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Monday, August 30, 2021

ニューヨーク お笑いの有料ライブ配信は「産業革命」|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞

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日経エンタテインメント!

お笑いの配信ライブで成功を収めているのが、結成12年目を迎える嶋佐和也と屋敷裕政のお笑いコンビ、ニューヨークだ。2月には、昨年『M‐1グランプリ』の決勝にともに進出した見取り図と、ツーマンライブ「ピアス」を開催。配信チケットは1万枚近くを売り上げた。そんなニューヨークに、配信ライブが今、お笑い芸人たちにとってどんな存在になってきているのかについて聞いた。

嶋佐和也(左)1986年5月14日生まれ、山梨県出身。屋敷裕政(右)1986年3月1日生まれ、三重県出身。昨年は『M-1グランプリ』『キングオブコント』で決勝進出。18年にスタートしたYouTubeチャンネルの登録者数は24万人を超え、昨年12月からはオンラインサロンも始めている

屋敷 配信ライブでは、新しいお笑い文化が作られていっているなと感じています。

嶋佐 若手の頃は劇場でたくさんライブをやって、その次はテレビに出ていくのがこれまでの定石でした。ただYouTube、そしてオンライン配信が出てきて、それが大きく変わり始めている気がしますね。

屋敷 若手でも配信ライブで頑張ったらちゃんと稼げますからね。最近ではテレビが主戦場の先輩芸人たちも、「すごいらしいな」と興味を示し始めています。

嶋佐 オンライン配信で毎回そんなに大きい金額をもらっている訳ではないんですけど、ツーマンライブの「ピアス」では、今までではありえない額のギャラをいただきました。正確な額は言えませんが…テレビのギャラの100倍ぐらい。

屋敷 正直こんなことになるとは思ってなかったんで、本当に産業革命ですよ。コロナが落ち着いた後に、どれぐらい根付いていくのかが見ものだなと思います。

ニューヨークは5月に、無名の若手芸人たち11組と開催した無観客配信ライブ「さようなら花鳥風月ライブ」でも7500枚以上を売り上げた。このライブは、彼らのYouTubeチャンネルでの「久しぶりに、神保町よしもと漫才劇場に行ってみた」という企画から始まったもの。そこで会った若手芸人たちに話を聞くと、「先輩に挨拶しない問題」などが起きていた。それらを「花鳥風月問題」として、YouTube内でシリーズ化したところ、最終的に配信ライブへと発展した。

嶋佐 全部たまたまという感じなんですけどね。神保町よしもと漫才劇場に行ったことから始まり、そこの若手たちをYouTubeに呼んで、いろいろと不平不満を聞いていたんです。そしたら、ナイチンゲールダンスのヤスって奴が、「これをまとめてライブにして下さいよ」と言ってきた。

屋敷 そしたらちょうど、4月下旬に緊急事態宣言が出て、GWあたりのスケジュールがガバっと空いて。神保町よしもと漫才劇場のスタッフに、「神保町の若手も空いてると思うんで、やらせて下さい」みたいな流れでした。

嶋佐 でもさすがに、最終的に7500枚売れたときはびっくりしました。だって、出てるメンバー誰も売れてないですからね(笑)。

屋敷 狙ってやるのは難しいですけど、すごくいい形だなと思います。YouTubeという無料で見られるものでストーリーを作り上げ、最後はお金を払って見てもらえた。視聴者の感想を見てると、「お金を払ってお笑いを見たのは初めてです」という声も多くて。1度買ってもらえたら、払い癖がつく可能性があるわけですからね。これは大きいと思います(笑)。

無観客だと芸人が限界突破

嶋佐 無観客ライブだったというのも大きいかなと。お客さんを気にしなくていいから、芸人が限界突破できたりするんです。今回も舞台上でケンカして、キレちゃってる奴もいましたからね。逆に、スベリの向こう側にまで行っちゃうこともあるんですけど。

屋敷 これまでもそういう伝説の劇場ライブってあったんです。ただそれを見た人はわずかで、語り継がれるだけで終わってた。それが今や、あのライブが面白かったと口コミで広がり、場所と時間を超えて見られるのは革命ですよ。

嶋佐 でも、やっぱり配信でライブの楽しさを知ってもらったら、いつかは生で見てもらいたいよね。

屋敷 特に単独ライブは、同じ空間で流れのなかで見たほうが絶対いい。生ライブのほうが、配信ライブより絶対に面白いので。ぜひいつか劇場にも足を運んでほしいです。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2021年8月号の記事を再構成]

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