料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回はとっておきのリコッタチーズを使ったお料理を教えていただきます。
◇
―― 冷水先生、こんにちは。少しずつですが外出する機会が増えてきましたね。
冷水 本当に。まだまだ油断は禁物ですが、やっぱり外に出るのは楽しいですよね。
―― たとえ雨が降っていても楽しいです(笑)。
冷水 当たり前のことが当たり前にできるって、幸せなことですよね。
―― 読者のみなさんからも、早く友人と一緒ににぎやかに食卓を囲みたい!という声が届いています。たしかに最近は自宅で料理をする機会は増えましたが、あくまでも自分や家族のためですから……。
冷水 じゃあ今日は、おもてなしにも使えるお料理にしましょうか?
―― いいですね! 願わくば、さっと作れて、でもどこか特別感のあるお料理がうれしいところです……。
冷水 また欲張りなリクエストを!(笑)
―― スミマセン! 久々の食事会という方も多いでしょうから、なにとぞ~!
冷水 材料が多かったり、調理の工程が複雑だったりとたしかに大変でしょうから、今回は発想を変えて、ちょっといい食材をお取り寄せして使うというのはどうでしょう?
―― 冷水先生御用達のお取り寄せ食材、気になります。
冷水 では今回は私が大好きなリコッタチーズを使ったお料理をご紹介します。「イル リコッターロ」という岡山県の森の中にある小さなチーズ工房なのですが、ここの手作りリコッタチーズが本当においしくて。
―― わ~、なんだかお豆腐のような、ミルクプリンのようなフルフル感ですね!
冷水 フレッシュなミルクで作られていて、味も口当たりもすごくやさしいんです。今回はこのチーズに旬のパプリカを合わせてサラダを作ります。チーズは食べる直前まで冷蔵庫で冷やしておいてください。
―― ん? パプリカは網焼きするんですか!?
冷水 はい、皮が真っ黒になるまで炙(あぶ)ると、皮がむきやすくなりますし、柔らかく、甘みも引き出されるんです。今日はコンロに焼き網を置いて直火で炙りますが、オーブンでもいいですし、もし魚焼きグリルに入ればグリルでもOKです。
―― 丸ごと豪快に炙るんですね、BBQみたいでワクワクします……でも、本当に外側が真っ黒焦げになっていますが、コレ大丈夫なんでしょうか?
冷水 大丈夫ですよ~。焼きなすを作るときも皮が真っ黒になるまで焼くでしょう? それと同じです。
―― たしかに、焼きなすも「コレ、大丈夫!?」って思いますが、皮をむくとふっくら、ジューシーに仕上がってますものね。
冷水 しっかりと炙ったらボウルに移してぴったりラップをかけます。こうやって蒸らすことで皮に水分が入って、よりむきやすくなるんです。熱々の状態で皮をむこうとするとボロボロになってしまうので。
―― それも焼きなすと一緒ですね。熱いうちにむこうとすると身まで一緒に剝がれて食べるところがなくなっちゃう(笑)。
冷水 だいたい10分ほど置くとむきやすくなります。ほら、つるんと一気に皮がむけるでしょう?
―― 手品みたいでおもしろい!
冷水 パプリカの中には果肉から出たおいしいジュースが入ってますから、お尻の部分に少し穴を開けて、まずそれを取り出しましょう。これもサラダの風味付けになりますからね。
―― おお~、出てます、出てます!
冷水 あとは5ミリから1センチの幅に切って、塩とオリーブオイル、白ワインビネガーでマリネするだけです。
―― 前回の「切らしたら困る調味料」の回で教えてもらった、「生で使うオリーブオイル」ですね。私もコレ買いました!
冷水 あら、素早いですね(笑)。そう、マリネに使うオリーブオイルは油というより調味料ですから、できるだけ酸味が少なく、果実味が豊かなものを選ぶといいんです。とくにマリネは調味料がシンプルですから、オリーブオイルひとつで風味がうんとよくなりますよ。
―― パプリカがツヤツヤしてきましたね。
冷水 パプリカは鮮やかな色も魅力ですからね。ワインビネガーの代わりにバルサミコ酢を使っても合うと思います。ただ、赤いバルサミコ酢を使うとせっかくきれいなパプリカの赤がくすんでしまうので、もし使うなら白バルサミコ酢がオススメです。ビネガーより少し甘みがプラスされて、おいしいですよ。
―― あとはリコッタチーズと盛り付けるだけですか?
冷水 そうなんですけど、まだちょっとパプリカが熱を持っているので、少し冷蔵庫で冷やしましょう。その方が味の輪郭がしっかりしますし、何より冷やしたリコッタチーズが温まるともったいないので!
(20分後)
冷水 さあ、チーズとパプリカマリネを盛り付けて完成です。今回は和(あ)えたりせずに、それぞれ盛っていきます。
―― 鮮やかな赤とやさしい白の組み合わせがきれいです!
冷水 仕上げに少しだけオリーブオイルを回しかけます。チーズに塩気があるので大丈夫かと思いますが、食べてみてお好みで粗塩をふってくださいね。
―― う~ん、リコッタチーズがものすごくミルキーでたまりません! じっくりと熱を加えたパプリカもすごく甘くて、なんだかデザートみたいなサラダですね。そこに塩気とビネガーの酸味が合わさって、新感覚です!
冷水 よく冷やした白ワインにも合うので、おもてなしの前菜としておすすめですよ。久しぶりの食事会、みなさん心ゆくまで楽しんでくださいね。
今日のレシピ
焼きパプリカとリコッタチーズ
◎材料(2~3人分)
パプリカ 2個
リコッタチーズ 好みの量
A
塩 少々
白ワインビネガー 小さじ1/2
EXVオリーブオイル 大さじ1/2
◎作り方
1 コンロに焼き網を置き、直火でパプリカ(丸ごと)を真っ黒になるまで焼く。
2 焼けたパプリカはボウルなどに入れ、ラップでしっかり蓋(ふた)をして蒸らす。粗熱が取れたら皮をむく。
3 2のパプリカの種と軸を取り、5ミリ~1センチほどの幅に切る。
4 ボウルにパプリカを入れ、Aを加え混ぜてから冷蔵庫で少し冷やす。
5 皿にリコッタチーズを盛り、4のパプリカをのせてEXVオリーブオイルを適量まわしかける。
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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)
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冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家
PROFILE
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小林百合子
編集者
1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。 -
関めぐみ(写真)
写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。
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June 11, 2020 at 07:45PM
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やさしい甘みを楽しむ、パプリカとリコッタチーズのサラダ - 朝日新聞社
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