ハノイに到着し、真理子夫人(右)と共に出迎えを受ける菅首相(18日)=共同
【ハノイ=安部大至】菅義偉首相は18日、就任後初の外国訪問となるベトナムに到着した。ビジネス目的の短期出張者らの往来再開を調整する。インドネシアも訪れ、中国への対応を念頭に置く「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた連携を確認する。
出発に先立ち羽田空港で記者団に「東南アジア諸国連合(ASEAN)は『自由で開かれたインド太平洋』の実現に極めて重要なパートナーだ」と語った。
「地域の平和と安定に貢献する決意を国の内外にしっかり示したい」とも述べた。新型コロナウイルスの収束や経済回復に向けては「協力関係をしっかり結んでいきたい」と話した。真理子夫人も首相に同行する。
首相は19日、ベトナムのハノイでフック首相と会談する。短期出張者の往来について、新型コロナウイルスの陰性証明や現地での行動計画の提出を条件に入国後2週間の待機を免除する方向で調整する。対象とする出張期間は90日以内の範囲で詰める。
合意すればシンガポール、韓国に続き3カ国目となる。出張者は入国直後から活動できるようになる。日本とベトナムの企業駐在員や長期滞在者の行き来に関しては入国後2週間の待機を条件に再開済みだ。
首相はハノイで日本のASEAN外交について演説もする。ベトナムは今年のASEAN議長国で、11月に予定する東アジア首脳会議(EAS)に一定の影響力を持つ。
ASEAN最大の人口を有するインドネシアへは20日に移動し、ジョコ大統領と会談する。安全保障分野の協力やコロナの感染対策を巡り意見交換する。
首相は今回の訪問で、安倍晋三前首相が掲げたインド太平洋構想を継承する姿勢を対外的に示す。中国が軍事拠点化を進める南シナ海に近い東南アジアは構想実現へ要の地域となる。民主主義や法の支配などの重要性を訴える。
コロナの感染拡大後、日本の首相が外国を訪れるのは初めてだ。感染対策のため同行者の人数を減らした。現地でも接触を絞り、日本出発前や帰国の際などにPCR検査を受ける。陰性が確認されれば帰国後2週間の待機は免除される。
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