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Friday, April 10, 2020

週末にイッキ見しよう!4月13日(月)までFODで無料配信中『東京ラブストーリー』(1991) - フジテレビュー!!

<試写室>恋愛だけでエンターテインメントを持続させることができた名作

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)

織田裕二と鈴木保奈美が出演する 『SUITS/スーツ2』(4月13日スタート)や、伊藤健太郎主演でドラマ化(この春FODで配信)されるとあって、再び注目が集まっている『東京ラブストーリー』(1991年)。

29年前の作品なので生まれていない人も多いし、見ていた人も小田和正の主題歌 「ラブ・ストーリーは突然に」 や、「カーンチ!」「セックスしよ!」といった名台詞の印象ばかりが先行してしまって、『東京ラブストーリー』という作品のどこにかつて人々は熱狂したのか?ちょっぴり忘れてしまっていると思います。

そこで、ちょうど今、FODで期間限定無料配信中(~4月13日23時59分)ということもあるので、『東京ラブストーリー』の魅力を改めて検証してみたいと思います。

魅力①恋愛純度99.2%

FODで配信中の『東京ラブストーリー』(1991年)

『東京ラブストーリー』(以下、「東ラブ」)は“ラブストーリー”と銘打っているだけに、“ほぼ”恋愛絡みで物語は進行していきます。どのぐらい“ほぼ”なのか?あまりにも潔く恋愛のみで進行していくのでちょっと計算してみたんですが、恋愛に関係がなかったと思われるのは、第1話のたった1シーンのみ。

主人公のリカ(鈴木保奈美)とカンチ(織田裕二)が勤務するスポーツ用品メーカー「ハートスポーツ」(※)が主催する発表会に“新作ウェアが届かない!危機一髪!!”のたった約4分間だけなんです。無駄にパーセンテージも出してみると、全体の0.8%(FODでの配信時間で計算、46分×全11話=計506分の内の4分間)、つまり99.2%が恋愛話という驚異の超高濃度なのです。

しかも、関係ないと判断したその4分間も、制限時間に間に合うか!?というスリリングさの中に、リカの危機回避能力や、カンチの仕事に対する考え方が垣間見えて、二人ともそれなりに仕事は出来て、恋愛脳じゃないのに、それによって互いの理解を深め合うという描写がさりげなく挿入されているのです。

そして、普通のドラマであれば、危機一髪のオチである“発表会大成功”のシーンは描かれて然るべきですが、新作ウェアが時間ギリギリで間に合ったその途端、リカがカンチに「方向音痴ッ!」と言いながら笑いあってフィニッシュという潔さ。新作ウェアが届こうが届くまいが、リカとカンチの二人の心模様さえ描ければそれでいいのです。その潔さがあったからこそ、多くの視聴者が恋愛の動向のみに集中でき、共感し、熱狂したんですよね。またそれは、恋愛だけでエンターテインメントを持続させることができた、とも言えるのです。

そもそも99.2%という数値に疑念がある方、是非ご自分で確認してみてください。間違ってないですよ。きっと。多分。

※「ハートスポーツ」は、13年後の2004年に放送された織田裕二主演の『ラストクリスマス』(FODで配信中)にて再び登場します。なぜなら脚本とプロデュースが「東ラブ」と同じ坂元裕二先生と大多亮プロデューサーで、ラブストーリーだからです。

魅力②キャラ萌えじゃない

「東ラブ」が恋愛純度ほぼ100%ですごいのはもちろん、その恋愛模様も、リカとカンチ、三上くん(江口洋介)と、さとみ(有森也実)という、主要4人だけでほぼ展開していくんだから余計すごいんです。途中、よくある新キャラの恋敵が現れて関係を掻き回してみたり、縦軸にミステリーを配してそれを解決させたり、職場などのステージを変えて急展開させ…というそういう要素をまったく持ち込まないんです。

また、その恋愛描写は、俳優たちのかっこよさやかわいらしさで視聴者をウットリさせる=キャラ萌えの要素がないという点も重要です。もちろん、奔放なリカや優柔不断すぎるカンチなど、キャラクターは面白いし、鈴木保奈美も織田裕二もとっても魅力的ではあるんだけど、決してキャラクターショーにはせず、ウットリするキスシーンや、気の利いたかっこいいセリフを吐く、みたいな胸キュンのみで物語を突破していく演出先行のサービスカットが一切ないんです。

それぞれの心情に従ってキャラクターは動き、思いのままを言葉にしてドラマは展開していくので、当時の鈴木保奈美や織田裕二を知らない、「東ラブ」知らない世代も、物語の吸引力だけで楽しめる恋愛ドラマになっているはずです。

Apparel, Clothing, Jacket

魅力③「ラブ・ストーリーは突然に」いつかかる?

