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Friday, February 5, 2021

【試乗レポート マツダ MAZD3】制御系の改良でスカイアクティブのポテンシャルを引き出す - Goo-net(グーネット)

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新車試乗レポート[2021.02.06 UP]

【試乗レポート マツダ MAZD3】制御系の改良でスカイアクティブのポテンシャルを引き出す

マツダ MAZDA3 ファストバック マツダ MAZDA3 ファストバック

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、マツダ

 2020年11月に改良を受けた「MAZDA3」の改良。それを見て思わずにはいられなかったのは、「マツダはどこまでマニアックなのだろうか?」ということ。改良ポイントがともかく細かいのだ。

この記事の目次

関連情報

ボディタイプ:コンパクトカー 新車

ファストバックの2Lガソリン仕様にMTを追加

マツダ MAZDA3 ファストバック マツダ MAZDA3 ファストバック

 ところでMAZDA3とは、同社の主力モデルの1台。かつては「アクセラ」、その前は「ファミリア」と呼ばれていた車種で、2019年にフルモデルチェンジを受けた現行世代からMAZDA3と改名されている。Cセグメントのハッチバック(ファストバック)とセダンで、国産車だとトヨタ「カローラ」やスバル「インプレッサ」などがライバルだ。

 マニアックなポイントのひとつめは、バリエーションの追加。特別仕様車の登場を除けば、今回の改良で追加されたモデルはひとつ、ファストバックの2LガソリンエンジンのMT車である。

 いま、日本の新車販売におけるMT比率は2%ほどと言われている。そんな状況にもかかわらず、MTを追加するのだから驚きだ。最大で2%ほどの人だけを相手にしているということなのだから。逆に言うと、その人たちを見捨てていないと言える。

 これでMAZDA3のマツダ MAZDA3 ファストバックは、1.5Lガソリン、2Lガソリン、そして「スカイアクティブX」と3つのパワートレインでMTが選べるようになった。この時代になんともマニアックな……。

マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア
マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア
マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア マツダ MAZDA3 ファストバック インテリア

中回転域からの爽快感が高まった「スカイアクティブD」

スカイアクティブD スカイアクティブD

 パワートレインにも手が入った。

 まずマツダが誇る、「スカイアクティブD」と呼ぶディーゼルエンジンだ。MAZDA3は排気量1.8Lのディーゼルエンジンを搭載するが、そのフィーリングが磨かれた。具体的には、エンジンの応答性を高めるとともに、3000回点弱から4500回転付近にかけてのトルクをアップ。ディーゼル車は低回転のトルクが太いから停止状態からの発進加速では、ググッと勢いよくスタートした後にエンジン回転が高まると加速感が鈍る感覚になりがち。そこで中〜高回転のトルクアップにより加速感の持続を狙ったのだ。

 パワーも14馬力アップしているが、実際に従来モデルと比較試乗してそれを実感することは難しかった。しかし、フィーリングや加速感の持続性は、わずかではあるが確かに向上。爽快感が高まっている。

スカイアクティブXはレスポンスを高め加速がよりシャープに

スカイアクティブX スカイアクティブX

 そして、最近のマツダを象徴するテクノロジーといえるエンジンが、「スカイアクティブX」。燃料はガソリンだが、一般的なガソリンエンジンとは異なる「火花点火制御圧縮着火」という特殊な燃焼方式を採用している珍しいエンジンだ。量産市販車への搭載はマツダが世界初であるとともに、マツダだけしか搭載していない技術。マツダは「ディーゼルのような低回転域のトルクと、ガソリン車のような高回転の伸びを両立。そして燃費にも優れる」と説明する。

 実際に運転してみると、少し排気量を増やしたような低回転域のトルク感があり、いっぽうで回転上昇のフィーリングに優れるのが特徴的。燃費は、肌感覚としては同排気量のガソリン車に比べて2割程度優れる印象だ。

 そんな「スカイアクティブX」も改良を受けた。その内容は「応答性の向上」「トルク(従来+16Nm)と出力(10馬力)を向上」、「エンジンとAT制御の最適化で加速がよりシャープに」というもの。こちらも従来モデルと新旧比較をしてみたところ、明確な違いというよりは「言われれば確かにそうかも」くらいの差。何が言いたいかというと、ディーゼルエンジンもスカイアクティブXも、大きく性能が高まった明確なバージョンアップではなく、地道な進化なのだ。そのあたりの奥ゆかしさもまた、「わかる人にはわかる」的なマニアックさではないだろうか。

車両制御技術「GVC」もアップデート

「スカイアクティブX」では、ドライブモードによって「GVC」の効きも変わるようになった 「スカイアクティブX」では、ドライブモードによって「GVC」の効きも変わるようになった

