大阪市を廃止して4特別区を新設する「大阪都構想」の賛否を問う2度目の住民投票が12日、告示された。前回の住民投票では僅差で否決され、維新の創始者、橋下徹氏が政界引退に追い込まれた。今回、橋下氏の盟友松井一郎大阪市長(56)が反対多数なら政界引退を明言。新型コロナウイルス対策で一躍、全国区になった吉村洋文知事(45)の人気で当初は勢いもあったが、直近の調査では反対派が急追している。結党10年の維新。最大の正念場だ。投開票は11月1日。
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維新の聖地でもある大阪・なんばの高島屋前。吉村氏がマイクを握ると、拍手が起きた。「この場所に立てることをうれしく思います」。一瞬、高揚感が漂ったが、すぐに気持ちを切り替え「大阪府、大阪市の二重行政をやめる。それが大阪の成長につながる。大阪の未来に1票をお願いします」と、支持を訴えた。
都構想の住民投票は15年に続いて2度目。前回は僅差で否決され、橋下氏が政界を引退した。「維新、都構想ともに終わった」と言われたが、松井氏や吉村氏が2度のダブル選で勝利し、再度の住民投票にこぎ着けた。前回反対した公明党は「民意が示された」と賛成に転じ、この日は維新と合同で街頭演説を行った。
維新側は前回と比べ、手応えを感じている。原動力は「吉村人気」だ。新型コロナ対策でのリーダーシップが高く評価された。3月末に30万人だったツイッターのフォロワー数は109万人を超えた。維新は前回の住民投票で反対多数だったエリアを重点区に指定。吉村氏や松井氏を投入し、理解を求める構えだ。
否決なら松井氏は政治家引退を明言。吉村氏は続投するが、求心力低下は避けられない。一時、10ポイント以上あった反対派との差はじわじわ縮まっている。看板政策が2度否決されれば、まさに維新の「おしまいDEATH!(デス)」。維新と関係良好な菅政権の施策にも影響を与える可能性がある。【松浦隆司】
◆大阪都構想 府知事と市長を務めた橋下徹氏が10年に提唱。政令指定都市の大阪市を廃止して東京23区と同様の特別区に再編する構想。成長戦略など広域行政を大阪府に一元化し、特別区が住民サービスを担う。賛成多数なら大阪市は25年1月1日に廃止される。政令指定都市が廃止されれば1956年の制度創設以来、初めて。今回の住民投票は「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4特別区への再編案が対象。府の名称は維持され、「大阪都」への変更には法整備が必要。
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