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Thursday, May 28, 2020

弟が兄を追い越してしまうのが怖かった頃…次男と僕のフクザツな話 - 読売新聞

 長男の洋介と次男とは2歳違い。洋介が3歳で医師から自閉症だと告げられたとき、次男はちょうど初めての誕生日を迎えたころだった。精神科医の話を聞く間、妻に抱っこされてむずかっていたのだが、それを見た医師に、

 「今に、この子が追い抜いてしまいますよ」

と言われたことは、初回のコラムに書いた。

 医師としては、わが子の問題に対し、あまりに感度が鈍い両親の目を覚まさせようとした一言だったのかもしれない。しかし、僕らにとっては、とても残酷な言葉だった。

弟が兄を追い抜いてしまうのが怖かった頃…次男と僕のフクザツな話

イラスト:森谷満美子

永遠に来てほしくなかった「その日」

 透明な壁に阻まれるかのように、言葉の発達が止まってしまった洋介。それに比べ、次男の成長は順調だった。洋介のときは、寝返りをうつのも、ハイハイするのも、親がありとあらゆる手を使って助けなければならなかった(結局、ハイハイはできなかった)。それが、次男に関しては、いつできるようになったのか記憶にないくらいだ。

 今振り返れば、医師の言葉の通りになるのは時間の問題だった。しかし、まだ洋介の障害について受け入れられなかった僕は、その日が永遠に来てほしくないと思っていた。

 そして、次男がすくすくと成長していくのを見て、うれしく思う反面、どこかで恐怖心を抱くようになってしまっていた。同じおもちゃで遊んでいる3歳の洋介と1歳の次男を眺め、ある時、「2人とも、このまま大きくならなければいいのに……」と考えている自分に気づいた。

いつの間にか立場が逆転し

 障害のある人のきょうだいが、成長するにつれて様々な葛藤を抱えることは、よく指摘されている。きょうだいへの心理的なサポートが必要な場合もある。現在、洋介が通っている福祉事業所でも、保護者から「きょうだいが集い、支え合える場を」という要望が上がっているところだ。わが次男も、多かれ少なかれ、障害のある兄がいることに、強い影響を受けてきたように思う。

 なんとなく、立場が逆転したのは、ともに同じ幼稚園に通っていた頃だろうか。しばらく前までは、スーパーなどで次男が迷子にならないよう、洋介に手をつながせていた。それが幼稚園では、“失踪”した洋介を先生たちが焦って探しているところへ、次男が洋介の手を引いて現れたこともあったそうだ。

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