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Sunday, April 5, 2020

「現実よりもデジタル上のほうが本当の私かも」──渡辺直美に聞いた、SNSの流儀。 - VOGUE JAPAN

インスタグラムで900万人を超えるフォロワーを誇る、渡辺直美。アイコニックなファッションと笑いを誘う投稿は国境を越えて世界中の人々を魅了し、日本からNY、世界へと活動を広げている。

まさに今のSNS時代を体現する彼女が、テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめる「NHKスペシャル シリーズ デジタル VS リアル」にナビゲーターとして出演する。嘘の情報に操られた「フェイクナオミ」や、個人データによって描き出された「デジタルナオミ」を最先端の技術で映像化し、リアル世界を凌駕するデジタル世界に迫る。

「デジタルナオミ」を作り出す収録の様子。Photo: NHK

──今やSNSは普段の生活にすっかり浸透していますが、インスタグラムのリリースが2010年10月、直美さんの初投稿は2011年9月でした。SNSに限らず、その後もデジタルの進化とともに世界は変わり続けています。その変化をどのように感じられていますか?

私、32歳になったのですが、本格的に携帯電話やスマートフォンで情報を得るようになったのは高校生のときでした。ちょうどブログが流行り始めたんですよね。デジタルネイティブではない、狭間の世代です。

10代のときにファミリーレストランで働いていたときは、仲のいい子たちでホームページを立ち上げて代わる代わるブログを更新していました。鍵をつけて身内だけが見られるかたちで。

そのブログは純粋に今日の出来事をアップするために書いていて、いかにデジタルの世界でリアルさを出すかを楽しんでいたと思うんです。それが、いつからか嘘も書くような世界になってしまっていて。ここ10年くらいでリアルかフェイクか、情報の受け取り方が急激に変化したのではないでしょうか。

──SNS上でもフェイクニュースを目にすることがあると思います。フェイクに対し、どのように向き合っていますか?

フェイクニュースを流される側としては、事実をありのまま伝える投稿を自分で発信するようにしています。例えばですが、男友達と食事に出かける時にカップルだと誤解されることがあるわけじゃないですか。そういう情報が出る前に、自分のSNSで「今日は親友の〇〇君とご飯を食べました」とアップしてしまう。フェイクの情報が流れることを事前に防ぐようにしています。

──逆にフェイクの情報を目にして騙されない自信はありますか?

芸人になってラッキーなのは、芸能ニュースに関してはそれが本当かどうかご本人に聞けること(笑)。ほかにも「そういうことじゃないんだよな」と思うニュースが沢山あります。だから、何にしてもひとつの情報だけを見て信じるのではなく、幾つかの情報を比較して調べる必要はあるなと思っています。

特に私のアカウントは拡散力があるのは事実なので、本当か嘘かわからないものは触れないで、確実だと思える情報だけ載せるようにしていますね。

──SNSを使用していて、印象的な出来事はありましたか?

東日本大震災のときTwitterなどのSNSが活躍しましたが、人を助けたいという一心で何でも情報を拡散する兆候があったと思います。私もその一人で、フェイクニュースを拡散してしまったことがあるんです。慎重になるべきだと学びました。

「ネット上が本来の自分と思えば、もっとデジタルと楽しく付き合える」

──今日は「NHKスペシャル シリーズ デジタル VS リアル」の収録を拝見しましたが、インターネット上に存在する「デジタルナオミ」が登場しましたね。デジタルとリアル、どちらが本当の自分だと思いますか?

悲しいかな、デジタルが本当なんじゃないかなと思います。何を言っているんだと思われるかもしれませんが(笑)。

リアルだと、人付き合いや環境など、生きていくために我慢する場面が沢山あるわけですよね。一日が終わって家に帰って一息ついた時に、スマートフォンなどでネットニュースなど様々な情報に触れる。さらに自分で知りたいことを検索したりして思うことをSNSに載せたりします。そういった行為は、自分の奥深いところの誰にも見られていない部分なわけじゃないですか。なので、本当の自分が出る場所なのかなと思います。

インターネットにコメントを書き込んだことはありませんが、そこでの言動なども含め、その人自身だと考えています。ネット上が本来の自分だという意識をすれば、もっとみんなが楽しくデジタルの世界と付き合えるのかなと思います。

