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Wednesday, February 26, 2020

急増するファスト・ファッション、廃棄物は減らせるか? - ナショナル ジオグラフィック日本版

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デンマークのコペンハーゲンに新たに完成した焼却施設には、2万2000トンのごみを貯留するピットがある。ごみのエネルギー転換が可能な焼却は埋め立てよりましだが、循環型経済が目指すのは「ごみゼロ」の世界だ。PHOTOGRAPH BY LUCA LOCATELLI

 自分のクローゼットを見て、それを実感する人も多いだろう。2000~15年まで、世界の人口は2割増えただけだが、衣服の生産量は2倍に増えた。安価な「ファスト・ファッション」が人気を呼んだためだ。価格が安いため、買った服を着る回数は2015年までに平均で3分の1減ったという。その年に世界全体で捨てられた衣料品は、49兆円以上に相当する。

 そこで、古着のリサイクルに取り組む組織、ブール・グループを率いるヨリック・ブールに話を聞いた。オランダ南西部のドルドレヒトを拠点に、ベルギー、フランス、ドイツなどに5カ所の工場があり、合わせて1日に最大415トンの古着を選別し、リユースとリサイクル用に売っている。

「古着をどこに売って、リユースできるかは経験を積まないとわかりません」とブールは話す。彼の後ろにある窓の向こうに、慣れた手つきでベルトコンベヤーから古着を取る女性の作業員たちが見える。1点ずつ素早く調べては、60個ほどある袋に分けて投げ込み、1日に1人当たり約3トンを処理するという。選別作業にはファッションの知識が必要で、特に全体の5~10%を占める最も上質な服を見抜けなければならない。そうした古着が利益の大半をもたらす。

ファスト・ファッションに阻まれるリサイクル事業

 ブール・グループの最大の懸念は衣料品事情の大きな変化だ。現在は収集した古着の6割を販売できている。古着が回収され、着続けられるのは、地球にとって望ましい。服作りに使われた素材やエネルギーが、そのまま受け継がれるからだ。それがブールの収入にもなる。

 残りの4割、誰も欲しがらない古着は工場などで使われる雑巾としてリサイクルされるか、細断されて断熱材やマットレスの詰め物に使われ、一部は焼却される。最近は安っぽい擦り切れた品物の割合が増えつつある。こうした古着はほぼすべてグループに損失をもたらす。ファスト・ファッションのせいで、事業を継続できなくなるかもしれないと、ブールは言う。

 しかし、リサイクル事業のなかでは、それなりの収益を上げている分野もある。ブールは長年、セーターなどウールのニット製品をイタリア北部プラートの複数の会社に売却してきた。これらの企業は機械を使ってウールをほぐし、長い繊維を回収して、新品に劣らない高品質の再生ウールを衣料品用に供給している。

 だが、繊維が短い木綿やポリエステルは回収できないため、化学的な処理による再生を目指し、現在数社のベンチャー企業が技術開発に取り組んでいるところだ。EUが、たとえば衣料品の2割に再生繊維を使うよう義務づければ、開発に弾みがつくとブールは見る。「10年もすれば実現するでしょう。しないと困ります」

※ナショナル ジオグラフィック3月号「ごみがなくなる日」では、世界中に散乱する廃棄物の再利用を目指した循環型経済の構想についてレポートします。

文=ロバート・クンジグ/英語版編集部

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