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Sunday, February 21, 2021

東京パラリンピックまで半年余り 増田パラ陸連会長に聞く コロナ禍でも前向く選手 - 中日新聞

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 東京パラリンピックは8月24日の開幕まで半年余り。ロサンゼルス五輪女子マラソン代表の増田明美さんは、2018年から日本パラ陸上競技連盟の会長を務め、競技の発展に尽くしている。新型コロナウイルス禍が収束せず、東京大会開催に否定的な声も広がる中、大会への思いやパラスポーツが持つ力について聞いた。 (聞き手・神谷円香)

 -会長に就任した経緯は。

 (スポーツジャーナリストとして)12年ロンドン五輪の前に選手を取材していると、練習場所にパラの選手もいて、話を聞いていた。パラの仕事も頼まれてやっているうちに連盟から話をもらった。日本でパラ陸上の大会は観客が少ない。観客を増やすことだけでも役に立てるかもしれないと思いました。

 -現役のころ、パラスポーツに関心は。

 全然。自分のことで精いっぱいで。ただ、選手時代の後半、知的障害のある子どもたちにジョギングを教えていたんですよ。障害のある人を支える方々と感性が合って。縁はあったのかな。

 -コロナ禍で多くの大会が中止となる中、パラスポーツの先陣を切って、昨年9月に埼玉でパラ陸上の日本選手権を開催した。

 連盟の理事会では「できないよね」という声が多かったけれど、選手の「やりたい」という意見を大事にした。地元の協力が大きかった。徹底して感染予防し、無観客。反省点もあります。車いすの車輪や、視覚障害選手が触る手すり、細部にわたって消毒が足りていなかったんじゃないか、とか。障害者の大会は「これでもか」とこまめに消毒をやらなきゃいけない。

 -夏の東京大会をどんな思いで迎えようとしている。

 (開催への)世論は厳しい。こんな中でやるの?というね。私たちが開催を不安がってもしょうがない。できるのは競技レベルを上げていくこと。選手は「今できるのは強くなることだけ」と精いっぱい生きている。

 -障害のあるアスリートだからこそ、社会で果たせる役割は。

 競技を見ていると、障害があるって忘れちゃう。私たちよりすごい。コロナ禍の前は、高校生や大学生が応援してくれたり大会を支えてくれたりして、義足、車いす、視覚障害の人、みんながグラウンドにいるのが当たり前で、競技場の中に共生社会があった。選手は戦う人で、それを見る側が自然に、その多様性や、不自由なところはあるけれどそうじゃないところを生かし切って競技するのを見る。得るものが大きいんじゃないでしょうか。

 -スポーツの力とは。

 五輪やパラの競技で久しぶりに試合を再開したら、自己ベストや日本記録が出た。選手たちは心のスタミナが強い。生身の体でうそもまぐれもない中で、コロナ禍に負けず頑張る姿に元気をもらえる。

 パラスポーツは社会を変える力が五輪よりありますね。いろんなことを克服しての強さがあるから。選手たちは「競技以外のことを聞かないで」と嫌がるけれど、応援する側はアスリートになる前の彼らを知りたい。なぜ義足、車いすなのか。それを越えての競技者だから、見ている人も「自分も負けちゃいけない」と思う。障害でつらいこともあるけれども今、輝いている。そういう選手たちはすてきなんですよね。

 -東京大会は無観客の可能性もある。

 無観客はつらいですよ。私は5000メートルの日本記録をものすごい応援の中で出した。観客の足拍子、手拍子に合わせていたら記録が出た。応援がないのはつらいけれど、大会をやってくれた方がありがたい。選手は無観客でもベストを尽くす。

 -来年は神戸市でパラ陸上の世界選手権もある。

 東京パラで成功し、その風を受けていきたい。神戸でまたファンを生めば、日本が変わっていくと思う。

<ますだ・あけみ> 1964年、千葉県生まれ。千葉・成田高時代から陸上女子長距離種目で日本記録を次々と樹立。84年ロサンゼルス五輪で初めて実施された女子マラソンに出場した。92年に引退し、スポーツジャーナリストや解説者など幅広く活躍。2018年6月に日本パラ陸連会長に就任した。57歳。

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