──無意識な自分が、デジタルの世界には露呈していると。

だから、絶対に検索履歴は人に見られたくないです(笑)。一度、友人に検索履歴を見られて恥ずかしかった思い出があります。確かパラレルワールドと検索した直後で……(笑)。日記を見られている感覚と一緒ですよね。

──デジタルもリアルも、自分のアイデンティティはひとつ。表現方法が異なるだけなのかもしれませんね。

自分の色や良さを、自ら拡めていくということも、インターネット上でしかできない素晴らしいこと。アートや文章など、作品を創作している方は、SNSなどを通して世界中の人に伝えることができると思うんです。その作品はリアルな自分が生み出したもの。そういう意味でも、デジタルの世界はあくまでも自分の持つツールの一つ。入り込みすぎてネガティブな発信をし始めたら、負の連鎖が始まると思います。

ネガティブな意見には、対抗ではなく新しい自分を見せる。

──SNSに関しては、人に羨ましがられるような素敵な投稿をし続けることも、またそれを見続けることも、一つの弊害と言われています。直美さんは一つの投稿が900万人以上の人に届くわけですが、メリット・デメリットをどのように認識していますか?

基本的に、私はリアルな自分の姿とおしゃれなファッションのお仕事の姿を交互に出すようにしています。インターネット上に出すということは、表に出て一生残るものです。なので、一つの投稿に対し本当に出すべきか、しっかり考えるようにしています。

またファッションの写真を載せることで、褒めてくれる意見がある一方で批判があることも確かです。出すならそれも覚悟した強い心で臨むことも大事だと思っています。

否定的な意見に自信を失って才能を潰すのではなく、「こういう意見も世の中にはあるのか、ならもっと違う自分を見せてみよう」と思えることが大事。私自身、叩く意見に対抗するのではなく、「じゃあ、こんな新しい私はどうですか?」と挑戦し続けてきました。

デメリットがあると思っていたら、もうSNSをやりたくないと思うでしょう。インターネットは良いところ、便利なところだけを使えば良いと思います。日本はもちろん、世界中に趣味が合う友達が作れるのですから。今は、英語の勉強をしているのですが、英会話のアカウントをとても活用していますよ。

──これまでにSNS上での出会いが、実際のお仕事や交友につながったことはありますか?

もちろん、あります。6年くらい前にネット上でいいね!をしてフォローしあった方と、お仕事で実際に会えたこともありました。お会いした時はわっと盛り上がりましたね。自分が楽しいと思えば、人間関係の広がりもいい方向にいきますよね。

──今はほとんどの人がSNSを利用していると思います。VOGUEのユーザーに向けて、直美さん流のSNSの使い方、距離感の取り方を教えて下さい。

SNSはファッションと親和性があると思います。私は他のアカウントを見て羨むことはないのですが、もし「この人はこういうブランド持っていていいな」とか「いま、こんなに活躍しているんだ」と思うことがあったら、「なんてこの人は素晴らしいんだろう。じゃあ、私は何を表現していこうかな」と考えてみてはいかがでしょうか。妬みみたいなネガティブな気持ちに飲まれては駄目。SNSは心の修行です(笑)。もうお坊さんと一緒(笑)。

あとは自分にしか表現できないことをするか、自分にあった限定的な付き合い方をするべきだと思います。「作ったお料理を載せるページ」とか「毎日のコーディネートを紹介」とよく紹介文に書かれていますが、目的がはっきりしていますよね。そして鍵を付けないアカウントは、常に炎上するリスクがあるということだけ、頭の中にあればいいのではないかなと思っています。

「NHKスペシャル シリーズ デジタル VS リアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”  4月5日(日)21:00〜21:49放送(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー 4月12日(日)21:00〜21:49放送(総合テレビ)

SNSの投稿や検索履歴に残された個人の情報、そして監視カメラの映像など、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが、現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。私たちが信じるリアルは、本当に“リアル”なのか? 渡辺直美をナビゲーターに、テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめる。

Photos: Yuji Namba Text: Aika Kawada Editor: Saori Asaka

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