 マニアックな進化はまだまだ続く。たとえば「スカイアクティブX」搭載車に組み込まれるエアシャッター。これはフロントグリルの奥に電子制御のシャッターが組み込まれ、可能な限り閉じて空気抵抗を減らしつつ、必要に応じてエンジンルームに風を送って熱を逃がすために開くアイテムだ。今回の改良では、それをブレーキ時に車体を安定させるためにも活用したという。高速域での減速時に、エアシャッターを開いて車体前部が上に持ちあがる力をつくり、車両前部が沈み込むのを防ぐのだ。なんともマニアック。

 また、「GVC(Gベクタリングコントロール)」にも、このエアシャッターと協調制御をおこなうプログラムを追加。エアシャッターの開き方に応じて「GVC」の効きに変化をつけ、エアシャッターの開閉による操縦性への影響を相殺して自然なステアリングフィールを作り込むという。エアシャッターの開閉により5%ほど接地荷重が変化し、本来であればそれが与えるハンドリングへの影響をキャンセルするのだ。おそらく、5%の接地荷重の変化を感じ取れるドライバーはそう多くはないだろう。それで商品力が変わるとも思えない。にもかかわらず、理想を求めるのがなんともマツダらしい。ベストを尽くすというのはこういうことに違いない。

 今回は走行モード切り替えにも変化が。これまで同機能はエンジンとATの制御が切り替わるのみだった。しかし新型では「GVC」のプログラムも変化(スカイアクティブXのみ)。「GVC」がより強く効くようになり、ハンドリングのダイレクト感が変わるのだ。変化率はほんの数%。今回は走行モード切り替えのないMT車の試乗だったから体感できなかったが、これは自分のハンドリングのセンシング能力がどれだけ鋭いかを試す試金石といえるかもしれない。

 さらにいえば、今回の進化で「GVC」が切り替え可能となったことで、これまでその存在を実感するチャンスのなかった「GVC」の効きを初めて体感できることに。また電子制御サスペンションを装着していないのにスイッチ操作でハンドリングが変化するという、一般的な常識を覆す機能になっているのもおもしろい。これをマニアックと表現せず、何というべきか。

より積極的に運転を楽しめるようになった「スカイアクティブX」の4WD仕様

「スカイアクティブX」搭載車の4WD制御技術を進化させた 「スカイアクティブX」搭載車の4WD制御技術を進化させた

 そして、4WDの制御も進化している(スカイアクティブXのみ)。これまでマツダの4WDは安定性を重視する味付けで、それに変化はないのだが、最新タイプでは旋回中にアクセルを踏み込む運転に対しては「運転を積極的に楽しんでいる」とクルマが判断。後輪へのトルク配分を増やす。つまり、より曲がり、運転スキルさえあれば滑りやすい路面でテールスライドも楽しめるようなアグレッシブなドライビングができる制御へとアップグレードされたのだ。

 今回の改良は、ほとんどが運転を楽しむドライバーに向けたもの。見える部分といえば、スカイアクティブX搭載車のフロントフェンダーにエンブレムが追加された程度で、皆無と言っていい。つまり「見た目よりも中身」の進化なのだ。

 多くの消費者を喜ばせたいのであれば、見える部分を変えて新鮮さを出すのが手っ取り早いだろう。しかしそれを選ばないあたりが、なんともマニアックである。

従来からの「スカイアクティブX」ユーザーには無償アップデートを提供予定

「スカイアクティブX」搭載車両に備わるエンブレム 「スカイアクティブX」搭載車両に備わるエンブレム

 最後に、マツダの真心をお伝えしよう。今回の「スカイアクティブX」のパワートレインの改良は、機械的な変更はなく制御の煮詰めのみ。そこで、すでにユーザーの手元にある従来型のスカイアクティブXにも制御プログラムンのバージョンアップで対応するというのだ。しかも、スカイアクティブXを選んでくれた人への感謝として無償でおこなうというから驚かずにはいられない(その案内は準備が整い次第ユーザーへ通知するという)。そんなプランからも、マツダがいかに誠実にユーザーと付き合っていこうとしているかが伝わってくるのは気のせいではないだろう。

マツダ MAZDA3 ファストバック X Lパッケージ(6速MT)

■全長×全幅×全高:4460×1795×1440mm
■ホイールベース:2725mm
■トレッド前/後:1570/1580mm
■車両重量:1420kg
■総排気量:1997cc
■エンジン最高出力:190ps/6000rpm
■エンジン最大トルク:24.5kgm/4500rpm
■モーター最高出力:6.5ps/1000rpm
■モーター最大トルク:6.2kgm/100rpm
■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前/後:215/45R18

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