本当に恐いですよ。ハナ・ジョン=カーメンがすごく生き生きと演じてくれました! レオン・ケネディはおもしろかったです。色んな意味で彼には脚本家としての僕が反映されています。ある種、僕は彼の目線を通して物語を見ていました。ゲームシリーズでだんだんバフ・アクションヒーローになっていっているレオンではなく、初期の『バイオハザード2』の頃の「新人警官」に戻したいと思いました。今回の映画では、彼はまったくアクションヒーローではありません。ちょっとついていけていなくて、ひどい二日酔いで、初日からいきなり起こっているとんでもないことを信じられないでいます。この映画でのできごとがあって、彼はみんながゲームで知っている「ヒーロー」のレオンになっていくのです。

彼のキャラクターの中には間違いなく(ジョン・)カーペンター的な部分があります。レオンのことを書いているとき、心の中でジャック・バートン(『ゴーストハンターズ』の主人公)とマクレディ(『遊星からの物体X』の主人公)がクロスしたみたいに感じたんですよ! 誰が演じるかキャストを決めるのが一番たいへんな役だったかもしれません! アヴァン・ジョーギアは本当にうまくやってくれました。すごく見事によれよれでちょっとついていけていないですよ。

IGN:この映画のヴィジュアルは過去の「バイオハザート」とどのように違っているか教えていただけますか?

ヨハネス・ロバーツ:この映画は今までの「バイオハザード」シリーズとの関連はまったくありません。とにかくゲームという原点に戻って、これまでの映画のようなSFアクションとは違った、もっとホラー色の強い映画を制作したということです。特にゲーム2作目のリメイクには大きく影響されました。あのゲームのじっりとした雰囲気をとらえたいとすごく思ったんです。あれはとても映画的です。これまでの映画作品はとても明るくてキラキラしていました。一方、この映画はダークで薄汚れた感じです。全編通して夜間に撮影されていますし、ずっと雨が降っていて、街は霧に包まれています。

僕は1970年代の映画制作技術にとても影響を受けています。ズームショットをたくさん使いましたよ! この作品にはドローンを使ったショットや物理的に不可能なCGIカメラのとんでもないショットはありません。とてもオールドファッションでレトロな雰囲気があります。僕は『エクソシスト』(『エクソシスト3』も!)、『赤い影』、『シャイニング』などの映画にものすごく影響を受けているんです。こういった映画の質感をこの映画にも感じてもらえるはずです。この街にはハイテクな印象のものは何もありません。廃れてしまった感じです。僕は、ラクーンシティを『ディア・ハンター』に出てくる街みたいにしたいと思ったんです。世の中から忘れ去られたゴーストタウンです。映画全体の構造としては、『ジョン・カーペンターの要塞警察』から間違いなく多大な影響を受けています。

IGN:クリーチャーやキャラクターは、ゲームや過去の映画作品のファンの人たちが知っているものと今回の映画ではどのように違っていますか?

ヨハネス・ロバーツ:キャラクターでもクリーチャーでもロケーションでも、何かを考えるときはいつでも常にゲームに戻っていました。ゲームは僕たちを導いてくれる星なのです。先ほどと同じ話になりますが、カプコンと細かい部分まで協力して制作したので、どのキャラクターもクリーチャーもゲームからのものです。ですから、できるだけゲームに忠実にしたいと思いました。ファンの人たちが本当にゲームの中に入ったような感覚を作り出したいと思ったんです。

でも、それはこういったIP作品の実写化で一番難しい部分にもなりました。僕は単にゲームをスクリーン上に再現するということはしたくなかったので。ゲームの世界そのものでありつつも、生きて、息をしているキャラクターやクリーチャー(そしてもちろんゾンビも!)がいる、ゲームとはまた別のものでなければなりません。その中にはクールでとんでもないやつもいます。クリーチャーの中にはほんとに信じられないような見た目のやつもいるんですよ。人工の素材とCGIとクリーチャーパフォーマーを組み合わせています。素晴らしく奇妙なものもいる。それぞれゲームのどのクリーチャーかはすぐにわかると思いますが、実際の世界に存在していそうだと感じるような恐ろしいものを制作することに関しては、ゲームを超えていられるといいなと思います。

IGN:レオとジルのキャスティングと、キャストにはどういったことを求めていたかについて教えていただけますか?

