◆高橋晋平の憂鬱な月曜日を楽しくする研究会
日本には、休日明けの月曜が嫌いな人が多すぎる……。その現状を改善するため、月曜日を楽しくしたい人のコミュニティ「月曜クラブ(通称:月ク)」が立ち上がりました。この連載では、月曜日の憂鬱を減らし、一週間を楽しく過ごす方法を研究、紹介していきます。
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今回は、とある仮説に対する検証記事です。
月曜が嫌い、つまり会社に行くのが嫌になってしまうビジネスパーソンは、日頃から、褒められることが少ないのではないか。人は、褒められるだけで活力や幸福感を得られ、月曜の憂鬱を少し減らすことができるのではないか。それを検証するために、月曜クラブのメンバーに集まってもらい、Zoom飲み会を開催して、ひたすらお互いを褒め合ってみました。
【メンバー】
写真左上から時計回りに
北井さん(ヘルスケア関連)
高橋(この記事の筆者。起業家だが月曜が大嫌い)
岡島さん(メーカー)
橋本さん(編集者)
※個人のプライバシーのため、参加者は仮名・顔隠し
ペットのお世話を褒める
高橋(筆者):明日は僕たちが大嫌いな月曜ですが、今日は実験として、とにかくお互いを褒め合ってみたいと思います。まず、どなたか、最近あったことを適当に話してみて欲しいんですが。
岡島:私、小動物を飼ってるんですが、ここ数か月の在宅リモートワーク期間で一緒にいることが多くなって、前よりもお世話する時間が増えましたね。例えば、「この子、おなかの調子が悪いのかな?」と思ったら、胃薬をあげたりとか、アプリで記録を付けて体調管理したりとか。
橋本:素晴らしい! そんなに愛情深い人の話聞いたの初めてです!
岡島:えっ…、そうですかね? 子育てとかしてる人の方が100倍すごいと思いますけど。
橋本:動物に人並み以上の愛情注ぐって、僕には多分できません。
高橋:しかもアプリで体調管理って…、ただでさえ容量少ないスマホにわざわざアプリ入れること尊敬です!
橋本:だいたい、ペット飼ってる人って、やたら写真撮るじゃないですか。それって、インスタに上げたりするために、いい角度とかを必死に探して撮ってるんですよ。そんな中、胃薬って、別に「映えない」わけですよね。「映える」とか考えることもなく、ただ純粋にお世話するって、現代人が失い切った、本来人間のあるべき姿ですよ。
北井:現代は人も社会も疲れているし、自分のことで精いっぱいで、なんなら月曜に自分がお腹痛くなってるはずなのに、まずペットに胃薬あげるって、すごすぎて言葉にならないです。
高橋:それって、ペットに向かって矢が飛んで来たら、自分が当たりに行って守るってことですよね。
岡島:たしかに…、矢が飛んで来たら、私が当たりに行くくらい愛情あるかもです。
橋本:ええ!! マジですか? 小動物って、面積小さいから、矢が当たる確率なんて低いわけじゃないですか。それを当たりに行くって…(絶句)
北井:女神って感じです。
岡島:…何だろうこれ! 嬉しいんですけど、こそばゆいというか、なんか今までにない感覚です。ちょっと他の方にも「褒めのシャワー」を体験してみて欲しいです。
自炊を褒める
高橋:じゃあ次、北井さん、最近何かありましたか?
北井:私、今まで全く料理をしなかったんですけど、自粛期間で家にいるようになって、料理をしたんです。
岡島:何作ったんですか?
北井:目玉焼きです。
岡島:え! 私目玉焼き大好きです。
橋本:俺も好きです!
高橋:僕もです。
岡島:ちなみにどんな感じで焼くんですか?
北井:黄身が半熟、くらいで…。
高橋:それって、焼くときにタイミング見てるってことですよね。このくらいで止めよう、みたいな。
北井:はい。
高橋:マジかよ…、だって現代人って、目玉焼き焼くとすると、焼いてる途中に絶対スマホとか見ちゃうじゃないですか。なんかの通知来たとか言って。それを、目を離さず目玉焼きのタイミング見てるって、人間力高いですよ。
岡島:それで、もし火にかけたまま30分くらい放置しちゃったら火事になるじゃないですか。それを見守っていられるっていうのは本当に偉いことだと思います。
橋本:料理って、火とか包丁とかめっちゃ危ないの使いますよね。そのリスク取るってすげーわ。フライパンだって凶器だし。
岡島:タイミング見て自分が一番好きな半熟加減で食べるって、ストイックでありつつ快楽主義で素晴らしいと思います。
高橋:ちなみに、次に挑戦したい料理ってあったりします?
北井:次ですか? ないです。
高橋:ない!? どんだけ目玉焼きにストイックなんだよ!
岡島:ご飯は炊いてるんですか?