「東ラブ」を鑑賞する上で毎回気になるのが、主題歌である小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」がいつかかるのか?問題。各話の終盤、必ずここぞ!という瞬間に、あのチャカチャーン♪から始まるイントロが流れ、そのたんびに、わかってるはずなのに、心を鷲掴みされます。この時代のドラマなので、主題歌はオープニングのタイトルバックで一通り流してはいるんだけど、主題歌があまりにもドラマと一体化しているせいで、何回流してもしつこくないし、各話、絶対に間違いない瞬間に流れるので、その間違いなさを体感したくて、いつ「ラブ・ストーリーは突然に」がかかるのか?待ちきれなくてたまらなくなるのです。

そしてなんと第9話では、開始5分後のタイトルバック、21分後、43分後に流れるという大サービス。だけどね、それがまたしつこくない。だってもう絶対間違いないんだもの。そしてお分かりでしょう?第9話はもうドラマチックが止まらないんです。最終回へ向けてのエンジンが「ラブ・ストーリーは突然に」がかかる毎に加速していくのです。

魅力④立ちはだかる“さとみ”

ケータイが普及したことによって “障害”が出来ず、恋愛ドラマが作りづらくなったという昨今。もちろん「東ラブ」は1991年のドラマなのでケータイは登場しないし、ポケベルだし、なんならナンバーディスプレイもない時代なので、それによる弊害で会えない、すれ違う事態が度々勃発します。

しかし「東ラブ」に立ちはだかる最大の障害は、すべて“さとみ”。さとみはカンチの初恋の相手で、三上くんとカンチの間で行ったり来たりするんだけれど、もうこのさとみの障害バリエーションがすごい。毎回、あの手この手でカンチを惑わし、リカとカンチが付き合っていることを知っても惑わし、一度、あまりにも自分が障害になっていると気付き自重するんだけど、それもほんの束の間、自重したことで弊害を起こすさとみ、やっぱり自重なんかできやしない!とタガを外すさとみ、暴走したあとにすべてをぶちこわすさとみ…と、さとみの障害七変化なんですよ。

しかもさとみは計算でやってない、無自覚だからたちが悪く最強なんです。当時、このさとみというキャラクターに対してバッシングがものすごかったと聞くけれど、役と本人の分別がより出来るようになった現代で見ても、やっぱりさとみの障害は時代を超えてくる破壊力があります。

Human, Person, Hand

魅力⑤「カーンチ!」3段ズームのサンドイッチ

第1話のラスト、このドラマを見たことがない人もきっと知っているに違いないあの名シーンが待ち受けています。リカが「カーンチ!」って叫ぶ、あのシーンです。しかも、「カーンチ!」と声が聞こえた瞬間、小リカ→中リカ→大リカという同ポジ3段ズーム。

このシーン、何度か断片的に見たことがあるような場面だし、ドラマを見ていてもリカがあまりにもハイテンションなのでかなり面食らう…っていうかすごく恥ずかしくって、ちょっと笑っちゃうんですよ。だけど、まさかそのシーンは最終回でも再現されていて、第1話では恥ずかしいと思った「カーンチ!」3段ズームに…泣くんです。

恥ずかしくてたまらなかったあの演技が、あの演出が、実は最終回の大きなフリだったんです。だから、第1話で感じた印象を必ず覚えておいてください。それが最終回まで見ていくと、同じシーンでも、受ける印象が全く真逆になるのです。その見事な初回と最終回のサンドイッチ。美しく計算された演出に感動します。

『東京ラブストーリー』の織田裕二と鈴木保奈美

最大の魅力は「結末」

最後に「東ラブ」最大の魅力は、結末にあります。それをまだ知らない視聴者は是非、これから自分の目で確かめてみてください。きっと見終わった後に「東ラブ」が語り継がれる名作たる所以がわかるはずです。

また結末を知っている方も、もう一度見直してみて下さい。第1話開始1分でリカが登場するんですが、その瞬間からもう切なくてたまらなくなります。むしろ知っている方が、このドラマをより深みをもって見られるかもしれません。リカはどんなときでも悟っているように見えるし、カンチはどんなにリカを思っていてもその先にいるさとみを見ているんですよ。その奇跡のようにかみ合った物語と演技に、改めて「東ラブ」すごい、と実感するに違いありません。

見終わった後に…

「東ラブ」の後に是非見てもらいたいのが、脚本・監督・主題歌が共通している、坂元裕二脚本×永山耕三監督×小田和正主題歌の『それでも、生きてゆく』(瑛太主演、FODで配信中)。

「東ラブ」から20年後、2011年の作品で、同じクリエイターでもここまで違うものが出来上がるのかという驚きと、またその逆で、テーマやテイスト、キラキラとしたラブストーリーではないけれど、「東ラブ」に共通する世界観をいたるところで発見することができます。そういえば、この作品のこの二人の結末も「東ラブ」と同じだし…。

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April 11, 2020 at 08:37AM
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