ヨハネス・ロバーツ:僕が描きたいと思っていたキャラクターのスピリットとエネルギーを体現できる人を見つけることはキャスティングのプロセスでものすごく重要でした。ゲームの実写化では、キャラクターに見た目が似ている人をキャスティングすることが大きな失敗の1つになってしまうことがよくあると思います。そっくりな髪型や衣装にしたりもして。でも映画がゲームよりもうまくできることをやろうと努力していない。つまり、観ている人が本当につながりを感じられる、実在しているように思える三次元のキャラクターを作り出すことです。くり返しになりますが、ゲームの壮大なコスプレのようなものを作ってしまうというのはゲームの実写化で陥りがちな罠だと思います。

この映画のキャストはオリジナルのゲームよりも明らかに多様ですが、たまたまキャラクターにうりふたつだからキャスティングするという罠にははまらないように気をつけたんです。実際、演じるキャラクターにヴィジュアル的に完璧に似せてきた俳優も多くいましたよ。時に不気味なほどに(笑)! でも、僕がこの物語に必要だと感じていたのはそういうことではありません。ジルについては、ハナのことは『レディ・プレイヤー1』で知っていましたし、当時『ザ・ストレンジャー』というドラマにも出ていたので、彼女がパーフェクトだということはすぐわかりました。レオンはかなり難しかったです。かなりたくさんの人に会ったと思います。ユーモアとよれた感じのバランスが取れていなくてはならなくて、ほんとにかなり難しい役だったんです。それで、アヴァン(・ジョーギア)に会ったら、彼だ!となって、決定しました。

IGN:この映画のクリーチャーを過去の映画ともゲームとも違うデザインにすることについて、全体のデザイン哲学はどういったものでしたか?

ヨハネス・ロバーツ:これまでのどの映画にもないものが実際かなりたくさんあります。正直ワクワクするようなものです。今までに登場したことがないものもあります。ネタバレはしませんが、ファンの人たちが見たらすごく喜びそうなアイコニックなクリーチャーもいますよ。クリーチャーたちもキャラクターのように感じられるように全力を尽くしました。ゾンビでもカラスでもドーベルマンでも……(残りは見てのお楽しみ)、それぞれのキャラクターに本当に力を入れています。顔のない集団のワイドショットは1つもありません。とにかくディティールにこだわりました。その時の個々のクリーチャーにしっかりつながりがあるということです。それが生きて、息をしているもののように感じさせるんです。キャラクターが目にしているも「信じられない」という気持ちを、観る人も感じるということです。

こういうことに関しては、ジョン・カーペンターがマスターです。クリーチャーのひとつひとつの瞬間が絵画で、その全体の壮観さには驚嘆します。ただ何百個ものものが投げつけられてくるというようなことでは決してありません。そこにいるクリーチャー1体ずつに本物の人格や命があるんです。すると、キャラクターの反応がとにかく正直でリアルになる。恐怖もとてもリアルになる。「バイオハザード」の撮影中はこのことをしっかりと心に留めていました。特に、ゲームでゾンビがふり返るといった瞬間の反応ではそうですし、最後に向かって本当に本当に狂った展開になってくるときもです。スクリーン上に作り上げられたものに観ている人がどっぷりと浸れるようにしています。みんなに思い切り楽しんでもらえるのが楽しみです。

IGN:今回の映画にはリサ・トレヴァーの物語はどれぐらい含まれていますか? この作品に彼女を入れることにはどういった重要性があるのでしょうか?

ヨハネス・ロバーツ:この映画ではリサ・トレヴァーはかなり重要な役割をしています。1作目のリメイクをプレイしたとき、僕はずっと彼女に夢中になっていました。彼女は不穏で、それでいて妙に気になるキャラクターです。この映画の物語をどう作っていくかを話し合っていたとき、絶対に入れたいと思っていた要素のひとつでした。彼女は今までの「バイオハザード」の映画作品には一度も登場したことがないからです。単に不気味な存在としてではなく、彼女を三次元のキャラクターにしたいと思いました。『マリグナント 狂暴な悪夢』に出演したばかりのマリナ・マゼーパをキャスティングしたのですが、このキャラクターに命を吹き込むために彼女はとてもがんばってくれました。ある意味、ファンはとても気に入ってくれるだろうと僕は思っています。リサは恐ろしいキャラクターですが、悲劇的でもあります。映画では、彼女とクレア・レッドフィールドの物語をしっかりとつなげています。クレアが育った孤児院から始まる物語です。

『Resident Evil: Welcome to Raccoon City(原題)』は、北米では2021年11月24日、英国で同年12月3日、オーストラリアで同年11月25日、それぞれ劇場のみでの公開予定となっている。

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