北井:炊いてないです。レトルトでチンしてます。
橋本:逆に尊いわ。
北井:でも、みそ汁作ってます!
一同:えぇ!?
高橋:何だこの振れ幅。ご飯炊いてないのに、みそ汁って、ディズニー映画かよ。感情がついていかない。
橋本:みそ汁まで作るって、北井さん絶対仕事できますね。俺、車の免許持ってたんですけど、失効しちゃったんですよ。更新の案内のハガキ捨てちゃって。気づいたら免許を1年前に失効してて。で、もう免許永遠にいらねえかな、みたいになったんですけど、そんな自分からしたら、北井さん絶対仕事できますね。
岡島:これ終わったら絶対目玉焼き丼食べます!
北井:皆さんありがとうございます。いや、なんだろう、これだけ褒められると、すごい感覚になりますね…!
アプリを使っていることを褒める
高橋:橋本さんは何かありますか?
橋本:最近自粛期間で運動不足なんで、コカ・コーラのアプリ使って歩いてるんですよ。で、あと4つくらいスタンプがたまると、ジュースが1本もらえるんです。
高橋:それって、自販機を見つけたらたまるんでしたっけ?
橋本:いえ、歩くだけなんですよ。歩数でスタンプがたまるんです。
岡島:それって、歩くだけでお金を稼いでるってことですよね!? そんな人います? 私なんて、移動したって電車賃とられるだけです。
北井:普通の人は移動してお金を取られてるのに、移動してお金を生み出してるんだ!
高橋:それでコーラ手に入れたら、飲みますよね。
橋本:まあ、飲みますね。
高橋:ということは、自給自足ってことですよね!! 動いて自ら栄養作る。
北井:永久機関だ!
岡島:存在するだけで生き続けられるって、すごいシステム…。
橋本:…これ俺がすごいんじゃなくて、コカ・コーラがすごいんじゃないですか?
結局、褒められてどうだったのか
高橋:皆さん、褒められてどうでしたか?
橋本:確かに変な気持ちになりますね。何だろうこれ。
岡島:嬉しいんですけど、正直、どうしていいかわからなくなるっていう感じで。
北井:会社だと、誰もあまり人を褒めないじゃないですか。今、なんか素直に喜べない気持ちになったのは、褒められ慣れてないからじゃないでしょうか。
橋本:現代社会って、何でもできて当たり前っていう、意地の張り合いな気がするんですよ。でもみんな、私だって結構頑張ってるよって言いたいはずで、多分それが許されるきっかけを待ってるんです。もし誰かが、どんなことでも褒められていい、っていう風にゲームチェンジしたら、変わると思います。
高橋:まず、僕ら「月曜イヤイヤ族」が率先して周りを褒め始めたらいいのかな。
岡島:私、コロナ禍の中であまりにもしんどくて、ある時から自然に、自分で自分を褒めるようにしてたんです。「ちゃんと起きて偉いね!」「仕事して偉いね!」って。それまでは、「なんで私こんなことできないんだろう」って自己嫌悪になることが多かったんですけど、無理やりにでも自分を心の中で褒めてみたら、「なんでこの企画書に何時間もかかったんだろ」っていうのが、「この企画書を数時間で作れるってすごくない?」って思えてきたんです。
橋本:これ、すごいポイントだと思います。日本って、褒めるのが難しい文化で。例えば外国人って、街ですれ違う時とかに「その服似合うね」とかさらっと褒めて、こっちも嬉しくなるじゃないですか。でも、それが日本人だとしたら、なんかちょっと怖く感じません?
北井:確かに!
橋本:俺も、会社で周りの人を褒めようとしても、若い女子とかを褒めたら、当人にも周りにも、「気持ち悪い」と思われるかもしれないんです。社会がそうなっちゃってる。だから、まず自分を褒めてみるって、ノーリスクですよね。
岡島:本当そうですね。褒める練習にもなって、褒められる練習にもなる。
橋本:昔の上司で、「この人褒めるのが上手いな」と思った人がいて、その人は、ちょっとずれたところを褒めていたんです。「あなた、声が大きくていいね!」とか。「そこ褒める?」って思って、でも嬉しかったんです。その、「そこ褒める?」っていうところから褒めるのがいいんじゃないかなって、今日Zoomでとにかく褒めるってことをしてみて思いました。
高橋:その話、正しい気がします。僕らはまず一斉に、自分のことを何でも褒めるっていうことをしていけばいいんだと思います。みんながそれをやって、その延長で、少しずつ他の人を褒めていけば、生きやすい世の中になるんじゃないでしょうか。
【聞き手】
高橋晋平(たかはし・しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。この世のすべてを「遊び化」することを考え、月曜日を楽しくする方法の研究もしている。全国で講演活動も。近著に『企画のメモ技』(あさ出版)。Twitter : https://twitter.com/simpeiidea
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June 29, 2020 at 05:02AM
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