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Monday, January 18, 2021

ファッショントレンドスナップ91エルメス、ルイ・ヴィトンだけじゃない!!日本で根強い人気のフランスの老舗「パラブーツ」の魅力を探る - 朝日新聞デジタル

kukuset.blogspot.com

ファッションが好きな人に、知っているフランスブランドを挙げてみてと聞いて返ってくるのは、「エルメス」「ルイ・ヴィトン」「シャネル」の御三家のどれか。こうしたフランスのラグジュアリーブランドの多くはグローバル化され、デザイナーがフランス人ではなかったり、作っているのはヨーロッパのほかの国になっているところが少なくないようです。

そんなフランスブランドが、フランスものに興味を示さなかった20〜40歳代までを巻き込んで、令和になってから人気沸騰中だとか!? その勢いはすさまじく、フランス人も知らないようなブランドで、しかもいまだに国内生産という超レアなものが、ネットで深掘りされています。

今回取り上げる靴ブランドは、そうしたフレンチブームを作った影の立役者。このブランドを取り扱うショップに行くと男性女性入り交じり(ソーシャルディスタンスは取りつつ)ショッピングを楽しんでいる姿をよく見ます。

今回フォーカスしたのはフランスの老舗靴メーカーのパラブーツ。スナップのジェントルマンの足元はこのブランドの名作。

撮影したのは2年前のイタリアのフィレンツェでしたが、トレンドを先取りしたスタイリングはいま見ても新鮮。それもそのはず、このジェントルマンは元ビームスの敏腕バイヤーで、現在はシンガポールにあるコロニークロージングのクリエイティブディレクターになった高田朋佳(@tomoyoshi_takada)さん。彼はインスタグラムのフォロワーが8万人を超えるメンズファッションのインフルエンサーで、彼のチョイスしたアイテムは、アジアだけでなくヨーロッパでもヒット商品になると言われているほど。

足元のクローズアップがこちら。かなりソールが厚く、つま先が丸く甲の部分はかなりユニークなデザインですね。それもそのはず、この元祖はヨーロッパの山岳地方で履かれていたチロリアンシューズと呼ばれるもの。それをパラブーツがアレンジして売り出したのがこの「ミカエル」というモデル。

ポイントは、甲の部分に毛付きの革を使っているところ。ジェントルマンの左足を見ると毛がもこもこと盛り上がっているのがよくわかると思います。こんな靴はほかにほとんどないのですぐにパラブーツとわかります。

パラブーツの創業は1908年。アルプス山脈の麓(ふもと)の小さな村でスタートし 、後に自社でブラジル産のゴム(ラテックス)を使ったラバーソールを靴底に使うというアイデアが大ヒット。

当時の靴は、ほとんどが革の底でそれが高級品と言われていた時代。そんなときにアメリカで流行していたスポーティーな底材を採用したのはかなり革新的な出来事だったようです。当時の衝撃は、きっと現代の革のドレスシューズにスニーカーソールをつけたというくらいのインパクトがあったはず。

そしてその革新的な靴はフランスで大ヒットし、作業靴やハンティングブーツ、スーツに合わせるドレスシューズにまで広がることに。

現在の本社機能は創業地近くのサン=ジャン=ド=モワラン(グルノーブル近郊)に集約され近代的な工場に変わっていますが、その中ではいまだに創業当時のハンドメイドの技術がきちんと継承されています。

日本では1980年代半ばにフレンチアイビーが流行したときにメジャーデビュー。きっかけとなったのが当時エルメスで販売されていたチロリアンシューズ。実はこの靴はエルメスがパラブーツに別注をかけたものだったのです。その影響で、それまで武骨な登山靴だったものが、いきなりファッションの表舞台に出ることに!!

こちらは現在購入することができる、高田さんが履いているのと同じデザインの「ミカエル」。昔は甲の材質がアザラシでしたが、現在はそれ以外の革に替わるっていて写真上のものはポニー。

「ミカエル」の特徴は、登山靴由来の分厚いラバーソールとアッパーとを縫い合わせる昔ながらのノルヴィージャン製法。この製法はとにかく丈夫で、ワックスを塗り込めば多少の雨や雪もへっちゃら。ただし底がレザーのダブルソールだったりすると、足になじむのに数年はかかってしまう頑固者という一面も。

こちらは、「ミカエル」の兄弟分の「ランス」。ローファーのデザインで甲はミンクの毛皮がついています。「ミカエル」に比べてなじみのあるデザインなのでコーディネートはこちらのほうが簡単。

今回のジェントルマンのコーディネートの再現がこちら。靴はローファータイプの「ランス」を使用。やっぱり、こちらのほうがなじみがいいですね。

コーディネートのポイントは2つ。ひとつは上半身をネイビー&ブラックでまとめること。もうひとつは、コートの下にはメタルボタン付きのブレザーにしていること。ここにキラッと光るボタンを入れることで、上半身のモノトーンコーディネートがキリッと引き締まります。

とてもシンプルなコーディネートですが足元をパラブーツにすることで、フレンチトラッド感をほんのり漂わせたトレンディーなスタイリングが完成します。おしゃれは足元からと昔から言われていますが、靴で全体の雰囲気が変わるといういい例ではないでしょうか。

掲載した商品はすべて税抜きです。


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プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに
通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな
しを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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