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Sunday, March 8, 2020

福島第一原発の汚染処理水の海洋放出の知られざるリスク「サンデーモーニング」が指摘した“不都合な真実”(水島宏明) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

 2011年に原発事故を起こして廃炉作業が続く東京電力・福島第一原発。その後も処理した水を貯めるタンクが溜まり続けて敷地がいっぱいになり、今後の課題として「海洋放出」するのかどうかという検討が行われていることは筆者もその後の報道で知ってはいた。ただし、その場合に「海洋放出」されるのは、あくまで処理がきちんと進んで「無害化された水」だとばかり思い込んでいた。

 ところが本当に「無害化された水」ばかりなるのかどうか、疑わしいのではないか?

 そう考えたのは3月8日(日)のTBS「サンデーモーニング」の東日本大震災特集を見てからである。

 東日本大震災と原発事故から9年経ち、第一原発の処理についての報道はかなり断片的なものになっている。それゆえ、細かい状況について知っているつもりで知らないことが多い。

廃炉作業が高線量区域の存在などで難航していること

 これについてはニュースなどで断片的に知っていたことなので驚きはなかった。

 驚いたのは以下の点だった。 

海洋放出が検討されている福島第一原発の汚染処理水が現在は規制基準を超えるものが多いこと

 2019年9月原田義昭環境相(当時)が記者会見で「他にあまり選択はない」と述べたことや今年2月10日に国の専門家会議が“海洋放出”を優先する提言を行っていて今は政府がいつ決断するかという段階だという。

 

 福島第一原発には1000基の巨大なタンクが並ぶが、デブリ(溶けた核燃料など)の冷却で毎日発生する汚染水を「浄化処理」して貯めていたが、2020年夏には満杯になる」と試算している。汚染水処理は事故後に開発されたALPS(アルプス)という多核種除去設備だ。特殊なフェルターでほとんどの放射性物質、つまり62種類の放射性物質を除去する、というのが東京電力の触れ込みで筆者自身も何度か実際に取材で見たことがある。

 ところがこの日の「サンデーモーニング」は筆者が知らなかった事実を伝えていた。

タンクに貯蔵された処理水の汚染度には「大きなバラつき」がある

 1000基のタンクのうち「J1−D」と呼ばれる9基のタンク群の中にある処理水は、ストロンチウムなどが排水基準を1万4000倍も超過しているというのだ。人体の骨などに残りやすい有害がストロンチウムなどがフィルターの不具合で残ったためだという。

 断片的な新聞記事や日々のテレビニュースではたまにストロンチウムが処理できないことまでは報道しても、それが「フィルターの不具合」によるものだったということはこの「サンデーモーニング」の報道で初めて知った。

 東京電力の担当者は番組の取材に以下のように答えている。

(東京電力 廃炉コミュニカーションセンター・木元崇宏副所長)

「最初の頃、ALPSを稼働させていろいろトラブルがありましたけど、トラブルがあった頃の水もたまっているのできれいになりきれなかった水がたまっているものもあります」

規制基準を上回る汚染処理水は今も全体の7割 

 番組では処理された汚染水が規制基準の内にあるかどうかをグラフ化して示した。すると処理後も基準の100倍以上というものもあり、全体で7割が規制基準を超えていることがわかった。

 これに対して、国や東京電力の説明は以下の通りだ。

(国・東京電力)

「ALPSではトリチウム以外の放射性物質は除去できる」

「トリチウムは生物への影響も小さく、国内外の原子力発電所でも海洋放出はしている」

 こうして説明されてきたので、筆者の認識もそうした程度にとどまっていた。トリチウム以外は問題はないのだろうと。

 ところが番組では「(汚染処理水に)トリチウム以外の物質が含まれていることが明かになったのは一昨年になってからでした」と説明して、2018年8月に東京で行われた専門家会議の公聴会のVTRを映し出した。

(公聴会で発言した女性)

「トリチウムだと思ったら、トリチウムじゃない水だった。そういうことでもう・・・この公聴会、前提がおかしいです。やり直してください。以上です」

 この発言の後で「そうだ!」という同意する声と拍手が聞こえたのでそう考えたのは彼女だけではないのだろう。

 VTRのナレーションは「こうした事態は国の専門家会議でも問題になりました」と説明し、専門家会議での発言も紹介された。

森田貴巳氏(水産研究・教育機構 中央水産研究所)記事録より

「国民をだまそうとしているんじゃないかと一般の人に思わせてしまった」

 東京電力の廃炉責任者は番組の取材に対して、説明不足を謝罪したものの処理水を再浄化することはできると話す。

(東京電力 福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント)

「そういうこと(海洋放出)を国の方向性として出てくるなら、それがそれで我々は環境に出すための基準を満足するやり方をとる必要があると思っていますし、それは十分、これまでのALPSの実力からしても十分できることだと思っています」

 この後、VTRは風評被害の打撃を受けている漁業関係者の不安な声を紹介して終わっていた。

ALPSが除去する実力がなかったことでたまってしまった、基準以上の危険が残ったままの汚染処理水

それでもALPSは基準を満たす除去の実力があるとする東電・国

 海洋に流してしまう前にもっと検証して議論すべきことがあると、この日の「サンデーモーニング」の特集は教えてくれた。

 日本人にはどうも「細かい話」に目をつぶってしまう癖がある。

 スタジオに出演した鈴木達治郎氏(長崎大学教授・元原子力委員会委員長代理)が以下のようにコメントしていた。この言葉は肝に銘じたい。

「透明性と信頼性ということを言いたい。データが本当は処理されているはずだったのが処理されていないことが後でわかった。これが信頼をなくしている。だから常に第三者機関をつくって監視するシステムをつくってほしいと私も言ってきたが、それが実現していない」

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March 09, 2020 at 10:12AM
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